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ハイブリッドプラグインコネクタでコンパクトで柔軟な高性能モーター制御システムを保証する方法

著者 Jeff Shepard(ジェフ・シェパード) 
Digi-Keyの北米担当編集者 の提供
2021-07-20

マルツ掲載日:2021-11-22


 インダストリ4.0やIIoTのおかげで幅広い分野(ロボティクスや材料処理から食品・飲料までのマテリアルハンドリング)で、小型化が進むモータコントローラの使用が増えています。しかし、コントローラの小型化に伴い、設計者がEMC(電磁両立性)やオペレータの安全性を確保しながら、電力とデータの両方の信号を簡単かつ低コストに配線・転送することが難しくなっています。

 Hiperface DSL(高性能インターフェースのデジタルサーボリンク)やSCS(シングルケーブルソリューション)オープンリンクなどの先進的なオープンソースインターフェースが登場し、1つのコンパクトなコネクタを使って電力信号とデータ信号の両方を転送できるようになりました。これにより、転送が容易になる一方で、信号品位、EMC、IP20のタッチプルーフ・浸入要件への準拠を確保するためにコネクタの品質、設計、性能が非常に重要になっています。

 この記事では、Hiperface DSLとSCSオープンリンクインターフェースについて簡単に説明した後、スペースに制約のある環境で電力信号とデータ信号を両方とも転送できるコネクタメカニズムの電気的・機械的要件について説明します。次いで、Weidmüllerのハイブリッドモータコントロールコネクタを紹介し、このコネクタを使ってそれらの要件を満たす方法を示します。

Hiperface DSLとSCLオープンリンクとは

 Hiperface DSLとSCSオープンリンクに移行することは、電源とデータを両方とも同じコネクタに通すことで、省スペース化、低コスト化、高性能モータコントローラの設計簡素化に取り組むことです(図1)。DSLとSCSはどちらもRS-485に準拠しています。


図1:Hiperface DSLとSCSオープンリンク用のハイブリッドプラグインコネクタは、モータドライブのプリント回路(PC)基板上のスペースを節約し、簡単な転送を実現します。(画像提供:Weidmüller)

 Hiperface DSLは、双方向通信用の2本のシールド線を含む1本のケーブル、エンコーダ電源ケーブル、モータ電源ケーブル、モータブレーキケーブルのためのデジタルプロトコルです(図2)。


図2:基本的なHiperface DSL互換ケーブルは、電源(3相電源。黒色のシールドで遮蔽された茶色の太いケーブル心線、アースケーブル、黄色と緑色のシールドで遮蔽された茶色のケーブル心線)、別々に遮蔽されたモータブレーキケーブルの2本組(黒色のシールドで遮蔽された茶色の細いケーブル心線)、別々に遮蔽されたデジタルデータ転送用ケーブル2本組(青色のシールドで遮蔽された茶色のケーブル心線、灰色のシールドで遮蔽された茶色のケーブル心線)の3つの要素すべてをシールドケーブルに収納したものです。(画像提供:Weidmüller)

 Hiperface DSLは、モータコントローラとモータの間のケーブル長(最大100m)において、9.375MBaudのデータ転送レートを実現します。Hiperface DSLでデータを転送する方法には、信号やノイズの状況に応じて可能な限り高速でサイクリックに転送する方法と、コントローラのクロックに同期して転送する方法の2つがあります。Hiperface DSLプロトコルの重要な機能は、以下のとおりです。

・12.1μsという短いサイクルタイムで、エンコーダからの位置情報と回転速度情報を同期して処理する機能。
・モータフィードバックシステムの安全位置の転送に192μs以下のサイクルタイムを実現。
・「モータフィードバックシステムの安全位置の冗長転送でサイクルタイムが192μs以下でなければならない」というIEC 61508の安全度水準(SIL)2の要件に適合。
・適切なモータフィードバックシステムに使用した場合は、IEC 61508のSIL 3要件に適合。
・パラメータの転送に340kBaud以下の帯域幅を使用する、双方向の一般的なデータ転送。パラメータの転送では、モータコントローラデータの電子文字のラベルと、モータフィードバックシステムの電子文字のラベルが保存される。
・外部のモータセンサ(加速度、トルク、温度などを検出)からのデータを転送する独立したチャンネル。Hiperface DSLセンサハブプロトコルによってモータフィードバックネットワークに接続される。

 また、SCSオープンリンク・モータフィードバックインターフェースは、モータとコントローラ間の双方向データ(含む:エンコーダデータ)を10MBaud以下のレートで転送するように設計されています。2線式と4線式の実装に対応しています。SCSオープンリンクは、インダストリ4.0(特にモータの状態監視や予知保全などの新たなIIoTアプリケーション)向けに最適化されています。

 Hiperface DSLと同様、SIL 3まで準拠しています。また、EN ISO 13849性能レベルe(PLe)、カテゴリ3の機能安全要件を満たしています。本シングルケーブルソリューションは、IEC 61508-2: 2010とIEC 61784-3: 2017の機能安全要件を満たしています。

Hiperface DSLとSCSオープンリンクが直面しているコネクタの課題

 Hiperface DSLとSCSオープンリンクが確実に動作するためには、エンコーダ付きモータとドライブの間の接続に十分なシールドを施す必要があります。プラグインコネクタや接続端子を使用してインターフェースの数を最小限に抑えることは役に立ちます。また、モータやエンコーダとドライブの間には、連続したシールドケーブルが必要です。

 モータへの接続に最適化されたコネクタと、ドライブへの接続に最適化されたコネクタという2つのプラグインコネクタを備えた1本のシールドケーブルは、低コストのアプローチであるため、Hyperface DSLとSCSオープンリンクの両方に実装されています。

 シールドケーブルを使用するだけでなく、ケーブルの両端でシールドを適切に終端する必要があります。相互接続のモータ側には、金属製ハウジングのプラグイン丸型コネクタ(通常はM23丸型コネクタ)が使用されます(図3)。


図3:モータとドライブ間のケーブル(長さが100m以下)は、Hiperface DSLとSCSオープンリンクの両方でサポートされています。左がモータの接続、右がモータコントローラ用のハイブリッドプラグインコネクタです。(画像提供:Weidmüller)

 相互接続のドライブ側のプラグインコネクタには金属製のハウジングは、コスト削減のため使用しません。ドライブ側コネクタの物理的な設計は標準化されていないため、ドライブの設計者は、独自のコネクタを開発する際には要求される性能を満たすために慎重になる必要があるとともに、接続を簡素化してコネクタのコストを最小限に抑えるためにプリント基板に簡単に接続できる必要があります。適切なケーブルの設計と組み立て、そして適切なEMIシールドを施すことで、最大100mのケーブル長を実現することができます。

電源、信号、EMCの3つに対応したコネクタソリューション

 コネクタの設計に時間をかけることは可能ですが、最高の性能が求められるにもかかわらず、コネクタ設計のあらゆる側面に精通するのに必要な経験を持つモータドライブの設計者はほとんどいません。このため、そのような設計者の代わりに、Weidmüllerのように、既にこの問題に専念し、エレガントなソリューションを提供している企業を利用することをお勧めします。

 たとえば、OMNIMATEハイブリッドパワーコネクタは、信号、電源、EMCの3つの機能を備えたソリューションであり、Hiperface DSLとSCSオープンリンクの両プロトコルを実装するだけでなく、モータドライブのプリント基板上や制御キャビネット内のスペースを節約することができます。コネクタの形状には、6極(1081610000)(図4左)と、7極(1081630000)8極(1081150000)9極(1082140000)(図4右)があります。


図4:OMNIMATEハイブリッドパワーコネクタは、セルフロッキング式の中間フランジ(赤)を備えたスリーインワン(電源、信号、EMC)ソリューションです。6極(左)、7極8極9極(右)があります。(画像提供:Weidmüller)

 本コネクタは、7.62mmピッチのプッシュインワイヤ接続用電源端子と信号端子があるハイブリッドコネクタであり、IEC 61800-5-1、UL 1059クラスC 600V(電源端子)の要件に対応しています。

 本コネクタは、安定した接続を実現するために必要な、いくつかの実用的な設計上の特長を持っています。1つ目は、エンコーダとモータの電源接続を分離することで、EMCの問題を最小限に抑えていることです。

 2つ目は、各種の信号接続部や電源接続部の配置に配慮していることです。たとえば、保護接地(PE)などの「ニュートラル」接続は中央に、エンコーダラインやモータブレーキラインの信号/データ接続は左右対称に配置されています。

 使いやすくするため、片手で操作できる工具不要のセルフロック式プラグイン・インターロック機構を採用することで、設置やメンテナンスの時間を短縮しています。また、このインターロックは、他のソリューションと比較して、必要なスペースをピッチ幅で1つ減らすことができます。シールドのケーブル進入角度を30°にすることで、列間の距離を最大10cm短縮できたので、ソリューションのサイズが小さくなりました。

OMNIMATEハイブリッドパワーコネクタを効果的に使う

 OMNIMATEハイブリッドパワーコネクタを最大限に活用するには、EMIを抑制してシステムの安定性を実現するために、正しいケーブルの組み方とシールドの終端処理が必要です。OMNIMATEハイブリッドパワーは思慮深く設計されていますが、1シングルケーブルインターフェースであることには変わりないため、電源ラインと信号ラインが比較的近接しています。

 このため、良い設計を行うには、ケーブルシールドとコネクタを低インピーダンスで接続することが求められます。OMNIMATEでは、スプリングコンタクトを差し込むことができるシールドコネクタプレートを搭載しているので、この場合、特に役立ちます。というのも、これにより、ドライブへの防振シールド接続が可能になり、電源ケーブルとエンコーダケーブルのシールド編組をしっかりと接続できるようになるからです(図5)。シールド接続のために可能な限り大きな接触面を持つことは、最適なソリューションを可能にします。


図5:1本の金属製ケーブルタイを使用して、1本のケーブルとプラグインハイブリッドコネクタソリューションを低インピーダンスでシールド接続した例。(画像提供:Weidmüller)

 アウターシールドとインナーシールドをシールド接続プレートに接続するには、いくつかの手段があります。これらの手段としては、金属製のケーブルタイとホースクリップの様々な組み合わせがあります。これらを配置して、接続を信号接続部のできるだけ近くでしっかり行います(図6)。


図6:ケーブルシールドをOMNIMATEハイブリッドパワーコネクタに接続するには、金属製のケーブルタイとホースクリップの様々な組み合わせによる方法があります。(画像提供:Weidmüller)

 スプリング装填式の機械設計により、モータコントローラの設計者は、シールド接続部をヒートシンク上やプリント基板上に直接配置できるため、防振性の安定した表面接触域を確保することができます。

性能テストと安全性

 設計が完了し、ケーブルアセンブリを製作したら、ケーブルシールドの効果を測定する必要があります。たとえば、VG95373-41「Electromagnetic compatibility of devices - methods for measuring shielded cable and shielded protective cable hoses(デバイスの電磁両立性-シールドケーブルとシールドによる保護用ケーブルホースの測定方法)」におけるKS04Bの測定値は、シールドブレードとソケットやプラグへの接触点の影響や、シールド自体の品質を判断するのに役立ちます。

 測定手段は限定されたものですが、様々なシールドやシールド接触方法の効果を比較・評価するのに有効です(図7)。KS 04 Bの測定値に限界がある理由は、標準化されているケーブル長が1mしかないことと、実際のケーブルのインピーダンスでない一律50Ωを採用していることです。


図7:3つのシールド接続方法により、VG95373-41に基づいて測定した挿入損失の比較(位置確認線(赤)は一般的な期待値を示す)。(画像提供:Weidmüller)

 このようなプラグインコネクタは、IP20の安全規格に適合しており、正しく配線されていれば、オペレータが触っても安全です。しかし、一般的なモータコントローラには大容量のコンデンサが搭載されているため、適切に管理していないと、オペレータが感電する可能性があります。

 メンテナンスを行う際には、コンデンサが放電されていて電圧がかかっていないことが必要です。本コネクタはIP20規格に準拠していますが、コネクタに触れる前にコンデンサが放電するまで数分待ってより高い安全性を確保することをお勧めしています。

 さらに、このハイブリッドコネクタはオープン設計であるため、オペレータはすべてのケーブルが損傷を受けておらず、かつ正しく接続されていることを直ちに確認することができます。

まとめ

 小型で高性能なモータコントローラは電源とデータの両方を転送できる単一のハイブリッドな相互接続システムに移行しているため、設計者がEMCに対応したり安定した動作を保証したりするとともにオペレータの安全性を確保することが、難しくなっています。

 しかし、ここまで見てきたように、(1)電源とデータ用にHiperface DSLやSCSオープンリンクなどのプロトコルをサポートするとともに、(2)安定したEMCシールドを実現し、(3)IP20安全規格を満たす、という3つの機能を1つにまとめたハイブリッドプラグインコネクタソリューションがあり、このソリューションは優れた方法で設計されています。




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