可変容量ダイオード
1.原理
可変容量ダイオード(Variable Capacitance Diode)はバリキャップまたはバラクタ(Varactor)ダイオードとも呼ばれます。
ダイオードは図1 a) のようにカソードにプラス方向の逆方向電圧を加えると、電流が流れないで、pn接合付近にキャリア(正孔、電子)の無い部分が出来、この部分を 空乏層(くうぼうそう)と呼びます。
この空乏層は一種のコンデンサのような状態になっています。このコンデンサの容量値は図1 b ) のように逆方向電圧の値により、空乏層の領域が 変化し、コンデンサの容量値も変化します。
図1
a ) |
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b ) |
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つまり、可変容量ダイオードに加える逆電圧を可変させることにより電子的にコンデンサ
容量を可変させることが出来ます。(図2 参照)
この特性を利用してラジオ、TV、通信機器などで電子同調回路、FM変調に応用されていて、
近年では移動体通信機器などの電圧制御発振器 ( VCO Voltage Control Oscillator )
に使用されています。
図2
2.応用例
図3のような同調回路において、制御電圧
(逆方向電圧)を可変することにより、
同調回路のCを可変することが出来ます。
図4はFM変調に応用した例で、発振周波数を
音声により変化させた例で、つまり、FM変調を
行うことが出来ます。
図3
図4 FMワイヤレスマイクでの応用例 (FM変調)
3.製品例
表1に東芝製の製品例を示します。
表1
型番 |
メーカー |
容量 |
容量 |
用途 |
1SV101 |
東芝 |
VR=3V |
VR=9V |
FMチューナー電子同調用 |
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28p~32p |
12p~14p |
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VR=2V |
VR=25V |
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1SV102 |
東芝 |
360p~ |
15p~21p |
AMチューナー電子同調用 |
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460p |
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VR=1V |
VR=8V |
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1SV149 |
東芝 |
435p~ |
19.9p~ |
AMチューナー電子同調用 |
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540p |
30p |
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詳細はメーカーのデータシートを参照願います。
1SV101 1SV149