マイクロソフト社は、Windowsを組み込み分野にも普及させたいと常々努めてきましたが、なかなか成果が上がっていないように感じられます。最近では、Raspberry Piで動作する組み込み機器用に開発されたWindows10 IoT Coreを無償で提供するなど、画期的ともいえるアプローチを行っていますが、注目度はそれほど高くありません。ユーザがWindowsに期待するものと少しズレがあるのかもしれません。
しかし、組み込み機器といえども開発環境にはWindowsを利用することが多いので、そのまま組み込み機器になればよいと考えている人は多いのではないでしょうか。
LattePandaは、そんな期待を持たせるWindows10のフルバージョンが動作するシングルボードコンピュータです。インテルAtomプロセッサを搭載し、Windows10 Home Editionがプリインストールされています。ハードウェア仕様は、低価格のWindowsコンピュータと同等であり遜色はありませんが、単なるWindowsマシンとしてならそれほど魅力はないといえます。
LattePandaの特長は、その拡張性にあります。基板上にATmega32u4が搭載されていてArduino leonardoと互換性があり、デスクトップ上にあるArduinoIDEからArduino leonardoが認識され、そのままプログラムを書き込んで実行させることができます。残念ながら、GPIOの端子配置が異なるためArduino用のシールドはそのままでは利用できませんが、その代わりGravityセンサーコネクタを利用することができます。
Gravityセンサーは、LattePandaの開発元でもあるDFRobot社が提供しているセンサーシリーズで、重力センサーというわけではなく様々な機能のセンサーが用意されています。Gravityセンサー用のコネクタは6本用意されています。また、LattePandaには3つのUSBポートがあり、WiFi、Bluetooth4.0も利用できるので外部との接続性も十分です。
LattePandaには、オプションとして7インチフルカラーディスプレイ、オーバーレイタッチパネル、アクリルケース、木製ケース、冷却ファン、ヒートシンクなどが用意されています。また、RAMが4GB、ストレージが64GBでWindows10 Enterpriseを搭載したモデルも用意されています。

■LattePanda Windows10 Mini PCの主な仕様
・CPU:Intel Cherry Trail Z8350クアッドコア1.44GHz(1.92GHzブースト)
・OS:Windows10 Home Editionプリインストール
・RAM:2GB DDR3L
・ストレージ:32GB
・GPU:インテルHDグラフィックス、12EU(200~500MHz)、シングルチャンネルメモリ
・USB3.0×1、USB2.0×2
・WiFi802.11n 2.4G、Bluetooth4.0
・Arduinoコプロセッサ:ATmega32u4(Arduino leonardo)
・ビデオ出力:HDMI、MIPI-DSI
・タッチパネルコネクタ
・100Mbpsイーサネット
・IntelプロセッサからGPIO×6
・ATmega32u4からGPIO×20
・プラグ&プレイGravityセンサーコネクタ×6
・電源:5V/2A
・サイズ:88×70mm
・重量:55g