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◎はじめに | ||||||||||||||
実験、試作時にちょっとした「チェッカ、測定器」があると作業が早く楽になることがあります。 | ||||||||||||||
そこで、実験、試作に便利なチェッカを製作しましたので紹介します。 | ||||||||||||||
◎レジスタンスボックス | ||||||||||||||
今回は「レジスタンスボックス」を紹介します。 | ||||||||||||||
基板上の抵抗定数変更時に「いちいち、抵抗を取り替えて動作確認をする」ことは非常に面倒な | ||||||||||||||
ことです。また、「カット・アンド・トライ」的な場合も抵抗値の変更は面倒なことです。 | ||||||||||||||
そこで、1つの箱(BOX)の中に各種抵抗値を用意しておき、これをスイッチ等で素早く切り替える | ||||||||||||||
ことが出来れば作業が早く(楽)なります。 | ||||||||||||||
このようなものとして「レジスタンスボックス」を製作しました。(以下、R-BOXと略) | ||||||||||||||
図1にイメージ図を示します。 | ||||||||||||||
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使い方はR-BOXに抵抗両端に相当する端子が2個あり、これを電子回路上の抵抗部分に接続します。 | ||||||||||||||
R-BOXの抵抗切換スイッチを選択し、目的の抵抗値にします。 | ||||||||||||||
図2に具体的な使用例を示します。 | ||||||||||||||
増幅回路の場合、負荷RLの値を色々替えた時の波形チェック、バイアス抵抗RBの最適値のチェック | ||||||||||||||
に用いています。 | ||||||||||||||
LEDの点灯回路ではRを替えた時の明るさチェックが素早く行えます。 | ||||||||||||||
BOXの中身は抵抗ですから、その他色々な用途が考えられます。 | ||||||||||||||
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◎回路 | ||||||||||||||
図3にR-BOXの回路図を示します。 | ||||||||||||||
特に、回路というほどでもありません。切換スイッチは3個です。S1とS2でそれぞれ12種類の抵抗値を | ||||||||||||||
選択し、S3で各グループ(S1,S2)を選択します。これにより、抵抗値は24まで選べます。 | ||||||||||||||
S1,S2は「12接点のロータリースイッチ」、S3は「トグルスイッチ」です。 | ||||||||||||||
抵抗両端に相当する端子は筆者の場合「ジョンソンターミナル」にしています。 | ||||||||||||||
FGは「シャーシGND」用の端子で、R-BOX内では金属ケースに接続(接触)します。 | ||||||||||||||
FG端子は図4のように利用します。高い抵抗値の場合、ノイズの影響を受けやすくなります。 | ||||||||||||||
このような場合、回路上のGNDに接続することにより、R-BOX内がシールドされますので | ||||||||||||||
ノイズの影響を少なくすることが出来ます。 | ||||||||||||||
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抵抗値の組み合わせは希望の組み合わせで良いと思います。 | ||||||||||||||
ただし、使用する抵抗器の定格電力に注意します。 | ||||||||||||||
図5 a ) の場合は特に抵抗の消費電力に注意する必要はありませんが、b ) の場合は使用 | ||||||||||||||
する抵抗値と定格電力に注意する必要があります。 | ||||||||||||||
したがって、図5 b ) の条件を考慮して抵抗器の定格電力を決める必要があります。 | ||||||||||||||
(逆に、抵抗器の定格電力を決めてから、印加できる電力を制限する考え方もあります。 | ||||||||||||||
しかし、この方法では制限電力をその都度計算するのは面倒です。印加出来る電圧を決めておくのが | ||||||||||||||
楽です) | ||||||||||||||
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表1に各抵抗値と各DC電圧を印加した場合の消費電力を示します。 | ||||||||||||||
抵抗器の定格電力の目安は実際の消費電力に対して2倍以上にします。 | ||||||||||||||
筆者の場合はR-BOXへの最大印加電圧を20Vとしましたが、あらためて、表1の計算結果から | ||||||||||||||
最大30Vの印加電圧でも良いと思います。 | ||||||||||||||
表1 抵抗の電力と使用抵抗電力 | ||||||||||||||
抵抗値 | 20V時電力 (W) |
30V時電力 (W) |
使用抵抗 (W) |
抵抗種類 | ||||||||||
100Ω | 4.0 | 9 | 20 | セメント | ||||||||||
220Ω | 1.82 | 4 | 10 | セメント | ||||||||||
330Ω | 1.21 | 2.72 | 5 | セメント | ||||||||||
470Ω | 0.85 | 1.91 | 5 | セメント | ||||||||||
560Ω | 0.71 | 1.6 | 3 | 酸金 | ||||||||||
680Ω | 0.59 | 1.32 | 3 | 酸金 | ||||||||||
750Ω | 0.53 | 1.2 | 3 | 酸金 | ||||||||||
820Ω | 0.49 | 1.09 | 3 | 酸金 | ||||||||||
1K | 0.4 | 0.9 | 3 | 酸金 | ||||||||||
2.2K | 0.18 | 0.4 | 1 | 酸金 | ||||||||||
3.3K | 0.12 | 0.27 | 1 | 酸金 | ||||||||||
4.7K | 0.085 | 0.19 | 1 | 酸金 | ||||||||||
5.6K | 0.07 | 0.16 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
6.8K | 0.058 | 0.13 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
7.5K | 0.053 | 0.12 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
8.2K | 0.048 | 0.109 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
10K | 0.04 | 0.09 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
22K | 0.018 | 0.04 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
33K | 0.012 | 0.027 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
47K | 0.008 | 0.019 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
56K | 0.007 | 0.016 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
75K | 0.0053 | 0.012 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
100K | 0.004 | 0.009 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
220K | 0.0018 | 0.004 | 0.25 | カーボン | ||||||||||
抵抗誤差は少ないほうが望ましいですが、数W以上では抵抗精度の良い物の入手が難しい | ||||||||||||||
ので、すべて抵抗誤差±5%を基準にしています。酸金は「酸化金属皮膜抵抗」です。 | ||||||||||||||
特に、酸金にこだわる必要はありません。消費電力が十分な物であれば良いです。 | ||||||||||||||
◎製作 | ||||||||||||||
主な部品を表2に示します。抵抗値と選択数は好みで良いと思います。 | ||||||||||||||
表2 | ||||||||||||||
部品番号 | 品名 | メーカー | 型番 | 備考 | ||||||||||
J1,J2 | ジョンソンターミナル | 青 | ||||||||||||
J3 | アースターミナル | サトーパーツ | T10 | |||||||||||
S1,S2 | ロータリースイッチ | 12接点 | ||||||||||||
S3 | トグルスイッチ | 3P | ||||||||||||
R | 表1参照 | |||||||||||||
ケース | TAKACHI | YM-150 | ||||||||||||
ユニバーサル基板 | ||||||||||||||
ツマミ | ||||||||||||||
金属スペーサ、ビス類 | ||||||||||||||
写真1に外観を示します。 | ||||||||||||||
使用したケースはTAKACHIの「YM-150」です。なるべく小型のほうが良いです。 | ||||||||||||||
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写真2にケース内部の様子を示します。 | ||||||||||||||
FG用のアースターミナルはケースに実装するだけで他へは配線しません。 | ||||||||||||||
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◎使用した感想 | ||||||||||||||
接続方法を図6に示します。 | ||||||||||||||
R-BOXの端子はジョンソンターミナルですから、「ミノ虫クリップ」または「バナナプラグ」を用いて | ||||||||||||||
接続します。使い方は自由です。 | ||||||||||||||
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このR-BOXは6年ほど前に製作したもので、筆者にとっては「手放せない重宝な物」です。 | ||||||||||||||
ケースサイズも150×100とあまり大きくないので、いつも作業台の上に置いています。 | ||||||||||||||
FG端子はぜひ設けてください。高抵抗を選択した場合、環境によってはノイズの影響を受けます。 | ||||||||||||||
製作当初はこの端子を設けていなかったのですが、その後、追加しています。 | ||||||||||||||
(追加したので抵抗端子とバランスが悪い位置になっています) | ||||||||||||||
これから製作される方は図7のように「チルトスタンド」を用いると、さらに、操作性が良くなります。 | ||||||||||||||
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抵抗値については合計24個までですので、15KΩ、1.5KΩ等が無く、少し不便な時もあり、 | ||||||||||||||
チルトスタンドの採用も含めて2台目の製作を計画しています。 | ||||||||||||||
今回のR-BOXの応用例として各種BOXの製作例を写真3に示します。 | ||||||||||||||
このような各種BOXを用意しておくと実験時に便利です。 | ||||||||||||||
(VR-BOX) | ||||||||||||||
ボリュームを10個内蔵したBOX。Bカーブ。 | ||||||||||||||
(C-BOX) | ||||||||||||||
コンデンサを24個内蔵したBOX。 | ||||||||||||||
容量負荷テスト、CR時定数決めに用います。 | ||||||||||||||
このBOXも筆者は良く用いています。 | ||||||||||||||
参考として内蔵コンデンサの定数を以下に示します。 | ||||||||||||||
すべて、フィルムコンデンサ。(マイラー) | ||||||||||||||
0.001μF | 0.01μF | |||||||||||||
0.0012μF | 0.012μF | |||||||||||||
0.0015μF | 0.015μF | |||||||||||||
0.0018μF | 0.018μF | |||||||||||||
0.0022μF | 0.022μF | |||||||||||||
0.0027μF | 0.027μF | |||||||||||||
0.0033μF | 0.033μF | |||||||||||||
0.0039μF | 0.039μF | |||||||||||||
0.0047μF | 0.047μF | |||||||||||||
0.0056μF | 0.056μF | |||||||||||||
0.0068μF | 0.068μF | |||||||||||||
0.0082μF | 0.082μF | |||||||||||||
(STD-R) | ||||||||||||||
抵抗精度±0.1%の抵抗器を内蔵したBOX。 | ||||||||||||||
簡易校正用。 | ||||||||||||||
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