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◎はじめに |
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趣味の電子工作、または仕事で製品開発、製造を行う場合、測定器は必要なものです。 |
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電子工作でも「テスタ」だけでは動作確認が難しいこともあり、各種の測定器が必要になります。 |
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そこで、測定器の「活用、入門シリーズ」として各種測定器の紹介と使い方を説明していきたいと |
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思います。 |
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第1回目として「電源」について紹介します。 |
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なぜ、電源が1回目かと言いますと、機器は電源(電池も含む)が無いと動作しません。 |
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また、電源が貧弱ですと製作した機器が十分な性能、機能を発揮しないことと、安全面からも |
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しっかりした電源が必要です。 |
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◎電源の方式 |
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直流電源は大きく2つに分けて、以下の方式があります。 |
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・シリーズレギュレータ方式 |
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ノイズが少ない |
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・スイッチングレギュレータ方式 |
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変換効率が良い |
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小型、軽量化が可能 |
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図1,2にそれぞれの原理図を示します。 |
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シリーズレギュレータは基準電圧を基に出力Voutであるトランジスタのエミッタ電圧を |
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決めています。これにより、コレクタ・エミッタ間には電位差が生じ、この分は熱になり |
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放熱器が必要になります。 |
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スイッチングレギュレータは入力のVinをスイッチング(ON/OFF)し、このスイッチング出力を |
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平滑してDC(直流)に変換します。この変換時に電圧降下する抵抗分が原理的に無いので |
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シリーズレギュレータと比べて、変換効率が良く、大電流出力でも小型、軽量化が可能です。 |
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◎製品例 |
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アナログ回路を含めた電子工作用としてはノイズの少ない「シリーズレギュレータ方式」を |
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お勧めします。写真1に製品例を示します。 |
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C、Dは電圧、電流をプログラミングする高精度、低ノイズのDC電源で、それ以外はすべて |
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「シリーズレギュレータ方式」です。 |
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@〜Fの主な仕様を以下に記します。 |
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(販売終了または現行機種の表示は2009年12月現在のものです。後継機種等については |
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各メーカーの資料を参照願います。 |
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電圧、電流値は設定範囲の最大値を示しています。 |
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◎用語の意味 |
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(CV/CC) |
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CVとは「定電圧動作」のことです。 |
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図3のようにCV動作では負荷RLの値によらず、設定電圧Voutになります。 |
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つまり、「定電圧」になり、一般的な電源動作モードです。 |
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CCとは「定電流動作」のことで、図4のように負荷RLの値によらず(出力ショートも含む)、 |
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設定電流Iが一定になります。 |
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(デュアル・トラッキング) |
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正負の電圧を同時に可変できる機能のことで、このような電源を「デュアル・トラッキング・レギュレータ」 |
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と言います。 |
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オペアンプのプラスマイナス動作時に用いる電源です。 |
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また、プラスとマイナスを単独で電圧設定(電流設定)出来る機能もあります。 |
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(例えば、+15Vと-5V) |
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市販品のAは「デュアル・トラッキング機能」付きで、正負単独で設定が可能です。 |
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(プログラミング電源) |
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C、Dは電圧、電流設定を「プログラミング」するタイプで、高精度に設定することが出来ます。 |
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この製品例では、プログラミング確度 |
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電圧 0.05% |
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電流 0.2% |
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となっており、ちょっとした「基準電圧、電流源」としても用いることが出来ます。 |
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◎簡単な使い方 |
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写真2の「PMC18-1A」を例にして簡単な使い方を説明します。 |
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(機種により、若干の操作が異なるので注意) |
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(手順1) |
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EのOUTPUTスイッチがOFFになっていることを確認して電源をONします。 |
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OUTPUTスイッチは出力を「ON/OFF」するためのものです。 |
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(手順2) |
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LIMITスイッチを押しながら@の電圧表示を見ながら、CのVOLTAGEで電圧を設定します。 |
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今度はLIMITスイッチを押しながら、Aの電流表示が希望の電流値(CC)となるようにDのCURRENTを |
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調整します。 |
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ここでの電流設定値は「なんらかの原因で負荷がショートした場合」の保護を目的としています。 |
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つまり、電流設定は「CC設定」を行うので、この値以上の電流が流れた場合、即時にCC値に保ち、 |
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回路(負荷)にCC値以上を流しません。 |
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特に、「実験基板等の段階では、仕上がり(出来)が悪いので、なんらかの原因で基板内ショート |
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が起こるもの」と考えたほうが良いです。 |
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例えば、出力保護(出力電流制限)が無い電源を用いると、基板内でショートした場合に基板、IC |
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等を破損する恐れがあります。 |
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出力電流制限機能(CC)がある電源を用いれば、このようなトラブルを防ぐ(少なくする)ことが出来ます。 |
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実験段階では、それほど大きな回路規模ではありません。PIC等の小規模マイコンを用いた基板でも |
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このような場合、消費電流はせいぜい「数10mA程度」と思われます。 |
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したがって、それほど大きな電流容量がある電源を用いる必要もありませんので、このような場合、 |
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CC設定値を100mA〜200mA程度にしておけば、もしも基板内でショートしてもデバイス等の破損を |
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防いでくれることになります。 |
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このように、「CC設定」は基板ショート時のトラブル回避にも役立ちます。 |
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(手順3) |
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OUTPUT端子に負荷(基板等)を接続し、OUTPUTスイッチをONします。 |
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(手順4) |
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負荷電流がCC設定内であれば、「CV-LED」が点灯し、定電圧(CV)動作になります。 |
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(手順5) |
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もしも、負荷電流がCC値を越えれば、「CV-LED」は消灯し、今度は「CC-LED」が点灯します。 |
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つまり、CC動作になったということは、予期しない電流が流れていることになり、基板上でなんらかの |
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故障または設計ミスということが分かります。 |
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この場合、出力電圧は出力電流値と負荷抵抗(基板)に応じた電圧になっています。 |
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また、負荷電流が減少し、CC設定値内になれば再び「CV-LED」が点灯、「CC-LED」が消灯して |
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定電圧動作(モード)に戻ります。 |
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◎どのような機種を選んだら良いか |
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「アナログ表示」か「デジタル表示」かは好みの問題ですが、やはり、「デジタル表示」は設定が楽です。 |
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趣味としての電子工作の範囲内であれば、今回の製品例 |
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@の「PA18-3A」 |
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Eの「PMC18-1A」 |
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のクラスが手ごろでお勧めします。 |
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必要な電圧、電流は |
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18V/1A〜3A |
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であれば十分と思います。 |
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上記@、Eの機種は最大電圧設定が18Vですので、主な電圧「1.5V、3.3V、5V、6V・・・15V等」で使用 |
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出来ます。 |
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このクラスの電源はそれほど高価なものではありません。新品でなくとも「中古品」が良く出回って |
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いますから、このようなものを利用するのも良いです。 |
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オペアンプ等でプラスマイナス動作をする場合は、今回の製品例Aクラスになります。 |
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@、Eを2台用いればプラスマイナスの電源を作ることは可能ですが、やはり、専用のプラスマイナス電源 |
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が使い勝手が良いです。 |
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いずれにしても、今回の製品例のように「CV/CC機能」のある電源を用いることをお勧めします。 |
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このような電源を用いることにより電子工作も「使い勝手が良く、安全な電源環境」になり、 |
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楽しくなります。 |
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