|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1.概要 |
|
|
|
|
|
SANYOのFM/AM 1チップラジオ用IC「LA1800」についてレポートします。このICはFM/AM用の1チップ |
|
|
ICで外付け部品が少なく、イヤホンドライバも内蔵しています。 |
|
|
|
つまり、このIC1個でFM/AMラジオが出来ることになります。(FMはモノラル) |
|
|
|
主な定格を以下に示します。 |
|
|
|
・動作電源電圧範囲 2.5V〜5V |
|
|
|
・推奨電源電圧 3V |
|
|
|
・パッケージ DIP22S(300mil) |
|
|
|
|
|
パッケージのピン間隔が1.78mmなので、ICピッチ(2.54mm)にはそのまま実装出来ませんが、 |
|
|
|
|
スーパーヘテロダインとしての機能をほとんど内蔵しているのは魅力的です。 |
|
|
|
|
|
図1にLA1800のFM部のブロック図を示します。FMラジオの「中間周波数」は10.7MHzにする場合が |
|
|
|
|
多いのですがLA1800は特別な構成となっていて、中間周波数は約80KHzです。 |
|
|
|
|
|
(データシートに明記されていないので、実測した推定値です) |
|
|
|
|
|
|
なお、受信周波数と局部発振周波数の関係は局部発振周波数のほうが受信周波数より約80KHz |
|
|
低い構成となっています。 |
|
|
|
|
図1 LA1800のFM部ブロック図 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2.製作目標 |
|
|
|
|
|
このICはデータシートによると、「200Ωのイヤホン」を鳴らすアプリケーションになっています。 |
|
|
|
小型のイヤホンではそれほど音質は望めないので、「大型のステレオヘッドホン」をドライブ(鳴らす) |
|
|
|
ことが出来るものとスピーカで聴く2タイプを製作しました。 |
|
|
|
「ヘッドホンタイプ」のものは屋外での使用とし、「スピーカタイプ」は室内で聴く用途です。 |
|
|
|
試作は「原理試作(0号機)」を含めて、第5次試作まで行っています。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3.ヘッドホンタイプの製作 |
|
|
|
|
|
|
図3にヘッドホンタイプの回路図(1〜3次試作)を、 |
|
|
写真1に外観を示します。 |
|
|
|
電源は3V(単4×2本)、FM部の回路、定数は |
|
|
ほぼデータシートどおりです。 |
|
|
|
|
|
ヘッドホンアンプはナショセミの「LM4881」です。 |
|
|
他のアンプでも良いのですが、アンプの利得が |
|
|
高いと、音量ボリュームを少し上げただけで |
|
|
波形歪が出ますので、LM4881を使用して、ヘッドホン |
|
|
アンプ部の利得は1倍にしています。 |
|
|
|
また、この部分にてLA1800からのアンテナラインを |
|
|
結合回路でステレオジャックに接続させて、 |
|
|
これによりヘッドホンをアンテナ代わりにしています。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◎局部発振部 |
|
|
|
LA1800の局部発振部の回路構成、定数の設定が重要です。発振部は「バリコン」または |
|
|
|
「バリキャップダイオード」が考えられますが、今回はバリコンと「空芯コイル」を用いています。 |
|
|
|
今回はバリコンにCBM-223F-1F4を用いFM放送帯をカバーさせます。このバリコンは150pFと |
|
|
70pFの2連タイプで、70pF側のみを使用しています。(図5参照) |
|
|
|
局部発振の周波数関係は図4になり、実際の定数を示します。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
周波数範囲の調整はコイルを伸び縮じみさせて行い、最終的に図4の定数でFM放送の受信範囲が |
|
|
約79MHz〜88MHzになっています。もう少し低い受信周波数にしたい場合はコイルの長さを |
|
|
|
縮じませるか、コイル巻き数を1回多くします。コイル製作はきれいに製作するのがコツです。 |
|
|
|
筆者は「ドライバーの軸」を利用してコイルを巻いています。 |
|
|
|
発振周波数の確認は実際の放送を受信して行っても良いの |
|
|
|
ですが、FM放送帯の周波数になるとは限りません。 |
|
|
|
その場合は図6のように周波数カウンターを用いれば、調整が楽です。 |
|
|
|
Φ0.6位のエナメル線で2回ほど巻いたコイルを周波数カウンター |
|
|
|
に接続し、このコイル(これを2ターンコイルと言います)をL1と |
|
|
|
平行に近づけます。これによりLA1800の局部発振信号を拾って |
|
|
|
周波数が確認できます。 |
|
|
|
カウント値は受信周波数から約80KHz低い値です。 |
|
|
|
ただし、感度の低い周波数カウンターではカウントできない |
|
|
|
かもしれません。 |
|
|
|
筆者は周波数カウンターを複数台所有しておりますが、 |
|
|
|
カウントできなかった(しにくい)機種がありました。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◎ケースデザイン |
|
|
|
|
|
写真1にヘッドホンタイプの外観を示します。 |
|
|
|
基板はサンハヤトの感光基板を使用しての手作りです。 |
|
|
|
ユニバーサル基板でも実装は可能と思いますが、 |
|
|
|
写真1のようにケースに収めたかったのでプリント基板を |
|
|
|
採用しています。 |
|
|
|
ケースはプラスチックでTAKACHIの「SW120S」です。 |
|
|
|
最近の私のお気に入りです。 |
|
|
|
設計はケースを決めてから、音量ボリューム、ステレオジャックの配置を決めて、基板サイズ(外形)を |
|
|
|
算出します。電池はケースサイズから「単4電池」とし、これも基板実装用のTAKACHI「MP42C」です。 |
|
|
|
このケースはMP42Cを使用した場合、基板固定用のスペーサ(12mm)と組み合わせると丁度良く |
|
|
|
ケースに実装することが出来ます。写真1では少し分かりにくいのですが、写真の状態から基板を |
|
|
|
裏返してケースに実装しています。また、バリコンの高さも具合良い高さになります。 |
|
|
|
|
|
◎原理試作(0号機) |
|
|
|
|
|
|
最初の1枚は「原理確認用」でLA1800部のみを製作しています。 |
|
|
|
局部発振の周波数関係と、この部分の回路決定および定数決めを行うためです。これが「0号機」です。 |
|
|
|
|
|
◎1次試作(1号機) |
|
|
|
|
|
ケースに収めるための基板設計を主体(目的)としています。すべての部品が基板に実装され、 |
|
|
|
配線(パターン)できるかです。基板は片面なので部品が実装(搭載)されても配線できるとは |
|
|
|
限りません。今回は苦労しました。抵抗、コンデンサをチップ部品にすれば、かなり楽なのですが、 |
|
|
|
意地で、抵抗、コンデンサはリード部品で設計しています。 |
|
|
|
基板設計完了後に、「感光〜エッチング〜穴あけ」と工程を重ねて基板製作を行います。 |
|
|
|
(この工程は楽しい!特に穴あけはストレス発散になります) |
|
|
|
局部発振部の調整は0号機を製作して確認済なので、トラブルはありません。(再現性が良い) |
|
|
|
大型のヘッドホンをジャックに装着し、実際のFM放送を受信してみます。地元局は感度良く受信 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
出来ます。さすがにFM放送はヘッドホンで聴くと良い音です。われながら、1号機にしては「すばらしい!」 |
|
|
|
とニンマリです。(自画自賛) |
|
|
|
小型の「インナーイヤーヘッドホン」でも聴いてみましたが、やはり、大型のヘッドホンが良いです。 |
|
|
|
|
|
|
|
とりあえず1号機が完成したのは2008年9月です。 |
|
|
|
|
|
|
◎2次試作(2号機) |
|
|
|
|
|
1号機は、結果には満足しましたが、部品配置が悪く、使い勝手が良くないです。 |
|
|
|
図7のように1号機の選局ダイヤルはケースの下部に位置し、選局操作がしにくいので、ダイヤルをケース |
|
|
|
上部に配置し、電源表示LEDを追加したものが2号機です。(2008年10月) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ダイヤル位置の変更に伴う基板パターンの変更量は非常に多く、ほぼ、新規設計に近いです。 |
|
|
|
(1号機は配線を重視したので、ダイヤル位置は配線による結果から、こうなっています) |
|
|
|
やはり、選局ダイヤルの位置は2号機が良いです。室内を歩きながらFM放送を受信してみます。 |
|
|
|
この時おかしな現象が発生。やや電波の弱い放送局の場合、室内で電波状態の良くない場所では |
|
|
|
時々、「バッ、バッ」というノイズが入ります。歩かないで、じっとしていれば(つまり、アンテナ固定状態) |
|
|
|
このノイズはありません。ノイズレベルは人により感じ方が異なると思いますが、個人的にはこのレベル |
|
|
|
はNGです。しかも、ヘッドホンタイプなので、屋外で歩きながら使用することを想定しています。 |
|
|
|
これでは困ります。 |
|
|
一部、コンデンサの定数がデータシートと異なっています。1号機も2号機も同じ定数にしているの |
|
|
|
ですが、定数の影響なのかと思い、データシートどおりの値にしてみましたが現象に変化は |
|
|
|
ありません。ここで、しばらく冷却期間を置くことにします。 |
|
|
|
数週間経過した11月に再度2号機をいじり始めました。定数の問題では無いようなので1号機と |
|
|
|
2号機の基板パターンを見比べます。かなり異なるパターンなのですが、決定的な違いはLA1800部 |
|
|
のGNDパターンです。 |
|
|
|
図8に2号機のLA1800まわりのGNDパターン概略図を示します。VC1とC2のGNDがLA1800部のベタGND |
|
|
|
と離れて、別のGNDラインに接続されています。この部分をパターンカットし、LA1800のベタGNDへ |
|
|
接続すると、不具合現象は嘘のように無くなり、解消されました。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「バッ、バッ」ノイズの問題も解消し、あらためて種々のヘッドホンで動作確認します。 |
|
|
|
ここで、またまた問題が発生。今度は特定の大型ヘッドホンの場合、「発振」します。 |
|
|
|
「ピー」とか「ギャー」とか、最悪の発振状態です。この特定のヘッドホンは1号機では未確認でしたので |
|
|
1号機でも発生していたかもしれません。(1号機はすでに部品をばらしてしまったので確認できない) |
|
|
|
2号機も少しGNDパターンをいじってしまったので、この影響もあるかもしれない?ので3号機を製作 |
|
|
|
することにしました。 |
|
|
|
|
|
|
◎3次試作(3号機) |
|
|
|
|
|
|
2号機での「特定のヘッドホンで発振する」を改善、対策することを目的としたのが3号機です。 |
|
|
|
具体的には「バッ、バッ」ノイズ対策をしたものと、全体的なGNDパターンの見直し、および、回路的 |
|
|
|
にLM4881に発振対策のC,Rを追加しています。 |
|
|
|
LM4881部の発振対策は効果がありませんでした。やはり、小手先の方法ではダメです。 |
|
|
|
「バッ、バッ」ノイズは3号機でも発生はしませんが、あいかわらず特定の大型ヘッドホンでは発振 |
|
|
|
します。むしろ、2号機のほうが発振の程度は良いほうです。 |
|
|
|
これは非常に悩みました。LA1800とLM4881の相性かと思い、LM4881の替わりにNJM2073を基板 |
|
|
|
に搭載してみましたが、同じ結果です。 |
|
|
|
3号機の製作は2008年12月で、年末になった時点で冷却期間を置くことにしました。 |
|
|
|
年が明けてから、もう一度、2号機と3号機を製作してみることにします。 |
|
|
|
結果、発振症状に変化ありません。これはもう、この特定ヘッドホンはあきらめるしかないです。 |
|
|
|
|
|
|
ちなみに、LM4881単体ではこの特定ヘッドホンでも発振しません。 |
|
|
|
すべての(いかなる)ヘッドホンに対応する機器を製作することは難しいものです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
4.スピーカタイプの製作(4次試作) |
|
|
|
|
|
2009年2月に入り、「スピーカタイプ」を製作しました。LA1800ラジオはしばらく冷却期間を置くことに |
|
|
|
していたのですが、使用していないスピーカ(BOX)が目に止まり、このスピーカでFM放送を聴いて |
|
|
|
みたくなったのがきっかけです。 |
|
|
|
最初はプリント基板にしようと思ったのですが、2月はまだ寒く、エッチングなどの作業をする気力 |
|
|
|
がありません。そこで、ユニバーサル基板で「とりあえず」組んでみようというわけです。 |
|
|
|
回路を図9に示します。 |
|
|
|
スピーカアンプは3Vでも動作する新日本無線の「NJM2073」です。このICは2ch内蔵ですが、 |
|
|
|
LA1800はモノラルなので片chのみを使用しています。 |
|
|
|
FM部の回路構成、定数はヘッドホンタイプとほぼ同じです。ただし、LA1800の2,5,7,8,9,10ピンの |
|
|
|
コンデンサの接続先が異なります。スピーカタイプではこのコンデンサの接続先をGNDにしています。 |
|
|
|
データシートではこの部分は電源接続でこれとは異なりますが、今回は勝手にこのようなことをしました。 |
|
|
|
|
|
このようにした最大の理由は基板製作上の都合でこのように接続したほうが作りやすい為です。 |
|
|
|
ヘッドホンタイプの時に気になっていたのですが、接続先を電源→GNDにするとパターン設計が楽 |
|
|
|
になります。特に、スピーカタイプのように「空中配線」する場合、電源ラインの配線が少なくなり、 |
|
|
|
非常に都合良いです。(ただし、データシートと異なりますので保証はしません) |
|
|
|
|
|
◎製作 |
|
|
|
|
|
製作は特別な工具は必要ありません。 |
|
|
|
基板は「片面ユニバーサル基板」です。LA1800のリードピッチが基板の穴ピッチに合いませんので、 |
|
|
|
今回は写真3のように「空中配線」します。ICのリードは横に広げ(曲げて)、余分な部分はカットします。 |
|
|
|
LA1800部のGNDは「ベタGND」にしたいので、今回は「銅箔テープ」を利用しました。 |
|
|
|
このテープは薄い銅箔で出来ていて裏面は「粘着テープ」になっています。この粘着部を基板の |
|
|
|
はんだ面に貼り付けます。 |
|
|
|
銅箔テープの面積が足りない場合は図10のようにメッキ線等を利用して連結(はんだ付け)します。 |
|
|
|
このようにして「ベタGND」を作ってから、この上にLA1800を実装し、各抵抗、コンデンサをICのピン |
|
|
|
に直付けしていきます。GND接続の部品は部品下がベタGNDですからはんだ付けは楽に行えます。 |
|
|
|
スピーカアンプ部の部品実装は基板部品面です。この部分のGNDはベタGNDにしないでメッキ線等 |
|
|
|
でGNDの順番を考えながら行います。 |
|
|
|
LA1800部とNJM2073とのGND接続ポイントはLA1800部のC15近辺とVR1のGNDピンです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◎スピーカアンプについて |
|
|
|
|
|
スピーカアンプは今回、NJM2073を使用しています。他メーカーでも良いです。 |
|
|
|
ただし、今回のLA1800との組み合わせではスピーカアンプのGAIN(利得)は抑えたほうが良いです。 |
|
|
|
電源電圧が3Vなので、あまりGAINが高いとすぐにスピーカアンプが波形クリップを起こします。 |
|
|
|
NJM2073のGAINはデータシートによると+44dB(typ)です。このままですと、音量ボリュームを上げた |
|
|
|
場合、すぐに波形クリップを起こします。そこで今回はNJM2073のGAINを下げています。 |
|
|
|
このGAIN設定はデータシートに掲載されていて図9の回路図のようにR101,R102を追加して |
|
|
|
GAIN設定を行います。この定数でGAINは約+28dBです。このGAIN設定にすれば音量ボリューム |
|
|
|
最大で波形クリップが起こる状態となりました。これで、いやな波形クリップの問題は解消です。 |
|
|
|
音量ボリュームVR1は今回の場合、「半固定抵抗」です。FM受信の場合、ひんぱんに |
|
|
|
音量ボリュームをいじることは無いと思いますので、このような部品を採用しています。 |
|
|
|
|
|
◎評価 |
|
|
|
|
|
|
写真4に基板部品面を示します。 |
|
|
|
|
|
アンテナ線に1mほどのビニール線を用いて、 |
|
|
まずは地元局を受信してみます。 |
|
|
|
やはり、少し大型のスピーカなので良い音です。 |
|
|
次に、地元局以外もダイヤルを回して選局してみます。 |
|
|
良く入ります。メーカー製のポータブルラジオと比較 |
|
|
してみると、意外と、この手作りラジオのほうが感度 |
|
|
が良いです。そんなに良いわけがないと思いつつ、 |
|
|
さらに他メーカーのラジオとも比較してみましたが、 |
|
|
今度は感度差は感じられません。 |
|
|
|
これらの差はアンテナによる感じがします。 |
|
|
|
|
|
スピーカタイプはアンテナを固定して使用しますので、感度はこちらのほうが有利です。 |
|
|
|
|
|
写真3、4のように外観はひどい物ですが、非常に性能の良いものとなりました。 |
|
|
|
ここで、気を良くして、もしやと思い、ヘッドホンタイプで苦戦した「特定ヘッドホン」を試したくなりました。 |
|
|
|
ジャックはモノラル用なので、これに並列にステレオジャックを追加します。もう1つのチャンネル |
|
|
|
の追加が面倒(気が急いている)なので、ジャックのL/Rを接続してステレオヘッドホンに対応です。 |
|
|
|
ヘッドホンを接続して聴いてみると、「あの発振」が発生していません。そんなワケは無いと思い、各種 |
|
|
|
のヘッドホンを試してみても発振は起こっていません。 |
|
|
|
ただし、妙に、「遠くで蝉が鳴いている」ような少し濁った音色です。 |
|
|
|
これは高域で発振しているのかと思い、オシロスコープで波形を観測してみると、案の定、高域で発振 |
|
|
|
しています。スピーカ負荷時には発振が起きていなかったのですが、やはり、ヘッドホン負荷では発振 |
|
|
|
します。ここで、NJM2073のデータシートに記載の発振対策を施して対策します。 |
|
|
|
この部分が図9のR104とC107です。これにより筆者の手元にある各種スピーカ、ヘッドホンでは |
|
|
|
発振は起こっていません。 |
|
|
|
(他のヘッドホンの場合、定数変更が必要かもしれません) |
|
|
|
スピーカタイプは「気まぐれ、思いつき」で製作したのですが、性能の良さにびっくりです。 |
|
|
|
しかも、製作時間は3時間です。あの、ヘッドホンタイプの苦戦はなんだったのかと思います。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
5.5次試作 |
|
|
|
|
|
スピーカタイプ(4次試作)は性能に満足していますが、やはり、ケースに収めなければなりません。 |
|
|
|
そこで、苦戦中のヘッドホンタイプをまた製作してみました。これが5次試作です。(2009年2月中旬) |
|
|
|
|
|
◎回路および構成 |
|
|
|
|
|
構成はスピーカタイプと同じで、回路はアンテナラインに結合回路を追加してヘッドホンジャックに |
|
|
|
接続し、各定数を若干、変更しています。 |
|
|
|
|
|
◎基板パターン |
|
|
|
|
|
ケースデザインは2号機と同じにしたいので、バリコンおよびヘッドホンジャック、表示LEDは同じ位置です。 |
|
|
ここで、「GNDパターンの長さを極力、短くする」目的で他の部品配置は大幅に変更です。 |
|
|
|
スピーカタイプは銅箔テープを利用しての「空中配線」ですから、GNDは良好です。 |
|
|
|
したがって、5次試作もGNDの距離だけを優先してのパターン設計をしようという訳です。 |
|
|
|
試作もここまで来ると、回路は暗記できるほどになっていますので、意外と基板設計は早く終わります。 |
|
|
|
GNDの長さを他の試作基板パターンと比較してもかなり短くなっています。 |
|
|
|
これなら良いものが出来るかなと思いながら、暖かい日を待ってエッチング作業です。 |
|
|
|
|
|
◎評価 |
|
|
|
|
|
小型のインナーイヤーヘッドホンから試聴してみました。このタイプは、あいかわらず安定動作です。 |
|
|
|
次に「あの発振する特定ヘッドホン」です。発振の頻度は今までと比較して極端に少なくなっています。 |
|
|
|
なぜか受信周波数の上限付近で発振し、その他の受信範囲では放送局がいない周波数で |
|
|
|
時々発振しますが頻度は少ないです。特定ヘッドホンの発振現象に対しては少し不満が残りますが、 |
|
|
|
「こんなものかな」と思うしかありません。 |
|
|
|
他のヘッドホンに対しては、まったく問題ありません。 |
|
|
|
|
|
ケースを胸ポケットに入れて、屋外で歩きながら試聴してみます。 |
|
|
|
大型ヘッドホンをしたまま近所を歩くのは大変はずかしい。(しかも、ヘッドホンを何本も手に持っている) |
|
|
|
物陰で電波が弱くなる場所でも特におかしな発振等も無く良好です。2次試作(2号機)と比較すると、 |
|
|
|
全体的に「受信フィーリングが良い」という印象です。このへんの表現は難しいのですが、理由として、 |
|
|
|
・5次試作は音量ボリューム最大でも波形クリップしない設計 |
|
|
|
があります。これにより、大型ヘッドホンでもかなり大きな音にしても波形クリップ(歪)を起こしません。 |
|
|
|
電源が3Vのわりには大きな音でFM放送が楽しめます。 |
|
|
|
|
|
また、選局操作(同調)をした時に7号機(5次試作品)のほうが、「スッと放送局を引き込む感じ」で |
|
|
実に快適です。(この辺の差の原因、理由は不明。) |
|
|
|
|
|
「特定ヘッドホンの発振」に対しては、頻度が少なくなりましたが、これは、やはり、GNDの長さなのかな |
|
|
と思います。ケースデザイン(選局ダイヤル、ボリューム、ジャックの位置)の「しがらみ」がありますので |
|
|
バリコンの位置が固定されて、これに合わせようとすると、どうしてもGND長が長くなってしまいます。 |
|
|
思い切って、ケースデザインを変更するか、バリコンの代わりにバリキャップダイオードを用いるのも |
|
|
1つの解決策なのかなと思います。 |
|
|
|
|
|
いずれにしろ、今後もヘッドホンタイプの試作が続きそうです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
6.まとめ |
|
|
|
|
|
ヘッドホンタイプとスピーカタイプの2種類を製作してきましたが、ヘッドホンタイプは、まだ、最終型 |
|
|
|
ではありません。「特定ヘッドホン」での問題が残っています。 |
|
|
|
スピーカタイプは「とりあえずのユニバーサル基板」ですが、性能面については満足しています。 |
|
|
|
以下、スピーカタイプの感想を記します。 |
|
|
|
|
|
・接続するスピーカは大きいものが良いです。その後、使用していない「ミニコンポ」 |
|
|
|
のスピーカがありましたので、今はこれでFM放送を楽しんでいます。 |
|
|
|
ミニコンポと比較すると音量が物足らないですが、約20畳の部屋でもBGMとして |
|
|
|
聴くには十分です。(電源が3Vですから仕方ない) |
|
|
|
スピーカ専用とすれば、NJM2073は「BTL接続」も出来ますので、BTLにするのも |
|
|
|
良いかもしれません。(BTLについてはデータシートを参照願います) |
|
|
|
・大型ヘッドホンは音が良いです。筆者は3000〜5000円程度のヘッドホンで聴いて |
|
|
|
います。あらためて、FMの良さが分かる気がします。 |
|
|
|
音量はヘッドホンのインピーダンスで異なります。ちなみに、 |
|
|
|
(32Ωの場合) |
|
|
|
かなり大きな音です。少しGAINを下げたほうが良いかも |
|
|
|
しれません。 |
|
|
|
(70Ωの場合) |
|
|
|
丁度良い音量レベルです。 |
|
|
|
ただし、ヘッドホンの感度により異なるかもしれません。 |
|
|
|
|
|
|
|
参考としてスピーカ出力の波形クリップレベルおよびLA1800の14ピン電圧を以下に示します。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
NJM2073スピーカ出力波形クリップ寸前の振幅レベル(電圧) |
|
|
|
|
240mVrms ( 8Ω負荷) R103 = 47Ω |
|
|
|
|
LA1800の14ピン出力電圧 |
|
|
|
|
約12mVrms |
|
|
|
|
条件:SSGのdev=22.5KHz 14ピンの負荷は10KΩ |
|
|
|
|
|
LA1800の14ピン出力電圧は負荷抵抗の値で異なります。 |
|
|
|
|
|
|
つまり、スピーカ出力と14ピン出力の間の電圧利得が約26dBあれば、ボリューム最大で波形 |
|
|
|
クリップが起こる計算です。実際のFM放送受信波形は上記の12mVrmsより若干大きいです。 |
|
|
|
したがって、スピーカアンプの利得(GAIN)は20dB〜26dB位が適当かもしれません。 |
|
|
|
最終的にはボリューム部分に抵抗R200、コンデンサC200を追加しています。 |
|
|
|
|
NJM2073のGAINはこれ以上は下げられないので、R200を追加して下げています。 |
|
|
|
もし、まだ大きいようでしたらR200の値を上げてください。 |
|
|
|
|
NJM2073部のR103とC105は電源ラインの「デカップリング回路」です。出来上がった後には |
|
|
|
|
特にアンプ部の不具合がなかったので、現在はこの部分は削除しています。 |
|
|
|
|
無い方がスピーカの最大出力レベル(音量レベル)の点で有利です。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
アンテナ線は50cm〜1mほどのビニール線なので、少し邪魔な気がします。 |
|
|
|
プラスチックのケースにユニバーサル基板を組み込んで、アンテナには「ロッドアンテナ」を |
|
|
|
用いれば使い勝手の良いものになるでしょう。また、ケースに入れる場合はバリコンの代わり |
|
|
|
に「バリキャップダイオード」を用いた方法のほうが良いと思います。この場合、選局操作は |
|
|
|
一般的なボリュームが使用でき、局発部の配線長も特に注意する必要が無く扱いやすいです。 |
|
|
|
|
|
表1にスピーカタイプの部品表を示します。 |
|
|
|
製作はケース加工等も無く、特別な工具を必要としません。 |
|
|
|
たぶん、半日もあれば出来ると思いますので、暇つぶしにいかがでしょうか? |
|
|
|
|
|
|
|
表1 スピーカタイプ 部品表 |
|
|
|
部品番号 |
|
内容 |
|
型番 |
|
備考 |
|
|
|
|
C1,C2 |
|
セラコン |
|
22pF |
|
|
|
|
|
|
C3,C10,C12,C16,C103 |
セキセラ |
|
0.1μF(104) |
|
|
|
|
|
|
C4 |
|
セラコン |
|
15pF |
|
|
|
|
|
|
C5 |
|
セラコン |
|
220pF |
|
|
|
|
|
|
C6 |
|
セラコン |
|
100pF |
|
|
|
|
|
|
C7,C9 |
|
セラコン |
|
0.01μF(103) |
|
|
|
|
|
C8,C13 |
|
セラコン |
|
33pF |
|
|
|
|
|
|
C11 |
|
ケミコン |
|
47μF |
|
|
|
|
|
|
C14 |
|
セラコン |
|
68pF |
|
|
|
|
|
|
C15 |
|
マイラー |
|
1500pF(152) |
|
|
|
|
|
C100 |
|
ケミコン |
|
1μF |
|
|
|
|
|
|
C101,C102 |
|
ケミコン |
|
100μF |
|
|
|
|
|
|
C104,C106 |
|
ケミコン |
|
100μF |
|
|
|
|
|
|
C105 |
|
ケミコン |
|
100μF |
|
無くても可 |
|
|
|
|
C107 |
|
セキセラ |
|
0.22μF(224) |
マイラーでも可 |
|
|
|
R1 |
|
カーボン抵抗 |
3.3K |
|
|
|
|
|
|
R7 |
|
カーボン抵抗 |
47Ω |
|
|
|
|
|
|
R103 |
|
カーボン抵抗 |
47Ω |
|
無くても可 |
|
|
|
|
R100 |
|
カーボン抵抗 |
10K |
|
|
|
|
|
|
R101 |
|
カーボン抵抗 |
130Ω |
|
|
|
|
|
|
R102 |
|
カーボン抵抗 |
4.7K |
|
|
|
|
|
|
R104 |
|
カーボン抵抗 |
1Ω |
|
|
|
|
|
|
IC1 |
|
IC |
|
LA1800 |
|
|
|
|
|
|
IC2 |
|
IC |
|
NJM2073 |
|
|
|
|
|
|
XIC2 |
|
ICソケット |
|
8P |
|
|
|
|
|
|
VC1 |
|
バリコン |
|
CBM-223F-1F4 |
|
|
|
|
|
XVC1 |
|
ダイヤル |
|
|
|
バリコン用 |
|
|
|
|
L1 |
|
コイル |
|
錫メッキ線Φ0.6 |
|
|
|
|
|
PC1 |
|
ユニバーサル基板 |
サイズ 47×72 |
片面 |
|
|
|
|
BATT1 |
|
電池 |
|
単3 アルカリ |
|
|
|
|
|
XBATT1 |
|
電池BOX |
|
|
|
|
|
|
|
|
J1 |
|
ジャック |
|
Φ3.5モノラル |
スピーカ用 |
|
|
|
|
J2 |
|
ジャック |
|
Φ3.5ステレオ |
ヘッドホン用 |
|
|
|
|
XXX |
|
銅箔テープ |
|
|
|
|
|
|
|
|
YYY |
|
金属6角スペーサ |
M3 メスーメス
20mm |
基板固定用 |
|
|
|
ZZZ |
|
ビス |
|
M3
2点セムス |
基板固定用 |
|
|
|
ケミコンの耐圧は電源が3Vなので10V以上で可 |
|
|
|
◎おまけ |
|
|
|
|
|
|
コイルL1の巻数を2回にすると受信範囲が約122MHz〜138MHzになりました。 |
|
|
|
この周波数範囲には「航空無線」があります。 |
|
|
|
航空無線の受信環境(航空基地が近いなど)に左右されると思いますが、筆者の受信環境では |
|
|
この航空無線が受信出来ました。ただし、感度は悪いです。しかも、航空無線は交信時間が短く |
|
|
受信範囲も広いので、このままでは同調操作が難しく、航空無線受信用には難があります。 |
|
|
|
余裕が出てきたら航空無線受信用にいじってみようと思います。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|