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Digi-Key社【アプリケーションラボ】技術解説記事のご紹介「調節可能な低リークLDOを使用してウェアラブル設計の電池寿命を拡張」

 「アプリケーションラボ」は、Digi-Key社のご協力をいただいて、Digi-Key社が公開している新製品や技術情報を日本語でご紹介するWebページです。基礎技術から最新技術まで有益な情報を公開していますので、是非ご活用ください。

 今回は、静止電流の小さなLDOを利用してウェアラブル機器のバッテリー寿命を延ばす方法について解説した記事をご紹介します。

■調節可能な低リークLDOを使用してウェアラブル設計の電池寿命を拡張
 最近では、IoTの普及に相まって無線機能を持ったウェアラブル製品の開発が進んでいます。ウェアラブル機器は小型にする必要があるので、電池には大きなものを搭載できません。そのため消費電力を極力小さくする必要があります。電池を使用すれば電源回路は不要になるように思えますが、電池は使用するに従い電圧が低下していきますし、消費する側の回路の動作状況により電圧は変動するので、供給電圧を安定させる電源回路は不可欠です。

 電池駆動の電源回路には大きくわけて、スイッチング方式とリニアレギュレータ方式があります。スイッチング方式は変換効率が高く、降圧だけでなく昇圧もできるという特長がありますが、スイッチングノイズが大きく電磁妨害を発生させます。また、スタンバイモードの長いウェアラブル機器では効率の高さがメリットになりにくくなります。

 リニアレギュレータは、出力を監視しながら余分な電力をバイパスさせる方式なので昇圧はできません。制御素子を負荷と直列に入れる方式をシリーズレギュレータ、並列に入れる方式をシャントレギュレータと言います。シャントとは分岐や分流という意味で、シャントレギュレータは無負荷時でも最大電力を消費するので電源回路としては使用されませんが、電圧精度が非常に高いので基準電源として使用されています。

 入力電圧と出力電圧の最低電位差をドロップアウト電圧と言いますが、LDOはドロップアウト電圧が非常に小さいシリーズレギュレータのことです。一般に、LDOの入力差は1V以下です。また、静止電流は、電源オフ時やスタンバイモードの際にシステムに流れる電流で、ウェアラブル機器では消費電力の半分近くを占めます。以上のことから、静止電流の小さなLDOがウェアラブル機器に適しています。

  【アプリケーションラボ】の解説記事では、LDOの効率の計算方法や最適化について、Microchip社とON Semiconductor社の低静止電流LDOを使って詳しく解説しています。入出力電圧の差を最小限に抑えることにより、スイッチングレギュレータに近い効率を実現することができます。

 ここで解説されているデバイスは、マルツオンラインのウェブサイトで購入できますので、是非参考にしてください。

超低静止電流LDO
【MCP1811BT-028/OT】 60円
逆電流保護付き低静止電流LDO
【LDL112D10R】 128.57円
超低静止電流デュアルパワーモードLDO
【NCP171AMX180175TCG】 112.86円

 下記の2本の解説記事も同時に公開しました。合わせて参考にしてください。

■産業用Ethernetを標準Ethernetに代わる堅牢で決定論的な手法として使用
 ここでは、産業用Ethernetと標準Ethernetの違いを説明し、期待した通りに通信ができる産業用Ethernetの利点について解説します。決定論的とは、あらかじめ決められた原因によって結果が必然的に決まることを意味します。

■ツェナーダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、バラクタダイオードの基礎と応用
 ダイオードは、整流素子やスイッチ素子として使用されることがほとんどですが、同調や減衰、基準電圧源などとしても用いられています。すなわち、用途によって特殊な性能を持つダイオードが開発されています。ここでは、それらの特殊なダイオードの役割と働きについて解説します。

 

 

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