オーディオ
オーディオに使用される周波数について(サンプリング周波数、PCM,DSDなど)
今回は、デジタルオーディオで使用される周波数とその意味について説明したいと思います。
最近はハイレゾ音源などが増えてきて192KHzだとか、11.2MHzなどと周波数が書かれていますがこれは何の周波数なんでしょうか?
このようなオーディオに使用される周波数に関してLV2.0で使用されているUSB-DACに搭載されているCombo384を例に説明したいと思います。
1.サンプリング周波数とは?
最近は、音楽配信が主流になりつつありますが、オーディオが最初にデジタル化されたのは、今でも発売されているCDです。
CDのサンプリング周波数は44.1KHzというのはよく耳にされると思います。デジタル信号は、0か1かが基本ですから人間の耳に聞こえる限界の20KHzまで再生するには、その倍の周波数の分解能が必要になります。それにデジタル信号処理の余裕を見て44.1KHzという周波数に決定されました。音楽信号は正弦波(サインウェーブ)の集合ですから、最高周波数20KHzでバタバタできるのが44.1KHzということになります。
2.16ビット、24ビットって?
これも良く耳にされると思いますが、CDは、44.1KHz/16bit と表現されることがあります。この16ビットというのは、音の大きさの事です。16ビットは、2の16乗段階の大きさが表現できますので65536通りの大きさとなります。
これをdBに換算すると20LOG(65536)で、約96dBとなります。CDのダイナミックレンジ(小さい音と大きい音の差)は96dBということになります。
DVDやハイレゾでは、24ビットの場合もありますが、この場合は、1677万段階144dBとなります。
3.PCMフォーマット
では、実際の信号は、どのようになっているかと言いますと、PCMというフォーマットの場合はサンプリング周波数で32ビットまで対応できるI2Sという規格が一般的になっています。CDの場合ですと、ステレオですから2チャンネル(L,R)が交互に32ビット(実際に使用するのはそのうちの16ビットですが)で44.1KHzの周波数のデーターという事になります。
ですからこれをデジタル処理するには、44.1KHz×2CH×32bit=2.8224MHzの処理能力が必要となるわけです。
実際にCOMBO384の出力を見てみましょう。
これは、黄色が2CH(L・R)を切り替えているLRCLK(またはFSCLK)と呼ばれている信号で、LR一組を44.1KHzごとに送っています。
下の青色がDATAラインで32ビットに分割されていてL,RそれぞれのDATAが出力されています。
4.COMBO384のオーディオ
COMBO384の説明書を見ると
まず目につくのがOSCILLATORSG(発振)という項目に2種類の周波数が載っています。
24.5760MHzと22.5792MHzの2つですね。
COMBO384は、オーディオに関する基準周波数としてこの二つを搭載している事になります。
5.マスタークロック
さきほどの基準周波数をマスタークロックと呼んだりします。回路図では、MCLKと表記されています。
実際の波形を見てみましょう。
【注意】オシロスコープの周波数帯域幅の性能により、台形表示されていますが、実際は四角い方形波です。
この二つの違いは、再生した音楽のフォーマットの違いによるものなのです。
左の22.5792MHzは、CD(44.1KHz)を再生した時で、右側の24.5760MHzは、DVD(48KHz)を再生した時になります。
デジタル処理では、この基準周波数(マスタークロック)を1/2,1/4などに下げる事は簡単にできますが全く違う周波数を作り出すのはめんどうです。このように1/2などに周波数を下げる事を分周と言います。
ここで、割り算をしてみましょう。
22.5792MHz /32/2 = 352.8KHz
22.5792MHz/2 = 11.2869MHz /32/2 = 176.3KHz
22.5792MHz/4 = 5.6448MHz /32/2 = 88.2KHz
22.5792MHz/8 = 2.8224MHz /32/2 = 44.1KHz
24.5760MHz /32/2 = 384KHz
24.5760MHz/2 = 12.288MHz /32/2 = 192KHz
24.5760MHz/4 = 6.144MHz /32/2 = 96KHz
24.5760MHz/8 = 3.072MHz /32/2 = 48KHz
どうでしょうか。見たことある周波数が出てきたと思います。
/32/2は、さきほど出てきた32ビットのLR2チャンネル分という事です。
左側は、CDの44.1KHzから出てきた周波数という事がわかりますね。
右側は、DVDや放送で使用される48KHzが元になっている周波数になります。
また、PCMと方式は違いますが、DSDのサンプリング周波数としては、左の数字が出てきますのでCDを基準にしている事がわかります。
DSD64 2.8224MHz、DSD128 5.6448MHz、DSD256 11.2896MHz DSD512 22.5792MHz
これらは、全てこのマスタークロック周波数が元になっているわけです。
6.LRCLK
さきほど出てきたLRCLKは、L、Rの区別をする信号と説明しました。I2Sフォーマットの規定では、信号レベルが0V(low)がLチャンネル、HighがRチャンネルと規定されています。
実際にサンプリング周波数に対応したLRCLKの波形を見てみましょう。
このようにサンプリング周波数はLRCLKと一致します。COMBO384ではLPCMの最高サンプリング周波数は、384KHzまで対応しています。
7.BCLK
単純にCLKと呼ばれることもありますが、ビットクロックと一般的に言われているもので、32ビットを読み出すための基準クロックになります。従ってサンプリング周波数の32倍でLRチャンネル合わせて64倍の周波数になります。
前の周波数計算の2番目の周波数になります。44.1KHzの場合は2.8224MHzになります。
では、実際のBCLKを見てみましょう。
このBCLKは、DSDの時も出力されます。
DSD64 2.8224MHz
DSD128 5.6448MHz
DSD256 11.2896MHz
DSDの紹介などでよく11.2MHz対応とか出てきますが、正確にはこの周波数の事です。
波形が四角くないのはオシロスコープの周波数帯域幅が低いためです。実際は、方形波です。
いかがでしたか?
オーディオに使用されている周波数について理解頂けましたでしょうか?
いろいろな場面でオーディオの周波数を見かける事があると思いますが、この周波数ってこんな意味だったんだと思い出して頂ければより一層デジタルオーディオが身近に感じられると思います。
マルツでは、このDSD256(11.2896MHz)までLPCMは384KHzまで対応したCOMBO384を搭載したアンプなどを販売しております。
高いサンプリング周波数に対応していますので、ハイレゾの楽曲を再生することができます。
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