|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◎はじめに |
|
|
|
マルツさんの「秋葉原2号店」にて写真1の「ジャンクラジオ」を見つけました。 |
|
|
ジャンクなので動作するかは不明。 |
|
|
|
マニュアルが無く仕様が不明なのですが、次のようなものです。 |
|
|
|
・AM/FM(ステレオ) |
|
|
・太陽電池搭載 |
|
|
・バッテリーは内蔵充電池 |
|
|
・スピーカ内蔵 |
|
|
・ヘッドフォン出力(FM時はステレオ) |
|
|
・アンテナ線付属 |
|
|
・ヘッドフォン付属 |
|
|
・外部充電用端子?装備 |
|
|
|
注意:外部充電用端子は想像です。 |
|
|
|
写真1のように太陽電池を装備し、この部分のパネルが開く構造です。 |
|
|
たぶん、この太陽電池で内蔵の充電池を充電するのかな?と思われます。 |
|
|
|
今回はこのジャンクラジオを色々といじってみました。 |
|
|
その修復(復活)、改造についてレポートします。 |
|
|
|
|
|
◎初期状態 |
|
|
|
ジャンクですから、動作をあまり期待しないことにし、「電源スイッチ」と思われるスイッチの |
|
|
ポジションを「ON」にしてみます。 |
|
|
音が出ない!!! |
|
|
とりあえず、後で内部を開けてみようと思いながら他のものも電源をONにしてみます。 |
|
|
これも音が出ません。筆者は複数台を試してみましたが、音の出るものと出ないものが |
|
|
あります。 |
|
|
また、音が出てもすぐに出なくなります。 |
|
|
|
仕方ないので、中を開けてみることにします。 |
|
|
◎中を開ける |
|
|
|
裏蓋は4本のビスをはずすだけで簡単に開けることが出来ます。 |
|
|
写真2に裏蓋を開けた状態を示します。 |
|
|
|
|
|
|
S社の「AM/FM(ステレオ)1チップIC」が見えます。 |
|
|
赤と黒の「ワイヤー」は太陽電池からの配線で、はんだのつなぎ目を「セロテープ」で |
|
|
絶縁しています。 |
|
|
なぜかこのサンプルは基板上に「マスキングテープ」が貼ってあり、意味不明の漢字 |
|
|
(たぶん、中国語?)が書いてあります。 |
|
|
基板の部品面を見るにはスピーカまたは太陽電池からの配線をはずす必要があり、 |
|
|
なるべくなら太陽電池からの配線をはずしたほうが良いです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◎回路を調べる |
|
|
|
用いているS社「1チップIC」のデータシートの入手は容易です。 |
|
|
|
○電源部 |
|
|
|
最初に電源部の回路を調べることにします。 |
|
|
AM/FM切換以外に図1のように2個のスライドスイッチがあります。 |
|
|
|
このスイッチの関係が不明だったのですが、これで接続が分かりました。 |
|
|
たぶん、外部DCジャックから充電させるのだろうなと思い、充電池の電圧を |
|
|
測ると1Vしかありません。 |
|
|
3台ほど見てみましたが、どれも1V前後の結果です。 |
|
|
ラジオの動作電圧は3Vと思われ、これでは動作しないのもあたりまえです。 |
|
|
外部DCからの充電は仕様が不明なので危険です。 |
|
|
|
太陽電池からも充電出来る接続になっています。 |
|
|
しかし、この太陽電池から本当に充電可能か疑問。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
数日、充電池の使用はあきらめて外部乾電池にて用いていたのですが、本当に太陽 |
|
|
電池から充電可能か試してみました。 |
|
|
|
図2〜図4に各スイッチポジションでの動作モードを示します。 |
|
|
(ただし、マニュアルが無いので回路から推定したものです) |
|
|
|
各図の「網掛け」部がスイッチのポジションで、例えば、図2の場合 |
|
|
|
3ポジションスイッチ→CHG |
|
|
2ポジションスイッチ→ON |
|
|
|
のポジションです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(図2の場合) |
|
|
|
太陽電池→内蔵充電池へ充電。 |
|
|
ラジオは電源OFF。 |
|
|
たぶん、この組み合わせが「太陽電池からの充電モード」と思われます。 |
|
|
|
(図3の場合) |
|
|
ラジオは電源ON。 |
|
|
太陽電池はすべての回路から切り離されます。 |
|
|
|
(図4の場合) |
|
|
ラジオは電源ON。 |
|
|
なおかつ、太陽電池→充電池へ充電。 |
|
|
もしかしたら、屋外での使用モード??? |
|
|
|
筆者は図2の状態で「良く晴れた日の太陽光」で約3時間の充電。 |
|
|
その後、ラジオから音が出ました♪ |
|
|
|
この試みは3台行い、すべて復活しています。 |
|
|
充電池は2個使いで、その両端電圧は約3Vになっています。 |
|
|
|
充電(3時間)後、約2時間は動作していますし、充電池が無くなったら |
|
|
再度の充電で動作が復活。 |
|
|
|
3時間の充電で2時間の持続時間が長いのか短いのか判断できませんが、 |
|
|
この方法でとりあえず復活するようです。 |
|
|
(長時間充電は試みていない) |
|
|
|
以上の方法で充電池は復活しましたが、他のサンプルすべてを保証しません。 |
|
|
|
○ラジオ部およびスピーカ(ヘッドフォン)アンプ部 |
|
|
|
ラジオ部はS社のデータシートによる応用回路例と、ほぼ、同じです。 |
|
|
スピーカ部は海外のP社製「ヘッドフォン用IC」を用い、内蔵スピーカと外部ステレオ |
|
|
ヘッドフォンを切り替える方式で特別なものではありません。 |
|
|
なお、このP社製「ヘッドフォン用IC」のデータシートの入手も容易です。 |
|
|
◎FM受信について |
|
|
|
○チャンネルセパレーション |
|
|
|
FMはヘッドフォンを使用した場合、ステレオになります。 |
|
|
ただし、初期状態ではステレオモードにならない可能性が大きいです。 |
|
|
なにぶんにも製造されてから長期間経過?しているので、FM部の調整が |
|
|
ズレています。 |
|
|
最初のサンプル品で地元局を受信しても、「どうも、ステレオ感が無く」、モノラルで |
|
|
聴こえていました。 |
|
|
このラジオ(IC)は調整用半固定ボリュームがあり、その様子(箇所)を写真3に示します。 |
|
|
|
|
|
|
調整ボリュームのズレおよび経年劣化の可能性があるので部品交換をお勧めします。 |
|
|
筆者は「KOA製のボリューム」を用いましたが、これにこだわる必要はありません。 |
|
|
(ただし、このボリュームは交換時にサイズ的に無理が無い) |
|
|
再調整は基本的には「周波数カウンター」が必要です。 |
|
|
指定の周波数となるように調整するだけなのですが、周波数カウンターが無い場合は |
|
|
次のように調整(確認)します。 |
|
|
|
図5のように、元々のIC「4pin-7pin間に接続されている抵抗」の間にLEDを追加します。 |
|
抵抗のカラーコードが読み難いので筆者の場合は抵抗を削除し、「2.2KΩ」と交換し、 |
|
|
LED(赤)を追加しています。 |
|
|
|
|
|
|
地元局を受信し、LEDが点灯するように半固定ボリュームを調整します。 |
|
|
(ステレオになるとLEDが点灯) |
|
|
簡単な調整ですから、試してみてください。 |
|
|
|
○L/Rについて |
|
|
|
ステレオになったところで、「チャンネルセパレーション」を測定してみました。 |
|
|
チャンネルセパレーションは「L→R」または「R→L」への信号漏れで、この数値が |
|
|
大きいほどステレオ感が良くなります。 |
|
|
|
測定器(FMステレオSSG)にて測定を開始したのですが、どうもL/Rが逆のようです。 |
|
|
|
付属のヘッドフォンを接続しても逆から音が出ますし、他のヘッドフォンを用いても |
|
|
やはりL/Rが逆です。 |
|
|
回路解析時は接続経路は確認しています。 |
|
|
しかし、最終的なヘッドフォン端子でのL/Rまでは確認していません。 |
|
|
|
あらためて、接続を追うと、逆接続が判明。 |
|
|
ヘッドフォンアンプ出力以降から接続が逆になっています。 |
|
|
(当たり前ですが、S社ICのL/Rは合っています。) |
|
|
|
どのようにして接続を変更しようかと思い悩んでいるうちに、思いつきました!! |
|
|
|
「ヘッドフォンを耳に装着するときにL/Rを逆にする」 |
|
|
|
これで解決。 |
|
|
|
チャンネルセパレーションを測ろうなどと余計なことをしなければ、「L/Rが逆」であること |
|
|
を気にせずに楽しめたことでしょう。 |
|
|
|
いずれにしても、「この音楽の、この楽器はRから出る」と思いながらFMを聴く人は |
|
|
いないと思います。 |
|
|
L/Rの逆が気になる方はヘッドフォンのL/Rを逆にして耳に挿してください。 |
|
|
◎トラブル対策 |
|
|
|
筆者が遭遇したトラブルとその解決について記します。 |
|
|
ただし、サンプル数5台なので他にも不具合があるかもしれません。 |
|
|
|
○スピーカの断線 |
|
|
|
これは前述しましたが、スピーカ端子部を熱容量の大きいはんだコテで何度 |
|
|
も当てなおすとスピーカコイルが断線します。 |
|
|
熱容量の大きいコテの使用は避けたほうが良いです。 |
|
|
|
○動作不安定 |
|
|
|
バラしてから再度組み込むと「動作不安定」になる。(2台発生) |
|
|
ラジオのはんだ付けは「手付け」で、経年変化ではんだ部があやしくなって |
|
|
います。 |
|
|
以下の部分をはんだコテで当てなおすことで解決しています。 |
|
|
|
・AM受信不安定→「赤いコイル」のはんだ付け修正 |
|
|
・FM受信不安定→S社ICのはんだ付け修正 |
|
|
◎復活編のまとめ |
|
|
|
○充電池 |
|
|
|
|
|
|
太陽電池による充電を試みてください。(図2の方法) |
|
|
|
|
|
○スピーカの断線に注意 |
|
|
|
|
|
|
基板の部品面を見る場合は「太陽電池の配線」をはずし、スピーカ配線に |
|
|
|
ストレスを与えないようにする。 |
|
|
|
|
|
○FMステレオ受信 |
|
|
|
|
|
|
半固定ボリュームの部品交換と再調整。 |
|
|
|
|
|
○L/Rが逆 |
|
|
|
|
|
|
気にしない。(忘れることにしましょう!) |
|
|
|
|
|
○動作不安定 |
|
|
|
|
|
はんだ付けの見直し。 |
|
|
はんだを追加しないで、コテを各部に当てて「温め直す方法」をお勧めします。 |
|
|
特に、基板を組み込んだ時に、基板の「ソリ」等で接触不良になるようです。 |
|
|
電源を入れたままで、はんだ部の修正をしながら動作が安定するように |
|
|
根気良く行う。 |
|
|
◎その他 |
|
|
|
どうせ、ジャンクですから「部品取り用」にしても良いと思います。 |
|
|
筆者としては、 |
|
|
|
・S社「AM/FM1チップIC」(面実装) |
|
|
・P社「ヘッドフォン用IC」(面実装) |
|
|
・太陽電池 |
|
|
・充電池(基板実装タイプ) |
|
|
・バーアンテナ |
|
|
・ポリバリコン(4連) |
|
|
・基板付けタイプ2連ボリューム |
|
|
・アンテナ線(Φ3.5ジャックに装着するタイプ) |
|
|
|
などが「お宝」です。 |
|
|
|
回路解析は各ICのデータシート入手が容易ですし、ほぼ、応用回路例に近いので |
|
|
難しくないです。 |
|
|
筆者は「太陽電池をからめた製品設計」の経験がありません。 |
|
|
興味のある方は充電まわりの回路解析をされたらいかがでしょうか。 |
|
|
|
次回はAM/FM以外の周波数帯を受信する改造を紹介します。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|