教育分野

電子工作に必要な工具の種類と使い方 その2【ワイヤー処理編】

電子工作をするには、さまざまな種類の工具があり多くのメーカーもあってどれを選べばよいか迷ってしまいます。

また、実際にどのように使用するのか、こんな時はどの工具を使えばいいのか場面に合わせた工具とその使い方の紹介をします。


その2では、ワイヤーの処理について必要な工具と使い方について説明します。

 

2.ワイヤー処理

 

(1)必要な工具

 

電子工作で必要な作業にワイヤーの処理があります。

その時に必要な工具と使い方について説明します。

 

1.ニッパー

ワイヤーをカットしたり、電線の被覆を剥いたりするのに必要な工具です。

電子部品のリード(足)をカットするのにもよく使用します。

あまり太い電線を処理する事は少ないので小型タイプのものが重宝します。

 

・エンジニア マイクロニッパー【NS-04】

 

2.ラジオペンチ

この工具もいろいろな場面で使用します。

ワイヤーや、電子部品のリード(足)の整形、ハンダ付け時の部品の固定、ネジ締めの時のナット抑えなど多用します。

また、根本に歯がついていますので、電線の切断も可能です。

こちらもニッパー同様、小型で先端の細いものが電子工作には向いています。

 

・エンジニア ミニチュアラジオペンチ【PS-01】

 

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3.ピンセット

ピンセットも多くの種類がありますが、電子工作には、磁化されないステンレス製のものが使いやすいです。

ハンダ付けする場合のチップ部品の固定などにも使用できる平型タイプがお勧めです。

 

・HOZAN ヘラ型ピンセット【P-888】

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4.ワイヤーストリッパー

電線の被覆を剥くのに使用します。慣れればニッパーで出来ますが、サイズにあったワイヤーストリッパーを使用するのが一番安全です。

 

・VESSEL ワイヤーストリッパー【3500E-2】

 

工具使用方法_32472_image003

これは、単線のサイズが0.25mm~1mmまでのものです。細い線のほうが剥きにくいのでこちらを推奨します。

単線のサイズが0.5mm~2mmに対応したものもあります。

 

・VESSEL ワイヤーストリッパー【3500E-1】

 

5.熱収縮チューブ

こちらは、あまり馴染みが無いかも知れませんが、ワイヤーをハンダ付けした箇所などで、絶縁とワイヤー切れを防止するものです。

 

・Linkman 熱収縮チューブセット カラー【VS-100】

 

工具使用方法_32472_image005

 

 

(2)それぞれの工具の使い方

 

ニッパーやラジオペンチの使い方はお分かりと思いますが、一点注意して欲しい点があります。

ニッパーや、ラジオペンチの説明書に、切断能力と書かれています。

ニッパーの場合  銅線 φ1.2 より線 φ2 と表示されています。ラジオペンチは、銅線 φ2 鉄線 φ1.2となっています。

従って、これより太い線を切らないように注意してください。

太い線を切ると歯の合わせがずれたり、歯が欠けたりして正常に切れなくなってしまいます。

 

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ニッパーに限らず、(切る)対象によって、道具を使い分ける事が重要です。

 

1.ワイヤーの種類について

 

ワイヤーには、その太さだけでなく、中の構造も違うものがあります。

単線タイプより線タイプです。

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この2本は見た目は色違いに見えますが、中身がまったく違います。

黄色がより線(細い線が撚ってある)赤色が単線です。

 

さらに、単線より線のまわりに網がついているシールド線というタイプもあります。

 

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このワイヤーは、オーディオの信号ラインによく使用されています。RCAのピンコードもシールド線を使用しています。

 

2.ワイヤーストリッパーの使い方

 

ワイヤーにはいろんな種類がありますが、ハンダ付けする時にはその被覆を剥く必要があります。

中の芯線を傷つけないように慎重に剥く必要がありますが、慣れていないとニッパーなどを使用した場合芯線を傷つけてしまいます。

そこで、このワイヤーストリッパーの出番となるのですが、使用する時に芯線のサイズにあった場所を使用する事が肝心です。

例えば上の写真の赤や黄色の線は、AWGという規格で22番線と呼ばれているものです。

これを剥く場合は、ワイヤーストリッパーのAWG22(0.65mm)の位置を使用します。

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これを間違ってサイズの小さい位置で剥くとこのようになってしまいます。

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よく見るとワイヤーに傷がついていますね。

この部分に曲げる力がかかったりすると写真のように折れてしまう事もあります。

 

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黄色いより線の場合は、このように数本が切れてしまっていますね。

 

このような事が起きないように慎重に位置を選んでください。

ワイヤーの芯線サイズがわからない時は大きい位置から順番にためしてみれば剥けた時点でサイズがわかると思います。

 

シールド線も同様に剥くことができます。

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しかし、下のシールド線は、最大径1.0mmより大きいので右図のようにワイヤーストリッパーで剥くことはできません。

歯にシールドが当たって切れてしまいます。

 

そのような場合は、ニッパーを使用します。

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ニッパーで軽く挟んで(指でしっかりグリップを握り過ぎないように固定します)すこし回して一気に剥きます。

中の線は、ワイヤーストリッパーでも剥くことができます。

右の写真のように剥いたあとシールド線を手で捩っておくと配線しやすくなります

 

3.ワイヤーのハンダ付けと熱収縮チューブの使い方

 

では、実際にワイヤーストリッパーで剥いた線をコネクタにはんだ付けしてみましょう。

その時に活躍するのが熱収縮チューブです。

 

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より線の場合は、写真のように手で少しねじってばらけないようにします。ハンダ付けする端子より一回り太い熱収縮チューブを適当な長さに切断します。

ハンダ付けする前にワイヤーに通しておきましょう! 付けた後では入りません。また、なるべくハンダ付けする部分から離しておいてください。

 

準備が出来たらハンダ付けします。

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まず、最初にワイヤーだけにハンダ付けします。もちろん溶かしながら行います。

あまり、たっぷり付けてしまうと端子の穴を通らなくなってしまうのでこのぐらいにしておきましょう。

 

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端子にワイヤーを通します。

ハンダ付けします。この状態は、きちんと付いてない状態です。端子全体にハンダが乗るようにしましょう。

 

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熱収縮チューブを端子に被せます。 ハンダ付けしてすぐ行うと縮んでしまいますのですこし冷えてから行ってください。

ハンダごてを熱収縮チューブにまんべんなく、軽く近づけます。あまりやりすぎると、コネクタやワイヤーが溶けてしまうのでほどほどに。

 

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できあがりました。これで、他のワイヤーなどと接触しないですし、ワイヤーを曲げたときに切れてしまう心配も少なくなります。

 

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このように、端子が近いコネクターの場合は、熱収縮チューブの有無が大きいですね。

この他の端子や、ボリュームなどにワイヤーを直付けする箇所には必ずこの熱収縮チューブを使用すれば安心できます。

 

<関連記事>

 

・ 電子工作に必要な工具の種類と使い方 【ハンダ付け編】 【測定編】 【穴あけ編】

 

<今回ご紹介した工具一覧>

 

・エンジニア マイクロニッパー【NS-04】

・エンジニア ミニチュアラジオペンチ【PS-01】

・HOZAN ヘラ型ピンセット【P-888】

・VESSEL ワイヤーストリッパー【3500E-2】

・VESSEL ワイヤーストリッパー【3500E-1】

・Linkman 熱収縮チューブセット カラー【VS-100】

 

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