テキスト ボックス:                     MRX-7D  改造
       バッファーアンプ追加 編
                              2010年10月   KY
◎はじめに
7MHz SSB/CW受信機製作キット「MRX-7D-FK」を改造しました。
このキットは免許無しで手軽にアマチュア無線を受信できるものです。
受信周波数範囲は約7.0MHz〜7.1MHz(または、基板内の調整により7.0MHz〜7.2MHz)
で、今回はこの受信周波数を「デジタル表示」してみようというわけです。
◎ダイレクト・コンバージョン
このキットの受信方式は「ダイレクト・コンバージョン」です。
デジタル表示する前に、この方式の簡単な動作原理を説明します。
ダイレクト・コンバージョンとは受信方式の1つで、図1のようにSSB(AM,CWでも良い)を一度
の変換(検波)で信号波fsにするものです。
VFOの発振をSSB波のfcと同じ周波数にすればその差分(プラスおよびマイナス)の成分が
検波部から出力されます。
さらに必要なfsのみが通るフィルターに入れればfsのみが得られます。
ここでの検波部は「周波数変換」を
行っています。
周波数変換の原理は図2のように
「非直線素子」に2つの信号fa,fb
を加えると、その差の成分が
出力に現れます。
非直線素子とは2乗特性を持つ
もので、例えば、ダイオードなどが
あります。
このようにダイレクト・コンバージョンは簡単な構成で、受信周波数の表示は局部発振器
の周波数を「周波数カウンター」で読めば良いわけです。(図3)
◎バッファーアンプを設ける
図3のように市販の周波数カウンター(専用機)を用いる場合、周波数カウンターの
入力インピーダンスは1MΩなどの「ハイ・インピーダンス」が必要です。
わざわざ、周波数カウンターを用いるのも大げさです。最近は安価なデジタルテスタ
でも周波数カウンター機能搭載の機種があります。
ただし、7MHz近辺のカウントでは、やはり、専用の周波数カウンターと比べて感度不足
のようです。
そこで、周波数カウンターの感度不足を補うことと、バッファーを兼ねたアンプを製作
することにします。
◎回路
図5に今回製作の回路を示します。
バッファーアンプはキットの基板上で組み立てる必要があり、なるべく部品点数を少なく
することにします。
「IN」に局部発振器からの信号を入力し、Q1により増幅します。(自己バイアス回路)
さらに、Q2の「エミッタフォロワ」によりドライブ能力を上げてカウンターへ接続します。
Q1とQ2のインターフェースは直結回路にして部品点数を減らしています。
図6にバイアス設計値を示します。
Q1,Q2は2SC1815などの汎用トランジスタでも動作しますが、この場合、やや、増幅度
が落ち、カウントミスするかもしれません。
今回はトランジスタに東芝の「2SC2668」を用い、増幅された後の信号波形を観測し、
2SC2668を採用しています。
製作後にINに信号を入力しない状態で、各トランジスタのコレクタ電圧が図6
のようであれば、良いです。
測定は必ず、「デジタルテスタ」で行います。
◎部品表
部品番号 品名     型番   メーカー 数量 備考
C1 セラミックコンデンサ 100pF       1 101
C2 セラミックコンデンサ 0.01μF       1 103
Q1,Q2 トランジスタ     2SC2668-Y(F) 東芝 2 Y
R1 カーボン抵抗 560K         1 564
R2 カーボン抵抗 2.2K         1 222
R3 カーボン抵抗 560Ω         1 561
◎作り方
局部発振の出力信号は基板上のジャンパー「JP3」です。
(キット添付の回路図を参照願います)
ここにバッファーアンプの「IN」を接続します。
JP3は基板の部品面ですが、バッファーアンプを基板はんだ面にて空中配線し、
基板はんだ面のJP3のラインに接続します。
必要なVccとGNDは付近のパターンに接続します。(写真1を参照)
特にはんだ付けで難しいところは無いと思いますが、用いる抵抗は、なるべく「小型サイズ」
のほうが作業がやりやすいです。
バッファーアンプの「OUT」および「GND」は周波数カウンタ(デジタルテスタ)に接続
します。この信号線は筆者の場合、外部スピーカ用ジャックの穴に通して、ケース
外へ引っ張り出しています。
これにより、ケースの加工は不要です。
なお、リアパネルの電源スイッチ横にスペースがありますので、ここに周波数カウンタ
接続用のBNCコネクタを設けても良いと思います。
外部スピーカを用いたほうが受信音が良く、聴きやすくなります。
したがって、試される方はカウンター用のBNCコネクタを設ける方法をお勧めします。
◎使い方
写真2に表示風景を示します。
用いたデジタルテスタは
Linkman  LDM-81D
このテスタは周波数測定機能があり、最大30MHzまでです。
カウンターとしての感度を測定してみました。デジタル信号であれば問題ありませんが、
小信号に対しては感度が不足します。
したがって、今回のようなバッファーアンプを追加すれば小信号でもカウントしてくれます。
なお、7MHzをカウントできる安価なデジタルテスタはこのLDM-81Dしか手持ちがなかった
ので他の機種は動作確認していません。
◎使用感
周波数表示はLDM-81Dの場合、「1KHz」分解能なので見やすく、すごく快適♪
筆者は、あいにく、アマチュア無線の免許を持っていません。
用いたアンテナは簡易的な「ロングワイヤー」です。日本全国からのアマチュア局
が良く入感しています。
CW(モールス信号)も良く入りますが、残念なことに筆者はCWが解読出来ません。
この古典的な電波形式CWが解読出来れば、さらに、無線の面白さが分かるのか
も知れません。
接続は図8のようにしました。、これから試される方は図9のようにMRX-7D-FK側を
BNCコネクタにすれば外部スピーカも接続出来、使い勝手が良くなります。
例えば、
テイシン電機 CN24A
などは、ケース加工が「丸穴」1つですから、加工が楽です。
また、テスタとの接続「BNCJ⇒バナナプラグ変換コネクタ」は
テイシン電機 AD123A
などがあります。
なお、「BNCJ⇒バナナプラグ変換コネクタ」は図10のように極性があります。