オペアンプ回路例 単電源交流(AC)アンプの設計 (部品定数の求め方)

 

図19に示す単電源交流(AC)アンプを例に、各部品の「定数」を決めてみましょう。

 

【仕様】

・入力インピーダンス(抵抗)  10KΩ

・増幅度 20dB

         周波数特性

          下  20Hz

          上  20KHz

 

RB1,RB2,R3の決定

R3C1の電荷を放電させる目的ですが、ここでは100KΩにします。

RB1,RB2は同じ値にすればバイアス電圧は常に電源電圧の半分になりますので、

信号振幅範囲の点で有利になります。

入力インピーダンス50KΩを確保するために、R3とのかねあいで

RB1=RB2=100KΩ とします。

これにより入力インピーダンスは、Zi = R3 // (RB1//RB2) = 100K // (100K // 100K) 33KΩ

 

 

C1の決定

C1RB1//RB2との組み合わせでハイパスフィルターを形成します。

この時のカットオフ周波数fcl

仕様により fcl = 20Hz ですから

 

 

R1,R2の決定

増幅度を決定しますので、

R1 = 3KΩ とすると R2 = 27KΩ

 

 

C2の決定

C2R1との組み合わせでハイパスフィルターを形成します。ハイパスフィルターはC2で決定してい

ますのでこれに影響を与えないように目安としては fcl の10倍くらいになるようにします。

C2R1によるカットオフ周波数を f2 とすると

f2 = 2Hz とし、

 

 

C3,RLの決定

C3はオペアンプ出力に直流成分がありますので、

これをカットすることとC3RLとの組み合わせでハイパスフィルターを形成します。

ハイパスフィルターはC2で決定していますのでこれに影響を与えないように

目安としては fcl の10倍くらいになるようにします。RLは次段の負荷と並列となりますので

負荷に影響を与えない値とします。

ここでは 100KΩ とします。

C3RLによるカットオフ周波数を f3 とすると

f3 = 2Hz とし、

 

C4の決定

C4はオペアンプの動作安定用(位相補償)とR2との組み合わせによるローパスフィルターを形成します。

 

動作安定に関しては、回路の仕上がりゲインが高い(20dB)のでそれほど心配する必要はありません。

この場合の目的は不要な周波数成分をカットしてノイズの少ない増幅器にすることのほうが大きいです。

C4R2によるカットオフ周波数を f4 とすると

ここでは仕様の20KHzを確保することを含めて C4 = 47pF とすると

なお、交流アンプはオフセット電圧に関しては特に気にする必要はありません。

 

というわけで、下図のように、部品定数を求めることができました。

 

 

 

 

※この回路の応用例 コンデンサマイク用アンプとして

 

LM358シリーズのオペアンプは下右図のRbを追加します。

これが無いと波形歪みが発生します。

(C3によるACカップリングではRbが必要。C3が無いDCアンプでは不要です)