水晶振動子
原理
水晶の薄板に圧力(変動)を加えると薄板の両面にプラス、マイナスの電気が生じます。
これを圧電効果と呼び、圧力の方向によりプラス、マイナスの方向が変化します。
また、薄板の両面にプラス、マイナスの電気を交互(つまり、交流)に加えると、薄板(水晶片)が振動します。この振動は水晶片の形状(主に厚み)によって定まる周波数で起こります。
この現象を利用して、電子回路では主に「発振回路」に応用しています。
分類
周波数によりおおまかには次のように分類されます。
① ATカット水晶振動子
水晶原石からATカットと呼ばれる切断角度で作られた水晶振動子。
メガヘルツ(MHz)帯をカバーし、最もポピュラーに使用されています。
② 音叉型水晶振動子
時計等の基準周波数1秒(1Hz)を作るための32.768KHzの水晶振動子に利用されています。
基本波発振とオーバートーン発振
水晶振動子は、ある固有の周波数のみに振動する素子(これを共振素子と言います) ですが、ATカットの場合、図3のように基本波以外(3f0,5f0)にも共振点があります。
一般的に30MHz以上のものは基本波ではなく、3f0または5f0等の共振点を利用することがあり、これを「オーバートーン発振」と言います。
発振素子としての性能
共振素子としては他にセラミック発振子がありますが、これと比べて、
・周波数誤差が少ない ・Qが大きい
などの特徴があり、高精度を要求する発振回路に使われます。
下表にCXH49SFBシリーズ(京セラキンセキ)の主な特性を示します。
周波数許容差 |
±50ppm |
周波数温度係数 |
±50ppm |
動作温度範囲 |
発振回路例
図4 基本波発振
図4に基本波発振での標準的
な発振回路を示します。
Rd:サードオーバートーンモード
での発振防止用抵抗
0~1.5KΩ
C1,C2: 6~22pF
各定数は水晶振動子(周波数)により
最適値を選びます。
概観例
リード・タイプのATカット水晶振動子の概観例を示します。
部品実装の点では有利になります。
左 HC-49/U
右 HC-49/U-S