LCRメータ
はじめに
抵抗などの電子部品は「デジタルテスタ」でチェック出来ますが、コンデンサおよびコイルの定数チェックが出来る測定器があると便利です。
そこで今回は手軽に利用できる「LCRメータ」を紹介します。LCRですから、
L→インダクタンス(コイル)
C→キャパシタンス(コンデンサ)
R→抵抗
の3つが測定できます。
ハンディタイプのLCRメータ
ハンディタイプは比較的安価で取扱いが簡単です。市販の製品例を写真1に示します。詳細はメーカーのデータシートを参照願います。
メーカー:エー・アンド・デイ
型番:AD-5827
主な仕様
測定パラメータ
L(インダクタンス)
C(キャパシタンス)
R(抵抗)
D(損失係数)
Q(品質係数)
θ(位相角)
測定モード
シリアル/パラレル
測定周波数
100hz、120hz、1Khz、10Khz
乾電池で動作するのですごく便利
D、Q、θとは
写真2はコンデンサの測定風景で、「容量」と「D」を表示しています。以下、D、Q、θについて説明します。
図1 a ) のように理想のコンデンサは電圧と電流の位相差が90°です。
しかし、実際のコンデンサは b ) のように「R成分」が存在し、これにより損失が生じます。
R成分が大きいほど角度δが大きくなり、tanδを「誘電正接」(ゆうでんせいせつ)と言います。この値が小さいほど損失が少ないことになります。(つまり、良質なコンデンサ)
tanδ(タンジェント・デルタ)は略して「タンデル」とも呼ばれ、品質係数Q、損失係数Dとの関係を図2に示します。
なお、θは図2のとおりです。
参考として各種コンデンサで同じ容量の実測D値を表1に示します。
表1 Dの測定値
コンデンサ |
D |
アルミ電解コンデンサ 0.1μF |
0.044 |
フィルム(マイラー)コンデンサ 0.1μF |
0.008 |
積層セラミックコンデンサ 0.1μF |
0.007 |
AD-5827で測定 周波数1KHz パラレルモード
表1のようにコンデンサの種類によりDの値が異なり、周波数が高くなるほどDの値は大きくなります。表1の結果からアルミ電解コンデンサのD値が一番大きく、損失が大きいことになりますが、それぞれのコンデンサの特徴を生かして用途によって使い分けます。
チッププローブが便利
抵抗、コンデンサ、インダクタのチップ部品の場合、写真3のような「チッププローブ」を用いると大変便利です。
写真3のようなチッププローブは「ピンセットプローブ」とも言います。
以上のように簡単ですがLCRメータを紹介しました。
特に「ハンディタイプ」は比較的安価ですから1台所有しておくと部品チェックに便利な
ツールの1つです。