オペアンプ回路例 単電源DCアンプの設計

 

【仕様】

・入力抵抗  10MΩ

・入力信号レベル  00.25V

・出力信号      00.25V

 

【機能】

ハイ・インピーダンス回路の電圧を測定部の回路に影響を与えないで検出し、

次段(例えば入力抵抗の低い測定器)に渡す。

 

 

Ra,Rb,Cdの役目と定数算出

 

図22の入力部が高い抵抗(仕様で10mΩ)となるようにRa,Rbを入れます。

入力抵抗のみを考えるとオペアンプ単体またはRbだけでも良いのですが、

入力抵抗が高い(数MΩ以上)場合外来ノイズを拾いやすくなります。

 

これを対策する目的でRa,Rb,Cdによるローパスフィルタを形成させます。

仕様により入力抵抗が10MΩですから、Ra + Rb = 10MΩです。

計算が簡単になるように Ra = Rb = 5.1MΩとします。

Cd はあまり大きいと入力の変化が遅くなりますので、ここでは0.1μFとします。

なお、フィルターのカットオフ周波数fcは以下のとおりです。

 

 

R1,R2

入力〜出力の間の利得は1です。Ra,Rb部で信号は1/2になりますのでオペアンプ部で必要な利得は2です。

したがって、R1 = R2 = 10KΩ とします。実際には回路全体の利得は抵抗値の精度により誤差が発生します。

この誤差を修正する意味でR2をボリュームにします。

(正確には後述のRoと出力に接続される機器との間での電圧ロスも含まれます)

 

ただし、R2すべてをボリュームにすると調整範囲が大きくなり、やりにくくなりますので、

固定抵抗とボリュームの組み合わせになります。

図のような組み合わせの場合、可変範囲は 0.47 1.47 です。

 

 

C4

単電源交流アンプの場合と同様な考え方です。目標とするカットオフ周波数は数10KHzでも良いですが、

コンデンサ定数の種類を増やさない意味でCdと同じ0.1μF としました。

 

 

Ro

オペアンプの出力保護と容量負荷(この例では出力をケーブルを利用して外部に接続することを想定しています。

この場合、ケーブルの容量が数100pFとなることを想定)の対策のために入れてあります。

仕上がりゲインが2ですから、CMOSタイプのオペアンプを使った場合に発振が心配されますので

容量負荷対策の意味合いが大きいです。

これによる電圧ロスがあまり影響しないように1KΩとします。

 

 

オフセット電圧の考察)

仕様により扱う信号レベルは00.25Vです。

オフセット電圧が大きいと誤差になりますので、各オペアンプで算出してみます。

 

LM358

・オフセット電圧Vio  2mV(typ)

 ・バイアス電流IB 45nA(typ)

 

LMC662C

・オフセット電圧Vio  1mV(typ)

・バイアス電流IB 0.002pA(typ)

 

オフセット電圧Eoは次式であらわされます。

 

(LM358の場合)

 

(LMC662Cの場合)

 

LM358の場合は入力ゼロでも約225mVが出力にあらわれることになり、この場合は不可です。

LMC662Cであれば約2mVでありこれで可とし、LMC662Cを採用します。

LM358の計算例でも分かるように抵抗値が大きい場合のオフセット電圧は

バイアス電流が支配的です。

(上記の計算では結果がマイナスの電圧になっていますが、

バイアス電流の向きはオペアンプの種類により異なります。

したがって、極性はあまり意味はありません)

 

バイアス電流はオペアンプの入力部の構造により大きく異なり、

一般的なバイポーラは大きく(LM358はバイポーラ)、

CMOSおよびFETタイプは少ないです。(LMC662CCMOS)

以下に主なオペアンプの特性を示します。