マルツ パーツまめ知識
クランプメータの基礎と使い方
◎クランプメータとは
一般的には電流を測定する場合、図1 a ) のように回路の一部を切断します。
この場合、電流計またはマルチメータでの「電流測定ファンクション」を用います
これに対しクランプメータは図1 b ) のように回路を切断することなく
センサ(クランプ)を測定しようとする線に「はさむ」だけで電流測定できます。
このように線をはさむだけで、回路に直接接続されませんから回路への影響も少なく、
安全に大きな電流も測定できます。
測定値はアナログ(メータ)表示またはデジタル表示があり、デジタル表示の製品例を
写真1に示します。
テキスト ボックス: 主な仕様
・DC/AC両用タイプ
・平均値方式
・表示桁 最大 3999
・クランプ部測定
  交流電流、直流電流
  レンジ
     400A/最小単位0.1A
     600A/最小単位1A
・プローブによる測定
  電圧(交流/直流)、周波数、抵抗、静電容量、温度、ダイオードチェック、導通チェック
使い方は図2のようにクランプを開けて線を通しはさむだけで操作は非常に簡単です。
◎動作原理
変圧器は図3のように1次側に加えた交流(V1)を1次側と2次側の巻数比により任意の電圧、
電流に変換することができます。
特に、電流変換を目的としたものを「変流器」と言います。
例えば図4のように1次側の巻数を1、2次側の巻数を20とすれば、1次側に100A流れれば
2次側に5A流れます。
このようにして1次側の電流を測定することができ、クランプメータはこれを応用したものです。
以上のような変流器を電流検出に用いた方式は
交流電流(AC)は測定できますが直流電流
(DC)は測定することができません。
これに対し、DC/AC両用タイプのものは「ホール効果」を応用した「ホール素子」などが用い
られています。
ホール素子は直流、交流どちらの場合でも結果的に電圧(電位差)を発生し、これにより電流
値を知ることが出来ます。
◎測定の注意
操作は前記図2のようにクランプで線をはさむだけですので、ここでは測定の注意点について
Linkmanの「LDCM-6056D」を例として解説します。
LDCM-6056Dは直流電流も測定できる「DC/AC両用タイプ」です。
機種によっては直流が測定できない「AC専用」タイプもありますので直流測定が必要な場合
仕様確認が必要です。
なお、LDCM-6056Dは通常のプローブを用いての各測定ファンクション(電圧、周波数等)が
ありますが、通常のデジタルテスタと同じ操作方法になりますので、ここでは省略します。
★線のはさみ方
正しい線のはさみ方は図5 a ) のように1本をなるべくクランプの中央になるようにします。
クランプの中央にすると測定誤差が少なくなりますが、それほど神経質に行う必要はあり
ません。
また、交流の場合、はさむ方向に極性はありません。
図5 b ) は複数(または平行コード)の場合で、これは測定不可です。
★直流電流の注意点
クランプ部には図6のように「+」表示と
「-」表示が付いています。
直流の場合、クランプに線を通した時
の電流の向き(方向)により
「+」 → 「-」 は+
「-」 → 「+」はマイナス
と識別し、図7に表示の違いを示します。
また、直流回路におけるクランプの位置は
プラスまたはマイナスでも良く、図8にクランプ
極性の違いを示します。
このように直流測定の場合、極性表示の違いにより電流の向きを知ることができます。
★家電品などの電流チェック
クランプメータは1本の線にクランプすることで電流測定ができますが、
一般の家電品などは「平行コード」がほとんどです。
このような場合「ラインセパレータ」などの補助器具を用いると平行コードでも測定すること
ができます。
写真2に市販のラインセパレータを示します。
写真2の製品は感度倍率が「1倍/10倍」となっていて便利です。
簡易的には写真3のようにしてラインセパレータを自作しても使用可能です。
★平均値と実効値
交流に対する測定方式として「平均値方式」と「実効値(TrueRMS)方式」があります。
平均値方式正弦波の波形を対象とし、歪んだ波形の場合、測定誤差が発生する場合
があります。
これに対し実効値方式はモーターなどの歪んだ電流波形でも正確な測定が可能です。
実効値は電力に対する考え方ですので、特に電力量(仕事量)の評価などに用いる
場合に有効です。
クランプメータも平均値方式と実効値方式があり、どちらのタイプにするかは測定目的に
よって選びます。