マルツ パーツまめ知識
汎用ロジックIC型番の読み方
◎オリジナルとセカンドソース
ディジタルICまたはアナログICの中で、製造メーカー、型番は異なるが同じ機能(仕様)
のICがあります。
また、型番が似通ったICがあります。
ある機能のICを最初に開発したメーカーのICを「オリジナル」と言い、他社メーカーが製造した
同機能のICを「セカンドソース」と言います。
一般的にオリジナルとセカンドソースは、ほぼ同じものです。
そこで、ICの選択時に必要な型番の読み方について解説します。
◎汎用ロジックのシリーズについて
汎用ロジックICはAND、OR、NOTなどの機能とは別に電気的特性(電源電圧、ロジック
レベル等)が同一であるICのラインアップを「シリーズ」または「ファミリ」と呼んでいます。
例えば、
74HCシリーズ
4000シリーズ
74VHCシリーズ
などです。
同じシリーズ内であれば、AND→ORまたはNOT→カウンタなど自由に接続することが
出来ます。
◎74HC、74VHC,74LSシリーズなどの場合
例えば、「74HC00」は図2のように
「2入力 NAND」の機能で、これが
ICの中に4個入っています。
各メーカーでの型番例を表1に、型番の
付け方例を図3に示します。
表1
メーカー   型番   機能   パッケージ  
TI   SN74HC00AN NAND   DIP  
東芝   TC74HC00AP NAND   DIP  
TI   SN74HC04N NOT   DIP  
東芝   TC74HC04AP NOT   DIP  
東芝   TC74HC04AF NOT   SOP  
図3のように「74HC00」が「2入力のNAND」を表わし、この部分は各社共通です。
この型番の前にメーカー固有の型番(例えば、東芝の場合TC)が入り、後の部分が
改良などを表わす文字(省略している場合もある)、そして最後がパッケージを表わして
います。
例えば、表1の例では「SN74HC00AN」と「TC74HC00AP」はどちらも「2入力NANDのDIP」
で同じものです。
したがって、製作記事等で「SN74HC00AN」の指定があったとしても、特別の理由が無い
限り、「TC74HC00AP」を用いても良いことになります。
◎4000シリーズの場合
4000シリーズは電源電圧が広範囲なことが特徴の1つで、RCA社のCD4000シリーズ
およびモトローラ社のMC14500シリーズが有名です。
これも図4のように型番を付けています。
RCA社のCD4000シリーズなどのようなCMOSスタンダード・ファミリにはモトローラ社のMC14500
シリーズがあり、現在ではオンセミコンダクタ社のMC14001Bシリーズがあります。
MC14001Bシリーズは型番部の数字が5桁ですが、4000シリーズとは互換性があり、図5
のように対応しています。
◎バッファとアンバッファ
4000シリーズの型番の中で、例えば「4011B」と「4011UB」などのように数字の後にBと
UBのものがあります。
このBとUBは「バッファ」と「アンバッファ」を表わしてして、74HCシリーズの場合では同じ
インバータ機能としてバッファタイプの「74HC04」、アンバッファタイプの「74HCU04」があ
ります。
インバータの場合、アンバッファは図6 b ) のようにCMOS部のインバータが1つで、その
入出力特性はH/Lの変わり目でゆるやかです。
これに対し、バッファは図6 a ) のように急峻な特性です。
74HC04と74HCU04はどちらもインバータ機能でロジック的には同じですが、アンバッファ
タイプは入出力特性がゆるやかですから、主に入力信号がゆるやかに変化する場合、
または発振回路および図7のようなアナログ的な回路で用います。
したがって、4000シリーズでも4011Bと4011UBはどちらもNANDですが、目的とする
機能(回路)によっては、動作しない可能性があり、型番選択に注意が必要です。