■オペアンプの基礎 回路例 2電源1段アンプ
▼回路構成例
図17に、2電源1段アンプの回路構成例を示します。
▼各部品の役目
・「C1」
原理的には不要なのですが、以下の理由で設けます。
@ 入力される信号に直流分がある場合にこの成分をカットする。
直流分があるとこの分も増幅してしまい、必要なAC成分に影響を与えてしまいます。
A 不要なAC成分をカット(削除、減衰)させる目的。
不要な成分とは例えばオーディオ信号の場合数Hzの低い成分が考えられます。
本来、数Hzは人間の耳には聴こえない周波数ですが、スピーカーが不要に振動したり等
の不具合を回避させたりします。
※C1はR1との組み合わせで不要な成分をカットしますがこのことを「帯域制限」と言います。
※C1とR1の組み合わせでハイパスフィルターを形成します。
・「C2」
C1と同様にR2と組み合わせて不要なAC成分をカットします。この場合、ローパスフィルターを形成します。
・「C3」
@ オペアンプは入力信号がなくても出力に若干のDC成分が出力されてしまいます。
(これをオフセット電圧と言います)このDC成分をカットさせる目的です。
A 不要なAC成分をカット(帯域制限)します。
C3はR3と次に接続される負荷抵抗との合成抵抗との組み合わせでハイパスフィルターを形成します。
本来扱うべき信号とそれ以外の成分(ノイズ)との比をSN比と言いますが、
特にローパスフィルタを用いることのより、SN比が改善されます。
つまり、ノイズの少ない良好な信号が得られることになります。
・「C4,C5」
オペアンプ電源のパスコン(バイパスコンデンサ)です。
パスコンが無い場合は以下のような動作になります。
各アンプ(AMP1,AMP2)にはそれぞれの電源電流(Id1,Id2)が流れます。
Rd2によりId1が影響を受けAMP2の電源電流がAMP1の電源端子へ現れることにより、
場合によっては発振等の不具合が発生する恐れがあります。
(Rd1,Rd2はAMP1,AMP2の両方へ影響するのでこのことを共通インピーダンスと言います。)
あるいは、電源にノイズが混入している場合、各アンプの電源端子へノイズが入り込んでしまいます。
そこで、パスコンを入れると次のような動作となります。
・「R3」
R3はアンプの出力が必ず負荷(または次の回路)に接続される場合は不要ですが、次の理由により設けます。
R3が無いとC3の電位はゼロではなく、DC電圧があらわれます。
これはオペアンプのオフセット電圧によるもので、
仮に電源ON状態から負荷を接続すると、負荷が急に接続された影響でコンデンサに現れているDC成分が放電されます。
これにより、ノイズが一瞬発生します。これを防ぐ目的でR3を設けます。
オペアンプはオフセット電圧により出力はこの電圧を基準として動作しています。
C3とR3を設けることで動作の基準ポイントをGNDとして動作させることが出来ます。