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USBヘッドホンアンプキットMHPA-PCM2705U(R2)の作成方法 その1

今回は、USBヘッドホンアンプキットMHPA-PCM2705U(R2)の作成方法を紹介します。
このヘッドホンアンプキットは、アルミのケースに組み込まれていますので、ノートパソコンなどと組み合わせて手軽に高音質ヘッドホンを楽しむ事が可能になっています。

キットには、フルキットと通常のキットの2種類があり、フルキットでは、面実装(チップ部品)のハンダ付けも行うように出来ていて、電子工作の醍醐味が味わえます。
詳しい動作説明も付いていますので、マニアの方や電子系エンジニアの学習や面実装の訓練にも対応できます。
また、4種類のオペアンプも最初から同梱されていて、オペアンプの音質の違いを体験できます。
面実装に自信の無いかたは、通常のキット(面実装取り付け済み)を選んで頂ければ、手軽に組立てが出来、音質の違いの体験も可能です。

 

1.準備するもの

(1) USB-DAC内蔵ステレオヘッドホンアンプキット MHPA-PCM2705U(R2)-FK:フルキット

または、 MHPA-PCM2705U(R2)-KIT:通常キット (こちらは、面実装部品が実装済みです。)

(2) 外部水晶発信モジュール MHPA-BPXO12MHZ クロック精度向上 無くても動作します。

 

2.必要工具

(1)
ハンダごて、ハンダ (ハンダづけ作業時は、やけどに注意してください)
チップ部品をハンダづけする場合は、できれば専用のハンダごてやこて先を用意してください。
お勧めハンダごて  HAKKO FX-600

(2) ハンダ吸い取り線  余分なハンダを吸取るのに使用します。 HAKKO FR100-04

(3)ピンセット
チップ部品をハンダづけする場合に必要です。
いろいろと使えて便利な平型がお勧めです。 HOZAN P-888

(4)ニッパー、ラジオペンチ

(5)+ドライバー   ケースを閉めるのに必要です。

(6)六角レンチ  ボリュームつまみを止めるのに必要です。 (1.5mm)

(7)拡大鏡
チップ部品をハンダづけするには、両手が使える拡大鏡があると便利です。 Linkman FZ1090
セットの内部基板を修正したりするのは、こうしためがねタイプのものがあると良いです

 

ここに紹介した工具などの使い方について説明しています。 制作時の参考にしてください。

・ 電子工作に必要な工具の種類と使い方 【ハンダ付け編】 【ワイヤー処理編】 【測定編】 【穴あけ編】

 

3.組立手順

①これがキットに入っている全部品です。(写真はフルキットバージョンのものです。)

ampkit_01

 

※部品リストが入っていますので、全部の部品があるかチェックしてください。
部品リストにはピンクの袋に入っている部品(トランジスタなど)と書いてありますが、写真のようにピンクの袋はありません。
全部透明の袋に入っています。

 

 

②ハンダづけの順番などは詳しく書いてないのですが、基本的には背の低い順につけていきます。

従って最初は、面実装(チップ部品)からになります。

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※面実装初めての方はこのように抵抗からハンダづけするのが良いでしょう。この抵抗のサイズは1608と呼ばれ
1.6mm×0.8mmのサイズですので、比較的取り付け易いです

 

 

③ピン数の多いICは、周辺に部品が付いているとハンダづけしにくいので、先につけましょう。

ampkit_03

※ICの取り付けは、どこか端の1ピンだけをハンダづけして、きちんと真ん中になるように位置決めをして他のピンをハンダづけします。
ハンダをつけすぎると、ピンにまたがってハンダがついてしまいます。その場合は、ハンダ吸い取り線を上に載せてハンダごてをあてれば吸い取る事が出来ます。

 

 

④トランジスタをハンダづけします。 2種類ありますので間違えないようにしましょう。

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※写真のトランジスタの位置がPNP(2SA1576A)の取り付け位置になります。
トランジスタは、最初に1本ピン側(コレクタ)だけをハンダづけして位置決めしてから他の2本をハンダづけするとうまく出来ます。

 

 

⑤NPNトランジスタもハンダづけします。

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⑥他のチップ部品も全て取り付けます。

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※コンデンサーは、チップ自体に何の表示もありませんから、ひとつづつ良く確認しながらつけてください。
写真のコンデンサーC21(1μ F)は、回路図では、C11になっています。
写真には、R13とR40に抵抗がついていませんが、ここには、560Ωをつけてください。
説明書では、業務用ヘッドホン(300Ω)を使うときに入れるの矢印→がR13になっていますが、RX1の間違いです。
また、解説ページでは、R13は100Ωとなっていますが、部品リストでは560Ωになっていますので、560Ωをつけてください。
50Ω~300Ωのヘッドホンや、ライン出力にする場合は、RX1に560Ωをつけます。

 

 

⑦次に裏面の面実装を行います。

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※最初にUSB-DACの電源用のIC4(LP2985IM5-3.6)をつけます。

 

 

⑧他の面実装のチップをつけます。

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※最後にコイルをつければ完成です。

 

 

⑨ツエナーダイオード、USBコネクター、ICソケットをつけます。

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※ICソケット、USBコネクターも1箇所だけハンダづけして、位置を正しく修正してから他のピンをハンダづけします。

 

 

⑩その他の部品も順次ハンダづけします。

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※C37,C38はあえてつけてません。

 

 

⑪C37,C38は、アナログ信号を通すカップリングコンデンサーと言われるものです。

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※カップリングコンデンサーは、直に音楽信号が通る部品ですので、音質に大きく影響します。
面実装タイプのコンデンサーをハンダづけしてしまうと、交換するのが難しくなるのであえてつけませんでした。
今回は、ニチコンのオーディオ用コンデンサーをつけてみました。
ニチコン 10μ F/50V UFG1H100MDM

 

 

⑫最後にクリスタルをつければ完成です。

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※クリスタルは、裏から挿入して表面でハンダづけします。

 

 

⑬次にOPA2376と連結ソケット、変換基板を組立てます。

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※ICと変換基板はばらばらで入っているため、自分でハンダづけしないといけません。

 

 

⑭以上で完成です。ノートPCと付属のUSBケーブルで接続してみます。

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※ヘッドホンをさす前に、異常な発熱などないか確認しましょう。
各部分の電圧もテスターでチェックしたほうがよいです。特に説明書にあるヘッドホン出力に電圧が出ていないか確認してください。
⑥のR13,R40がついていないと、オペアンプが不安定な動作になり、出力に電圧が出てしまいます。

 

■つづきはこちら■

○ドライバをインストールし、音を出してみましょう

○制作したヘッドホンアンプの特性

○外部水晶発振回路モジュールの組み込み

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