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小型化されたPoLコンバータを使用したゲインの最大化

著者 Mark Oswald 氏
Flex Power Modules 提供
2020-05-26

マルツ掲載日:2020-09-14


 今日、システム電源に対して厳しい要件が求められており、設計者は複数の電源電圧、電圧シーケンス、高過渡負荷電流、過剰な熱などの問題に対処しなければなりません。このような問題にはシステム電源で対応するのではなく、PCB(プリント回路基板)レベルでの対処手段を導入した方が有効であり、そのためには、何らかの形式のポイントオブロード(PoL)コンバータが必要です。

 多くの設計技術者は、小型で効率の良いシステムというコンセプトに対する市場のニーズを満たす必要があるため、小型化されたPoL電源への需要が高まっています。ただし、製造方法はPoLコンバータによって異なる場合があるため、供給元を決定する前には何点かの要素を検討する必要があります。

 近年、エレクトロニクス業界は多数の重要なトレンドの影響を強く受けています。特に、この業界では集中型の電源システムからの移行だけでなく、分散電力アーキテクチャ(DPA)からの移行も進んでいます。代わりに選択されるようになっているのが中間バスアーキテクチャ(IBA)です。

 このアーキテクチャでは、絶縁されたフロントエンドのDC/DCコンバータが、複数かつ小型の非絶縁型DC/DCコンバータ(ポイントオブロード/PoLと呼ばれる)に電力を供給します。これらの非絶縁型DC/DCコンバータは、電力の供給先である負荷対象の近くに配置されます(図1)。


図1PMU8318(Flex Power Modules社製)のようなPoLコンバータは、集中型電源システムの代替が可能(画像提供:Flex Power Modules)

 PoLコンバータが使用されるようになり、これまでにない性能レベル、コスト削減、システム/コンポーネントの小型化へのニーズといった、別のトレンドも出現しています。最新のエレクトロニクスデバイスは、より高速でスマートであるだけでなく、以前の製品と比べると、大幅に小型化/軽量化されており、電力密度が高くなり、効率が向上しています。

 こうした要因によって、電源の設計は極めて複雑になっています。まず、PCB面積の各平方ミリメートルの要求値が高いことから、コンバータは小さければ小さいほど良いということになります。しかし、ここで別の問題を検討する必要があります。

 PoL電源は、使用地点の近くに配置されることが多い、マイクロコントローラやASICなどの高性能な半導体によって要求される、高いピーク電流需要と低いノイズマージンという課題を解決します。しかし、厳しい開発スケジュールや基板の複雑さが原因で、多くの設計者が電源に関する考慮事項を最終段階まで放置してしまいます。その結果、PCBのスペースが妥協の対象になることが多く、小型化されたデバイスのスペースしか残っていない状態になります。

 もう1つの懸念事項は汎用性です。たとえば、PoLコンバータが、ASICとFPGAの両方に適しているかどうかは評価しておいたほうがよいでしょう。極めて最適化されたPoL電源は、単純なアナログ(デジタルではない)ソリューションを代表しており、さまざまなアプリケーションで設計者が利用するようになっていることから、FPGAに対応する対応能力が重要です。

 FPGAには、低コスト、幅広いサイズ、回路を再構成するための可能性など、カスタム設計のASICにはない多数の利点があります。こうした利点は設計者にとって非常に魅力的ではありますが、FPGAには1つ問題があります。それは、各FPGAが複数のDC電圧電源を必要とするということです。

 4つまたは6つのDCレールが必要とされることがよくあり、コアの電流が比較的高い場合もありますが、多くは非常に低い電流のものです。そのため、特に最新の高密度FPGA(およびASIC)は高度化が進み、要件が厳しくなっていることから、PoLコンバータを慎重に選択することが重要なのです。簡単に言うと、性能、効率性、品質、柔軟性を小型化のために犠牲にはできないということです。

 しかし、PCBの面積は貴重なので、サイズの重要性を見過ごすことはできません。重要なのは、小型のPoLコンバータは薄型で軽量であるため、PCBの下側で使用することができ、スペースを節約し、設計の柔軟性を高めることができるという点です。大きく、重く、高さがあるPoL電源や、基板の横にしか取り付けることができない個別の絶縁コンバータと、この省スペースのコンセプトを比較すると、その利点は明らかです。

 さらに、小型のPoLコンバータは、負荷をかける対象から非常に近い場所に配置することができます。この特長にも、多数の利点があります。たとえば、DC/DCの配電の損失が最低限になると同時に、ノイズへの感度やEMIエミッションの問題を克服することができます。さらに、浮遊インダクタンスを低減できるため、過渡現象への素早い応答が実現します。

 複数のPoLコンバータを配置すれば、現在のPCBの高スペックなコンポーネントで一般に必要とされる、さまざまな電圧の供給を極めて簡単にします。

 その他に精査が必要な点は、熱性能です。電源コンポーネントが小型化し、密度が高くなるにつれ、熱伝達が高くなる可能性が一般的になってきています。しかし、温度の上昇と信頼性が低下する可能性を回避し、過剰な熱を取り除くための余分なコストがかからないようにするには、当然のことながら消費電力、そして熱を最小限にしなければなりません。

 したがって、最善の対策は、PoLコンバータのデータシートで、特に熱性能と効率性のデータについて詳細に確認することです。熱性能に関する情報は、「ディレーティング曲線」として表示されていることがよくあります。ディレーティング曲線は、コンバータの最大出力が、周囲温度と冷却状況にどの程度依存するかを説明するものです(図2)。


図2:PMU8318製品(12VIN、1VOUTセットポイント、6A)の出力電流のディレーティング曲線は、温度値が+105℃に達しない限り、電流は6A、空気流なしで安定したままになることを示す。(画像提供:Flex Power Modules)

 この製品の効率性についてのデータは、データシートの対応する「効率曲線」で確認することができます。効率曲線は十分に確認する必要があります(図3)。


図3:PoLを選択する際には、この効率曲線についても検討が必要。このグラフに示されているのはPMU8318製品の標準効率についての特性(12VIN、複数VOUT、表示されているスイッチング周波数レベル、最大6A)(画像提供:Flex Power Modules)

 また、システム設計者は、性能の向上に役立つ可能性があるその他の機能についても確認しておくことをお勧めします。たとえば、一部のレギュレータにはループ最適化機能が含まれており、エンジニアはさまざまな容量性負荷に対して負荷過渡応答を最適化できるため、システム設計の柔軟性が向上します。PoLソリューションの中には、構成可能なソフトスタートまたは追跡機能が用意されており、タイムシーケンスの設計をより簡単かつ柔軟にできるものもあります。

 まとめると、小型のDC/DCコンバータはスペースが貴重である基板における、さまざまな用途に適しています。このようなレギュレータは小型でコスト効率が良く、開発サイクルの短縮、認定作業の簡易化、設計配置の柔軟性、品質レベルの向上、開発コストの削減など、プロジェクトに関する一般的な利点を多数備えています。

 小型化されたPoLレギュレータへの継続的な需要に対応するために、Flex Power Modulesは小型化製品ファミリをDigi-Keyを通じて販売しています。この製品ファミリは小型で薄型、そして機能豊富なパッケージで、卓越した価格性能比を実現しています。効率性が通常95.3%と高いことに加え、LGA設計によって熱をホストPCBへと伝達できることが一因で、熱性能も非常に優れています。

 こうした小型のPMU8000 PoLコンバータは、市場において標準化されたフォームファクタにパッケージ化されており、基板の上側または下側に取り付けることができます。そのため、設計技術者にとって柔軟性が非常に高いソリューションと言えます。

 1つのフットプリントで、4A、6A、8Aの電流レベルに対応するため、電源設計の最適化を目指すシステム設計者はさらなる柔軟性を実現できます。また、このモジュールは高温(105℃まで)や、厳しい環境条件の中でも使用することができます。堅牢な設計により、平均故障間隔(MTBF)は171Mhrsに指定されています。

 Flex Power ModulesのPoLレギュレータは、ICT(電気通信およびデータ通信)、産業、テストおよび測定、IoT、鉄道、そして医療などのさまざまな分野におけるFPGA、ASIC、ネットワークプロセッサ、CPUおよびGPUなどの広範なパワー変換に適しています。



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