マルツパーツ館 パーツまめ知識
ソーラーパネル 使用レポート
基本編
2011年7月  KY
◎入手したソーラーパネル
最近は大きなサイズのソーラーパネル(太陽電池)も比較的安価に入手出来るように
なりました。
そこで、写真1のようなサイズのソーラーパネルを入手しましたので、レポートします。
CN-SM-013の仕様を表1に示します。
※【CN-SM-013】
表1  CN-SM-013の仕様
  サイズ     300mm×605mm
  Vcc(V)     20  
  Vm(V)     16  
  Isc(mA)     750  
  Im(mA)     660  
図1にソーラーパネルの特性例を示します。
図1 a ) は「I-Vカーブ」で、電圧と電流の関係を表わし、無負荷(電流がゼロ)時の電圧を
開放電圧Vccと言います。
また、出力を短絡した時の電流を短絡電流Iscと言います。
図1 b ) は電圧と電力の関係を示し、「P-Vカーブ」と呼ばれます。
ソーラーパネルから得られる電力は必ずしも最大電圧点では無く図1 b ) のように最大電力点
における電圧を「最大電力点電圧Vm」電流を「最大電力点電流Im」と言います。
注意:各項目の表記はメーカーにより異なるかもしれません。
CN-SM-013の仕様における表記を用いている。
◎特性を測る
図2に測定回路、図3に測定条件、表2に 表2  測定結果
測定結果を示します。 電圧 電流 電力
1 0.83 0.83
測定は「電子負荷」を調整し、各電圧における 2 0.83 1.66
電流を測定しています。 3 0.83 2.49
電力は電圧と電流を掛け算したものです。 4 0.83 3.32
5 0.82 4.1
電子負荷があれば測定は迅速に行えますが、 6 0.81 4.86
「数10Wクラスのボリューム」で代用出来ます。 7 0.81 5.67
8 0.8 6.4
9 0.8 7.2
10 0.78 7.8
11 0.77 8.47
12 0.75 9
13 0.73 9.49
14 0.7 9.8
15 0.65 9.75
16 0.57 9.12
17 0.46 7.82
18 0.3 5.4
19 0.11 2.09
グラフ1から短絡電流は約0.83A、
開放電圧は約20Vです。
また、グラフ2から最大電力は9.8W
でこの時の出力電圧は14V、電流
は0.7Aです。
この結果は図3の条件ですが、
前記、表1のデータは決められた
規格(日射強度等)での値です。
したがって、実際の日射強度等
により必ずしもグラフ1の結果に
なるとは限りません。
実際の特性は図4のように日射強度
により異なり、日射強度が大きい 表3  日陰
ほどソーラーパネルから得られる 電圧 早朝日陰
電力が大きくなります。 1  
2  
グラフ3に極端な例として、「早朝日陰」での 3  
データを示します。 4  
5 0.0518
電流値が極端に小さくなっていることが分かります。 6 0.05
電圧16V時に電流が0.04Aですから、電力は0.64W 7 0.0496
とかなり小さな値です。 8 0.0479
9 0.0462
10 0.0448
注意:16V,17Vで電流値が上昇している 11 0.0432
    のは、この測定時に日射量が上がった 12 0.0416
    ためと思われる。 13 0.0405
14 0.038
15 0.0375
16 0.04
17 0.038
18 0.0319
19 0.0196
また、太陽との角度によっても特性が異なり
グラフ4に角度による違いを示します。 表4  角度による違い
電圧 直線 水平
理想は太陽と「直線関係」になりますが、 13 0.199 0.11
季節、時間により太陽の位置が異なり 14 0.197 0.107
ますので、実験により妥協点を見つける 15 0.183 0.104
ことが必要です。 16 0.162 0.097
17 0.151 0.09
18 0.136 0.075
19 0.107 0.048
20 0.054 0.003
角度、方向確認を行うには図6のようにアナログテスタを用いると便利です。
100Ω位の抵抗器を負荷として接続し、この両端電圧をアナログテスタ(DC電圧計)で
観測します。
太陽との角度、方向を調整するとDC電圧も変化し、その変化量がメーターの動きで
直感的に分かります。
◎簡単に使う
★3端子レギュレータで電圧変換
簡単に使う応用として3端子レギュレータを用いて必要な電圧に変換することが考えられます。
図7にこの場合のブロックを示します。
パーツまめ知識で製作した「電圧可変3端子レギュレータ」により必要な電圧に変換し、電池
仕様の各種装置(ラジオ、照明器具等)の電源に用いようというわけです。
※パーツまめ知識 電圧可変3端子レギュレータの使い方
一般的な3端子レギュレータICは入出力の電圧差が3V以上あれば、
ICの定格出力が得られます。
ソーラーパネルの特性は図8のとおり負荷電流値により出力電圧が変化しますので、
例えば3端子レギュレータの出力電圧が12Vとすれば、この電圧が確保できる入力
電圧15Vでの負荷電流値まで動作することになります。
3端子レギュレータ出力が9Vの場合、必要な入力電圧は9V+3V=12Vとなりますが、
図8の特性のようにソーラーパネル出力はこの近辺では電圧低下が急峻な領域
です。したがって、負荷電流を0.6Aまでとすればソーラーパネル出力は15V以上
になりますので、常に3端子レギュレータが動作する入出力電圧差を確保するこ
とが出来ます。
早速、ラジオの電源に用いてみました。
7月の真昼であればラジオを鳴らすことはまったく問題ありません。
また、多少の「うす曇」でも軽い負荷であれば問題無いようです。
図9に「うす曇」時でラジオを用いた場合の各部の電圧、電流、電力を示します。
ラジオはDC6Vで電流が0.05Aほど消費する状態で、この時、ソーラーパネル側では
19.2V/0.058Aになっています。
なお、この結果は正確な日射強度が不明ですので、参考程度にとどめておいてください。
★スイッチングレギュレータを使う
例えば図10 a ) のように負荷が5Vで0.4A電流が流れたとします。
この場合の負荷側での消費電力P1は以下のとおりです。
P1 = V × I = 5 × 0.4 = 2W
また、ソーラーパネルの出力電圧がこの時、15Vとすれば、ソーラーパネル側の電力P2は
P2 = V × I = 15 × 0.4 = 6W
となり、このうちの2Wは負荷で消費されますが、残りの4Wは3端子レギュレータ部で「熱」
となって消費されます。
したがって、この熱分の4Wは仕事をしていないわけです。
このようにソーラーパネルからの供給電力P2と負荷消費電力P1の比率を効率とすれば
効率 = P1/P2 = 2W / 6W = 33%
となり、非常に効率が良くありません
これに対しスイッチングレギュレータは効率が良い電源方式で、図10 b) のように効率が80%
のものを用いた場合、供給電力P2は
P2 = P1 / 効率 = 2W / 0.8 = 2.5W
P2が2.5Wですから、この時の電流Iは
I = P2 / V = 2.5W / 15V = 0.166A
つまり、電流は0.166Aで済むことになります。
軽い負荷(例えば負荷側での消費電流が0.1A以下)であればソーラーパネルからの
出力を3端子レギュレータで必要な電圧に変換する方式でも良いのですが、少し負荷
電流が大きい場合、「効率」を考慮する必要があります。
今回用いたソーラーパネルはグラフ2のように最大電力が10Wですから、「いかに効率
良く負荷に伝えるか」が必要です。
そこで、重い負荷用に図11のようなスイッチングレギュレータICを用いた電源を用意し
ました。
表5に部品表を示します。
ダイオードは「ショットキダイオード」が必要で、筆者は手持ちの関係から11EQS04を
用いました。
他のダイオードとしてはLM2594のデータシートで推奨している「1N5819」などがあります。
インダクタおよびコンデンサ容量は入力電圧および負荷電流で最適な値を決定する必要
があります。(定数の選択方法はLM2594のデータシートを参照)
筆者の場合、写真2の扇風機が負荷で、消費電流が0.3A〜0,.4Aです。
したがって、インダクタの選択は150μHになりますが、手持ち部品の関係で100μHと
しました。
表5  部品表
部品番号 部品名     型番   メーカー  
C1 ケミコン 47μF/50V 50YK47     ルビコン  
C2 ケミコン 100μF/50V EKZE500ELL101MHB5D 日本ケミコン
D1 ショットキダイオード 11EQS04   日本インター
IC1 IC   LM2594N5.0   NS  
L1 インダクタ 100μH RTP8010-101M   サガミエレク  
  ユニバーサル基板 ICB88     サンハヤト  
  ICソケット 8P 21208NE   Linkman  
写真2に扇風機と実装の様子を示します。
図12に扇風機負荷時の各部の電圧、電流、電力を示します。
効率は75%ほどですが、扇風機で消費される電力(約1.9W)に対して約2.5Wの供給電力
で済むことが分かります。
このソーラーパネルの最大電力は約10Wですから、写真2の扇風機が3〜4台動作可能
という計算です。
写真3に現在の筆者の使用風景を示します。
ラジオと扇風機の電源に利用し、負荷の合計は約3.5Wほどと思われます。
◎ソーラーパネルの取り付け方向
当たり前のことですが、太陽の位置は時間により異なり、季節によっても異なります。
ソーラーパネルの設置場所は、当初、図13のように屋根にそのまま置いています。
夏場の真昼であれば、この取り付けで十分なのですが、早朝および夕方では図13
の位置関係です。
したがって、重い負荷の場合、ソーラーパネルから十分な電力を供給することが
出来ません。
そこで、図14のように常に太陽の向き(方角)に対して直線となるようなことを検討して
みました。
写真4に実験風景を示します。
つまり、ソーラーパネルを太陽の位置に合わせて回転させ、常に最適な日射強度を得ようと
いうわけです。
ソーラーパネルまでの高さは約4mで、ソーラーパネルをモーターにて回転させ、回転
制御は室内で行います。
図15に回転コントローラを含めた現在のシステムを示します。
アナログテスタで電圧を監視し、最大電圧となるようにコントローラを操作します。
日射強度が十分な真昼ではこの回転操作は威力を発揮しませんが、朝(特に早朝)
と夕方にはかなりの改善効果があります。
◎まとめ
用いたソーラーパネルは10Wですが、効率良く用いれば、「けっこうな電力量」です。
軽い負荷には「3端子レギュレータ」、重い負荷には「スイッチングレギュレータ」を用いました
が、太陽からの日射強度も含めて「効率をいかに良くするか」が重要です。
スイッチングレギュレータも今回は図11の定数としましたが、さらに効率の良い定数があり
ますので、この部分も改善の余地がありそうです。
今回用いたスイッチングレギュレータのLM2594N5.0は出力電圧が5V固定で出力電流は
最大500mAです。他のICとして、リード部品で電流容量1A以下は、表6のとおりで負荷
によって選択すれば良いです。
表6  主な1A以下のIC
型番   電圧 電流
LM2594N3.3 3.3V 500mA
LM2594NADJ 可変 500mA
LM2595T5.0 5V 1A
LM2595TADJ 可変 1A
ソーラーパネルの取り付けは図15の方式がベストと思いますが、夏場であれば単に屋根の
上に置くだけでも十分で、あとは取り付けの工夫次第。
以上、簡単な応用についてレポートしました。
10Wでもけっこうな使い道がありますので、応用はアイディア次第です。
また、当然なことですが、夜間、ソーラーパネルは使えません。
そこで現在、昼間の有効な光を利用して2次電池に充電し、ソーラーパネルが使えない
夜間を2次電池で駆動するシステムを検討中です。