テキスト ボックス:   
           テスタの使い方
              第1回目
1.テスタの種類と特徴
テスタは、電子工作を行う上で必要不可欠なツールです。
テスタは大きく分けて、「デジタル・マルチメータ」(デジタルテスタ)と「アナログテスタ」
の2とおりになります。
表示はデジタル・マルチメータは「デジタル」、アナログテスタは「アナログメータ」に
なりますが、それぞれの特徴を以下に記します。
テキスト ボックス:      デジタル・マルチメータの特徴

・内部抵抗が高いので、測定誤差(電圧ロス)が少ない。
・高精度。
・読取誤差が無い。
テキスト ボックス:      アナログテスタの特徴

・内部抵抗が低いので、高インピーダンス(抵抗)の
 回路での電圧測定には不向き。
・数値変化を読み取りやすい。
 (デジタルは数値変化が読みにくい)
・メータの反応が早いので直感的な判断に適する。
内部抵抗とは次のような意味です。
図1のようにテスタの測定端子(プラスとマイナス)
からテスタ内部を見ると抵抗Ziがプラス端子とマイナス
端子間に接続したように見えます。
このZiを「内部抵抗」と言います。
例えば、図2のように抵抗R2両端の電圧を測る場合、
R2に並列にテスタの内部抵抗Ziが接続された形に
なります。
Ziの値がR2に対して十分大きな値であれば測定に
影響はありませんが、Ziが無視できない場合、
測定値に誤差が生じます。
デジタル・マルチメータの場合はDC電圧測定時、
一般的にはZiの値が10MΩ以上になります。
アナログテスタの場合は、測定レンジにより異なり
「XΩ/V」の表現になります。
この値はテスタの仕様により異なり、
10KΩ/V
20KΩ/V
50KΩ/V
などの数値になります。
例えば、「20KΩ/V」のテスタの場合は「1Vあたり20KΩの内部抵抗」の意味になり、
5Vレンジで使用した場合、
20KΩ×5 = 100KΩ
の内部抵抗になります。
したがって、アナログテスタの場合は、測定しようとする回路の抵抗とテスタの内部抵抗
を把握しておく必要があります。
例えば、図3の場合は測定誤差が発生します。
この例では測定値が2.5Vのはずがテスタの内部抵抗の影響で1.66Vの測定結果になり、
無意味な測定になります。
このように、アナログテスタは電圧測定時に内部抵抗が低いので、回路抵抗が低い場合と
測定レンジが低い場合は注意が必要です。
ただし、アナログテスタは前述の特徴のように、
・数値変化を読み取りやすい
・メータの反応が早いので直感的な判断に適する
などがありますので、目的、状況に応じてデジタル・マルチメータとアナログテスタを
使い分けることをお勧めします。
写真1にテスタの外観例を示します。
左はアナログテスタ、右は
デジタルマルチメータ(デジタル)
です。
アナログテスタとして便利な使い方
を以下に紹介します。
アナログテスタの中で「NULLメータ」
機能があるものがあります。
写真1のSH-88TRはその機能があり、
このNULLメータにより「±DCVセンタ
零メータ」になります。
これは具体的には写真2のように
入力電圧が無い状態でメータ(針)
をセンターにしておくことが出来ます。
入力電圧が加われば、その極性により
メータが右または左に振れますので、
「出力ゼロ」にするような調整時に便利です。