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セラミックコンデンサを活用して電力密度と変換効率を向上

著者 Majeed Ahmad 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2020-05-21

マルツ掲載日:2020-09-07


 IoT向けのデータサーバから電気自動車(EV)に至るまで、電力システムの設計者は、より高度な電力密度と変換効率の実現という圧力にさらされ続けています。多くの場合、これらの改善を実現するために半導体スイッチングデバイスに焦点が当てられてきました。

 多層セラミックコンデンサ(MLCC)はその固有の特性により、設計者が設計要件を満たすのを助けるうえで重要な役割を果たすこともできます。その特性には、低損失、高電圧およびリップル電流処理能力、高電圧耐性、極端な動作温度に対する高い安定性が含まれます。

 この記事では、MLCCの構造と、高速スイッチング半導体を補完しつつセラミックコンデンサがDCやACレールで電力処理を向上させる方法について説明します。この記事では、クラスIおよびクラスIIの誘電体と、それらが小型MLCCによってスナバや共振コンバータなどの電力システムに貢献する方法についても明らかにします。

MLCCの構築方法

 MLCCは、セラミック誘電体と金属電極の層を変化させることにより構築されるモノリシックデバイスです(図1)。MLCCのラミネート層は、焼結された体積効率の高い静電容量デバイスを製造するために、高温で構築されます。次に、導電性終端バリアシステムをデバイスの露出端部に組み込み、接続を完了します。


図1:セラミック誘電体は、温度安定性や比誘電率にしたがって分類されます。(画像提供:KEMET)

 優れた体積効率を提供する無極性デバイスであるセラミックは、小型パッケージサイズでより高い静電容量を供給できます。加えて、高周波数動作でさらに信頼性が高くなります。これによりMLCCは、誘電体、終端システム、フォームファクタ、スクリーニングの最適な組み合わせを提供できます。

 とはいえ、高電力密度アプリケーション向けにセラミックコンデンサを選択する場合、設計者はいくつかの問題に適切な注意を払う必要があります。まず第一に、静電容量は、動作温度、適用されるDCバイアス、さらに前回の発熱後の経過時間の影響を受ける場合があります。たとえば、前回の発熱後の経過時間は、静電容量のシフトを引き起こす可能性があります。これは、コンデンサの経時変化につながります(図2)。


図2:静電容量の割合の経時変化率。(画像提供:KEMET)

 より重要なこととして、すべてのコンデンサにはインピーダンスと自己インダクタンスがあるため、高速スイッチングのIGBTやMOSFET半導体デバイスにより生成されたリップルは、性能に影響を与える場合があります。したがって、インバータのようなデバイスは散発的に強電流を要求し、高いリップル電流許容差を必要とするため、コンデンサが変動を制限することは必要不可欠です。

 さらに、特定の周波数や温度で規定された全体の内部抵抗を表す重要な特性であるコンデンサの実効直列抵抗(ESR)があります。設計者はESRを最小化することにより、熱発生による電力損失を低減することができます。

 次に、低い有効直列インダクタンス(ESL)により、動作周波数範囲が拡大して、セラミックコンデンサのさらなる小型化が可能になります。低いESRと低いESLが組み合わさることで、コンデンサの電力処理能力が向上し、デバイス寄生が最小化されます。さらに、それらは損失の低減に貢献し、コンデンサが高いリップル電流レベルで動作できるようになります。

 設計上のもう1つの重要な考慮事項は、誘電体材料の選択です。これにより、温度に対する静電容量の変化が決定付けられます(図3)。C0GやU2JなどのクラスIの誘電体材料はより温度が安定した誘電体を提供しますが、比誘電率(K)が低くなります。その一方で、X7RやX5RなどのクラスII材料はミッドレンジの安定性とK値を特長とし、はるかに高い静電容量値を提供します。


図3:クラスIとクラスIIの誘電体材料は、主に特定の温度に対して変化する静電容量の点で異なります。(画像提供:KEMET)

 ただし、高速スイッチング電源システムでは、動作周波数が高いほど、電力を供給するのに必要な静電容量が低くなります。これにより、K値の低いセラミックコンデンサが、かさばる高静電容量のフィルムコンデンサに取って代わることができ、電力密度が大幅に向上します。これらのセラミックコンデンサは小さなフットプリントで提供されるため、高速スイッチング半導体の近くに実装でき、高電力密度アプリケーションで必要な冷却も最小限になります。

クラスIの誘電体MLCC

 CKC33C224KCGACAUTO(0.22µF、500V)、CKC33C224JCGACAUTO(0.22µF、500V)、CKC18C153JDGACAUTO(15nF、1000V)のようなKEMETのKC-LINKコンデンサは、クラスIの良い例です。これらは、スイッチング周波数、印加電圧、周囲温度による静電容量の損失がない非常に安定した動作を促進する、クラスIのジルコン酸カルシウム誘電体材料を活用しています。低損失のジルコン酸カルシウム誘電体材料は、経時的な静電容量のシフトがないため、経時効果も最小化します。

 KC-LINKコンデンサは、C0G誘電体技術を活用して、非常に低いESRで、高電力密度設計に必要な非常に高いリップル電流を管理する機能を実現します。これらのクラスIセラミックコンデンサは高い機械的堅牢性により、リードフレームを使用せずに実装できます。これは、非常に低いESLにも寄与します。

 これらのセラミックコンデンサは、非常に高いリップル電流で動作できます。DC電圧に対する静電容量の変化はなく、-55℃~+150℃の動作温度範囲に対する静電容量の変化はごくわずかです。これらは、4.7nF~220nFの静電容量値、500V~1,700Vの電圧定格で使用可能です(図4)。


図4:150℃の動作温度を備えたKC-LINKセラミックコンデンサは、最小限の冷却を必要とする高電力密度アプリケーションにおいて高速スイッチング半導体の近くに配置することができます。(画像提供:KEMET)

 ここで、クラスIの誘電体材料に基づくKC-LINKコンデンサの提供するオンチップ静電容量が同じサイズのクラスIIのコンデンサよりも低いことは、注目に値します。したがって、さらに静電容量が必要な場合は、複数のKC-LINKコンデンサを結合して一体構造にすると、より高密度なパッケージングを作成できます。

 このコンデンサ統合の結果として、KC-LINKに似た低ノイズソリューションを実現できますが、静電容量は最大125%増加します。クラスIの誘電体材料に基づくKEMETのKONNEKT面実装コンデンサは、100pF~0.47µFの高い静電容量値を提供します。これらのコンデンサは、定格電圧で公称静電容量の99%以上を保持し、タイミングが重要な場合や温度サイクルや基板のたわみの影響を受けるアプリケーションに最適です。

MLCCを積み重ねることによる静電容量の増加

 C1812C145J5JLC7805C1812C944J5JLC7800C1812C944J5JLC7805を含むKONNEKTセラミックコンデンサは、デバイスの完全性を保持しつつ、2~4個のセラミックコンデンサを垂直や水平に重ねることにより作成されます。C1812C944J5JLC7800セラミックコンデンサは、2個のデバイスを重ねることにより、0.94µFの静電容量を提供します。一方、C1812C145J5JLC7805セラミックコンデンサは、3個のデバイスを重ねることにより、静電容量値が1.4µFになります。

 これらのMLCCは、過渡液相焼結(TLPS)材料を利用して、部品の終端を結合します。これにより、リードレスマルチチップソリューションを実現しています。リードレスマルチチップソリューションにより、コンデンサは既存のリフロープロセスに対応できるようになります。銅/錫材料で作られた金属基複合ボンドであるTLPSは、はんだの代替品として使用されます。これは、2つの面(この場合はU2J層)の間で冶金結合を形成します。

 コンデンサが両方の向きに組み込み可能であるという事実により、部品のフットプリントが最小化され、重ねられたMLCCデバイスのバルク静電容量が最大化されます(図5)。これにより、KONNEKTセラミックコンデンサは、以前はX5RやX7RなどのクラスII誘電体材料でのみ可能だった静電容量範囲を実現できます。


図5:MLCCは、重ねて静電容量を増やしたり、低損失な向きに配置したりすることにより、ESRとESLを低減できます。(画像提供:KEMET)

 低損失な向きにすると、熱へと変換される電気エネルギーが少なくなります。これによりエネルギー効率が向上し、コンデンサの電力処理能力がさらに強化されます。低損失な向きにするとESRやESLも低減されるため、リップル電流を処理するセラミックコンデンサの能力が向上します。

 超安定誘電体と組み合わせてTLPS材料を使用すると、セラミックコンデンサは数百kHzの範囲で非常に高いリップル電流を処理できるようになります。たとえば、C1812C145J5JLC7805 U2J 1.4μF KONNEKTコンデンサを標準の向きで実装した場合のESLは1.6nHですが、低損失な向きで実装した場合はESLが0.4nHに減少します。同様に、低損失な向きにするとESRは1.3mΩから0.35mΩに減少するため、システム損失が低減され、温度上昇が抑制されます。

 KEMETのU2J KONNEKT面実装コンデンサは、-55℃~+125℃の温度範囲で、静電容量の変化を-750±120ppm/℃に制限します。これにより、U2Jセラミックコンデンサは、DC電圧に対してごくわずかな静電容量のシフトと周囲温度に関して予測可能な静電容量の線形変化を示します。

ACラインセラミックコンデンサ

 上記で述べたセラミックコンデンサは、DCレール上の電圧と電流を安定化しスムーズ化することにより、高速スイッチングにより引き起こされるデカップリングスパイクを防止します。ただし、セラミックコンデンサは、ACラインフィルタリング、AC/DCコンバータ、力率補正(PFC)回路でも使用されます。

 ここで、ACラインセラミックコンデンサは安全/非安全定格の両方のフォーマットで提供されることに注意してください。安全定格コンデンサは電気ノイズを抑制し、設計を過電圧および過渡から保護しますが、これらの安全認証されたMLCCではより高度な静電容量/電圧(CV)レベルが使用できません。

 さまざまなサイズとCV値で入手可能な非安全定格ACセラミックコンデンサは、ACライン条件で連続使用できます。KEMETのCANシリーズ セラミックコンデンサは、50/60Hzライン周波数で250VACのACライン条件や他の非安全アプリケーションに適しています。


図6:CANシリーズ ACラインコンデンサは、低リーク電流および高周波数領域での低いESRを提供します。(画像提供:KEMET)

 ACラインコンデンサは、低リーク電流と高周波数領域での低いESRを提供します(図6)。これらのコンデンサは、ライン間(クラスX)とライン~グランド間(クラスY)アプリケーションに対応し、IEC規格60384に記載されたインパルス基準を満たします。

 セラミックコンデンサのCANシリーズは、X7RとC0G誘電体の両方で入手可能です。DCリンクコンデンサの場合が示すように、C0G誘電体は、時間と電圧に関して静電容量の変化を示さず、周囲温度に関して静電容量のごくわずかな変化のみを示します。

 一方、CAN12X153KARAC7800CAN12X223KARAC7800などのセラミックコンデンサでは、X7Rは時間と電圧に関して予想可能な静電容量の変化を示し、周囲温度による静電容量の変化は最小限になります。

 CAN12X153KARAC7800セラミックコンデンサは0.015µFの静電容量値を提供し、CAN12X223KARAC7800デバイスは0.022µFの静電容量を提供します。この両MLCCデバイスの許容誤差は10%です。

結論

 電力供給システムが縮小を続け、小型のフォームファクタにより多くの電力を収容する中で、MLCCはサーバ電源からワイヤレス充電器、パワーインバータに至る各種設計において重要な役割を果たしています。MLCCは、変換効率の向上を目指して、DC電圧やAC電圧をスムーズ化し、電流リップルを安定化させ、電源設計の熱管理を確保します。

 この記事で示したように、クラスIとクラスIIの誘電体の選択により、特定のアプリケーションのニーズに応じて、MLCCは静電容量やESRおよびESLなどの重要なパラメータを調整できます。



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