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Linkman製 プロテクションキット【LV2-SPPM-KIT】 作成方法
プロテクションキット 作成方法
LV-2.0 プロテクションキット【LV2-SPPM-KIT】 \3,980(税抜)
今回は、LVのプロテクションキット LV2-SPPM-KITの作成、LV2.0への取り付けについて紹介します。
LV2.0は、優れたアンプキットですが、スピーカーやヘッドホンの保護回路が組み込まれていません。
スピーカー端子のショートによる電流検出プロテクションや、アンプICの温度プロテクションはアンプ自体に内蔵されていますが、電源オンオフ時のノイズや、アンプが故障したときなどのプロテクションがありません。
大切なスピーカーを保護するためにも、このプロテクション回路を追加する事をお勧めします。
■準備するもの
(1)LV2.0 アンプキット 今回はLV2.0Premiumキット(LV2-KIT-PREMIUM)を使用します。
(2)スピーカープロテクション基板キット(LV2-SPPM-KIT)
(3)パワーアンプ回路遮断用メカニカルリレー(LV2-SPPM-OP2)
または、 パワーアンプ回路遮断用FETセット IRFB3006 (LV2-SPPM-OP1)
※プロテクションキットには、スピーカー遮断デバイスが付属しておりません。リレーまたは、FETのどちらかが必要になります。
スピーカー・プロテクション基板キットの組立説明書の最新版を準備してください。
(Linkman Audioの特設ページからダウンロードいただけます「専用スピーカープロテクション基板」)
【リレーとFETの違いについて】
スピーカー遮断デバイスとしてリレーかFETが選択できるようになっていますが、これらの違いについて説明します。
まず、信頼性の観点からは、圧倒的にFETのほうが良いです。リレーは、メカ動作部分がありますので、どうしても信頼性はFETより劣ります。
次に動作速度の点でもFETの方が優れています。異常を検出してから、実際に遮断するまでの時間はFETの場合はほぼ0ですが、リレーの場合は、メカが動作するタイムラグがどうしても発生してしまいます。
音質の点からは、電子デバイスを通過しないリレーの方が良いかも知れませんが、その差はごく僅かだと思います。
最後に、FETではGND側を遮断しているので、バランス出力には対応できません。リレーは、ホット側を遮断しているので、バランス出力にも対応可能です。LV2.0シリーズのアンプは、シングルエンド出力ですので、どちらでも対応する事が可能です。
■必要工具
(1)六角レンチ(LV2.0Premiumのトップカバーをはずすため)
(2)+ドライバー(プロテクション基板をLV2.0の取り付ける際に使用)
(3)ハンダごて、ハンダ(ハンダ付けの作業時は、やけどにご注意ください。)
(4)ニッパー、ラジオペンチ
工具の使い方について説明しています。制作時の参考にしてください。
・ 電子工作に必要な工具の種類と使い方 【ハンダ付け編】 【ワイヤー処理編】 【測定編】
■組み立て手順
(1)これが組み立てる部品一式です。 回路遮断用はFETの場合です。
(2)最初に背の低い部品からハンダ付け作業を行うと効率的に作業が進められます。
まずプロテクションICをハンダ付けします。ICの左側に○の刻印があるほうが1番ピンです。
ピン数の多いICをハンダ付けする場合は、端の1ピンだけをハンダ付けしてハンダごてを当てながら手でICをしっかり押し込んできちんと奥までまっすぐに整形してから、他のピンをハンダ付けしてください。
ハンダ付けする際は、まわりに小さなチップ部品がすでに実装されていますので、これらの部品のハンダが取れないように注意して作業してください。
(3)次にジャンパーをハンダ付けします。 写真は、リレーを使用する場合です。 ヘッドホンプロテクションも取り付けるためにW31,W32もジャンパーをつけます。
リレー:W3,W4 FET:W1,W2 ヘッドホン:W31,W32
ジャンパー線は、プロテクションキットに同梱されています。被覆のないワイヤーをカットしてジャンパー穴に合わせて曲げてハンダ付けしてください。
(4)次に背の低いコネクターを4箇所ハンダ付けします。このコネクターは、きちんと奥まで差し込むと固定されますので、そのまま全ピンをハンダ付けしてください。
ハンダ付けする際に隣のピン同士のハンダがくっつかないように注意してください。
写真のハンダ付けは、ピンどうしのハンダがくっついてしまっています。これでは、うまく動作しません。
(5)残りのコネクターをハンダ付けします。このコネクターは基板に固定されないので、1ピンだけ仮にハンダ付けしてハンダごてを当てながら基板から浮かないようにしてください。
上の写真は、コネクターが浮いて傾いています。コネクターを修正するときにはピンが熱くなりますので、やけどしないように気をつけてください。
全てのコネクターを取り付け終わった状態です。
(6)次にLEDとコンデンサーを取り付けます。LEDとコンデンサーは極性(向き)がありますので十分注意して取り付けてください。
LEDは、足の長いほうがアノード、短いほうがカソードで、アノードからカソードに向かって電流が流れることにより発光します。
基板には、カソード側(写真右側)が太い白線になっていますので、左側を足が長い(アノード)にしてください。
コンデンサーは、白いラインがあるほうがマイナス(-)側です。基板の印刷もマイナス側が太く印刷されていますので方向を合わせて取り付けてください。
(7)ヘッドホン用のリレーを取り付けます。
(8)スピーカー用のリレーを取り付けます。FETの場合は、4つのFETを取り付けます。これで、プロテクション基板の完成です。
(9)ワイヤーを作成します。ピンの向きに注意してコネクターに差し込んでください。
一旦最後までワイヤーを入れると、ツメがあるので、引張っても抜けなくなります。
基板とワイヤーの完成です。これで、プロテクションキットが全て完成しました。
(10)最後に、プロテクションキットをLV2.0に取り付けます。
まずLV2.0のトップカバーをはずします。これは、LV2.0-Premiumのオリジナルの配線状態です。
ヘッドホンのワイヤーをはずします。はずしたワイヤーは使用しません。
プロテクション基板を取り付けます。最初にスペーサー(金属の棒)と基板をねじで4箇所取り付けて裏からねじで止めてください。
シャーシの穴は2箇所が丸穴、2箇所が長穴になっていますので、最初に丸穴を止めてから、長穴を止めます。
古い組立説明書では、電源ワイヤ(No.25)をCN103に接続するように書いてありますが、これは、CN102の間違いです。申し訳ありません。
オリジナルの電源ワイヤ(アンプと接続)をCN102からCN103につなぎ換えてください。
次にスピーカーからの配線ですが、こちらも組立説明書が間違っておりました。
R-chスピーカーからのワイヤーは、プロテクション基板(LV2-SPPM)のCN3に、
L-chスピーカーからのワイヤーはプロテクション基板(LV2-SPPM)のCN4に接続してください。
R-chスピーカーからのワイヤーは、CN4には届きませんよね。
Wire23,24も逆です。写真のようにアンプ(LV2-PWAM)のCN3とプロテクション基板(LV2-SPPM)のCN2を接続してください。
同様にアンプのCN4をプロテクション基板のCN1に接続します。
電源ワイヤー25は、プロテクション基板CN7とさきほどずらしたACDCM基板のCN102とを接続します。
最後にヘッドホンワイヤーを接続します。
プロテクション基板(LV2-SPPM)のCN11とヘッドホンアンプ(LV2-HPAM)のCN2を接続します。
プロテクション基板(LV2-SPPM)のCN12とヘッドホンジャック(LV2-HPJ)のCN1を接続します。
プロテクション基板のヘッドホンコネクターのシンボルが間違っていました。
最新版の回路図を参考にしてください。
(Linkman Audioの特設ページからダウンロードいただけます「専用スピーカープロテクション基板」)
■動作
メインの電源を入れると、約5秒間LEDが点滅します。その後、リレーがオンしてLEDが点灯します。
この後、リモコンのパワーキーで、電源オンすれば、スピーカーまたはヘッドホンから音が出ます。
■動作解説
プロテクションキットに使用している、ルネサスのμPD1273HAは、過電圧検出、電源オフ検出、直流電圧検出、電源オン遅延などの
機能が搭載されています。
LV2.0で使用しているのはこのうち、電源オン時の遅延(約5秒)と、スピーカー、ヘッドホン出力端子の直流電圧検出です。
デジタルアンプでは、スイッチング動作により、スピーカーの出力をコントロールしているため、スイッチングの電圧は、数十Vにもなります。
スイッチングのFETが故障したりすると、この直流電圧がまともにスピーカーに出力されてしまいます。
一般のスピーカーは、直流の数十Vを連続して加えると、ボイスコイルが焼き切れる可能性があります。
従って、このような直流電圧検出のプロテクションがアンプには必要となります。
市販のアンプには、こうしたプロテクションが必ず搭載されています。
LV2.0だけでなく、自作で作ったアンプをお持ちの方にはこのプロテクションキットを搭載される事をお勧めします。
汎用タイプもあります。 汎用スピーカープロテクション基板キット【LVS-SPPM-KIT】
追記
ルネサスのICは、ACOFF検出プロテクションも搭載されています。電源スイッチを切った時にすばやくプロテクション動作します。
LV2.0のキットでは、この部分に+Bが接続されていますので動作しませんが、少し改造するだけで、ACOFF検出に対応する事が出来ます。
こちらにACOFF検出の使用例がありますので、参考にしてください。
・LVモジュール組み合わせ 6.パワーアンプ (2)組み立て、動作確認 8. ポップノイズ対策