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LoRaWANマルチプロトコルゲートウェイによる旧来の産業用オートメーション施設のセンサネットワーク

著者 Stephen Evanczuk 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2020-04-30
マルツ掲載日:2020-08-10


 産業用IoT(IIoT)がますます普及するにつれて、異なるシステムを接続するのに使用されるネットワークテクノロジの種類も増えています。有線ネットワークにおいて、汎用で多くの異なるプロトコルを実行可能なEthernet(および産業用Ethernetの変型)は、最も一般的なインターフェースです。

 そして、ワイヤレス高速データ通信において、Wi-Fiは高速かつ信頼性の高いネットワークの標準になりました。一方で、Bluetoothは一部のセンサや装置構成用に使用されています。

 ただし、Bluetoothは2.45GHz帯で動作しますが、Wi-Fiは2.45GHzと5GHz帯の両方で動作します。その結果、旧来の建築構造で使用される分厚い壁により、サブGHz帯域で動作するLoRaWANのような無線と比較して、Wi-FiやBluetooth伝送の範囲が大幅に低減されます。

 これにより、装置のワイヤレス接続を維持するには、施設全体にわたってより多くのアクセスポイントや集約ポイントを展開する必要があるため、センサコネクティビティが低下し、コストが重なります。

 この記事では、Wi-FiやBluetoothを導入済みの産業用オートメーション施設において、LoRaWANセンサコネクティビティの追加が必要な理由を説明します。また、産業用オートメーションと建物管理に適応させる必要のある、古い建物や従来環境でのLoRaWANの利点について考察します。

 それから、下位互換性を維持しつつ、Wi-FiデータネットワークやLoRaWANセンサコネクティビティ、Bluetooth接続を容易に管理できる、Multi-Tech Systemsの2つのLoRaWANゲートウェイに目を向けます。

古い建物にワイヤレス接続を追加する方法

 IIoTの普及により、一部の従来建築物でIIoTネットワークの必要性が高まっています。ただし、これらの古い建物は、建物全体にわたりデータをワイヤレス送信することなど誰も考えなかった時代に建てられました。

 壁、床、天井には、補強のためにしばしばスチールメッシュ、鉄筋、重厚な鉄骨が使用されています。これにより、高周波の無線信号が事実上ブロックされ、一部の装置へのネットワークアクセスが妨げられます。

 フォークリフトや他の重機が壁の近くに配置されて、コネクティビティが一時的にブロックされない限り、壁を通したコネクティビティで十分な場合もありますが、Wi-FiやBluetoothのような高周波のワイヤレスプロトコルでは問題になります。こうした断続的な境界コネクティビティの状況の診断は、ネットワーク技術者にとって悪夢です。

 結果として、これらの建物には施設内に追加のルータやネットワークスイッチ、ゲートウェイが必要になる可能性があります。これにより、ネットワークがさらに複雑になるだけでなく、コスト、メンテナンス、相互運用性の懸念も加わります。

 この状況は、ゲートウェイやルータから遠く離れて配置されるリモートセンサにとって特に問題です。ただし、環境センサなどの一部のセンサでは、高速ワイヤレスネットワークを介してステータスを継続的に送信する必要がなく、ネットワークのボトルネックや競合状態なしでサブGHz周波数を容易に使用できます。

 これらの状況では、サブGHzの低電力LoRaWANワイヤレスプロトコルが信頼性の高い選択肢となります。LoRaWANは、米国では902~928MHz、EUでは863~870MHzの周波数範囲で伝送します。これは、継続的なデータ接続の必要がない低電力/低データレートセンサを対象としています。

 さらに重要なこととして、伝送された信号が木材、ドライウォール、コンクリート、鉄を容易に通過するため、LoRaWANの低動作周波数帯域は厚い強化壁を備えた古い建物に最適です。

 ただし、産業用施設がWI-Fi、Bluetooth、LoRaWANを使用している場合、メンテナンスコストを削減しつつ、信頼性と相互運用性を確保できるように、3つのプロトコルすべてを統合することが重要です。

IIoT LoRaWANの構成

 Wi-Fi信号は一般的に、有線Ethernetでデータを変換するネットワークスイッチやルータを通して、産業用施設の中央ハブに接続されます。Wi-FiとEthernetは互換性のあるプロトコルであるため、この変換は比較的簡単です。ただし、LoRaWANはEthernetと互換性がないため、データを簡単に通過させることはできません。むしろ、LoRaWANデータが中央ハブに到達できるようにするためには、まず互換性のあるゲートウェイでワイヤレスLoRaWANデータを受信する必要があります。

 LoRaWANと互換性のあるゲートウェイは、LoRaWANネットワークサーバ(LNS)アプリケーションを実行するWindowsやLinuxの中央ハブへのバックホール接続でデータを転送するように構成されています。LNSは、アプリケーションソフトウェアで使用可能なアプリケーションプログラミングインターフェース(API)により、データを処理し、ハブのオペレーティングシステムに公開します。

 堅牢な産業用施設用に設計されたLoRaWANマルチプロトコルゲートウェイが、Multi-Tech SystemsのMTCDT-247A-915-US-EU-GBマルチプロトコルゲートウェイです(図1)。このゲートウェイは産業環境を対象にしており、-30℃~+70℃の温度、最大90%の相対湿度(結露なし)で動作可能です。

 MTCDT-247A-915-US-EU-GBは、米国のLoRaWAN周波数用に構成されており、他の国や地域では使用できません。MTCDT-247A-915-US-EU-GBは、Wi-Fi、Bluetooth、LoRaWANをサポートします。


図1:Multi-Tech SystemsのMTCDT-247A-915-US-EU-GBゲートウェイは、産業環境向けのWi-FiルータとLoRaWANゲートウェイです。米国のLoRaWAN周波数(902~928MHz)で動作し、Bluetooth接続もサポートします。(画像提供:Multi-Tech Systems)

 このコンジットゲートウェイは、米国の915MHz帯でLoRaWANネットワークをサポートします。このゲートウェイは、ブラウザベースのインターフェースを使用して、LNSを指し示すLoRaWANパケットフォワーダを構成します。

 産業用施設内のLoRaWANセンサは、古い建物にある鉄骨鉄筋コンクリートの壁や床でさえも通過して、遠く離れたコンジットゲートウェイに容易に接続できます。ただし、最新の建物にも、ワイヤレス信号が到達しないダークスポットが存在します。これは、大きな建物にとって常に問題になっており、回避できません。

 この理由により、少なくとも2台のLoRaWANゲートウェイを使用して、完全なカバレッジを確保することが推奨されています。LNSアプリケーションは、2台以上のコンジットゲートウェイから同一のデータパケットを受信する場合に生じる種々の問題を解決します。

 ブラウザインターフェースを使用して、Wi-Fiアクセスポイントを構成することもできます。MTCDT-247A-915-US-EU-GBは、産業用施設において、802.11a/b/g/nプロトコルの2.45GHzと5GHz帯でWi-Fiアクセスポイントを提供できます。Wi-Fiアンテナはゲートウェイに含まれています。

 ブラウザインターフェースは、互換性のあるBluetoothデバイスに接続するためのBluetoothアクセスポイントも構成できます。常時オンの高データレートBluetoothデバイスでは、Bluetooth Classicがサポートされています。タブレット、ラップトップ、一部のセンサなどのバッテリ駆動Bluetoothデバイスでは、Bluetooth LE 4.1がサポートされています。

 メインサーバへのネットワーク接続とバックホールは、背面のRJ45ジャックから有線10/100BaseT Ethernetで行われます。

 MTCDT-247A-915-US-EU-GBは、全地球航法衛星システム(GNSS)もサポートしています。これは全地球測位に使用できます。しかし、より重要なこととして、GNSSは、メッセージ同期を実現するためにLoRaWAN規格が要求するLoRaWANパケットのタイムスタンプに、正確なタイムベースを提供します。

 MTCDT-247A-915-US-EU-GBは、米国のLoRaWAN、Wi-Fi、Bluetoothハブのコネクティビティを1つのゲートウェイに統合することにより、3つのワイヤレスプロトコルすべての一元的なメンテナンスを提供し、ネットワークコネクティビティを簡素化します。このゲートウェイは、3つのプロトコルが互いに干渉しないように設計されています。

 EUでの使用を目的として、Multi-Tech SystemsはMTCDT-L4E1-247A-868-EU-GBゲートウェイを提供しています。これは、EUの868MHz LoRaWAN帯(863~870MHz)で動作する点を除いて米国版と同じです。さらに、バックホール用の4G-LTEセルラーコネクティビティもサポートしています。

 最新のセルラー規格が導入されていない地域でコスト効率良く動作させるために、ゲートウェイは3G-HSPA+と2G-GPRSネットワークを介してデータを送信することもできます。Multi-Tech Systemsは、このゲートウェイがすべてのEUセルラーネットワークと互換性を持つように指定しています。

 MTCDT-L4E1-247A-868-EU-GBは、ほとんどのEU電源コンセントと互換性のあるアダプタの選択肢を備えています。また、この製品には、Wi-Fiアンテナ、GNSSアンテナ、2本のセルラーアンテナが含まれます(図2)。


図2:Multi-Tech SystemsのMTCDT-247A-915-US-EU-GBゲートウェイは、EU加盟国内の868MHz帯でLoRaWANコネクティビティをサポートします。また、4G-LTEセルラーバックホールコネクティビティもサポートしています。このゲートウェイは、ほとんどの国で互換性のある欧州AC電源アダプタの選択肢を備えています。(画像提供:Multi-Tech Systems)

 4G-LTEネットワークを介してLoRaWANデータをLNSへ送信するために、各ゲートウェイにはワイヤレスネットワーク、電話番号、加入者情報を含む標準SIMカードが必要です。

 MTCDT-L4E1-247A-868-EU-GBは、ネームプレート背面のユニット前方にSIMカードホルダを備えています。悪意のある人物による取り外しからSIMカードを保護するため、ネームプレートはネジで所定の位置に固定されています(図3)。

 さらにセキュリティを高めるために、不正ユーザーがアクセスできない施錠された場所でゲートウェイを保管する必要があります。その場所がBluetoothおよびWi-Fi信号を妨害するメタルエンクロージャに囲まれていないか確認することが重要です。


図3:MTCDT-L4E1-247A-868-EU-GBゲートウェイには、小さなネジで固定されたネームプレートを取り外すことでアクセス可能なSIMカードポートがあります。(画像提供:Multi-Tech Systems)

 4G-LTEバックホールをサポートするMulti-Tech SystemsのコンジットLoRaWANゲートウェイ用にそれぞれ、セルラーキャリアの適切なデータプランを備えたSIMカードを購入する必要があります。

 コンジットゲートウェイ用のSIMカードとセルラーデータプランは、Digi-Keyから手軽に購入できます。毎月300Kバイトから最大5Gバイトのデータ容量を提供するプランが利用可能です。

 Multi-Tech Systemsのコンジットゲートウェイは、4つのワイヤレスコネクティビティプロトコルとGNSS用の簡単な一元的アクセスをすべて単体で提供します。これにより、保守要員が1つの場所からすべてのワイヤレスネットワークを簡単に構成できるようになるため、時間の節約や信頼性の向上につながります。また、別個のルータやゲートウェイを使用した場合に発生する競合の可能性も排除されます。

結論

 施設や工場によるIIoTプラクティスの採用にともない、ワイヤレスネットワークは産業用オートメーションにとってますます有用なものとなっています。これらのアプリケーションでは、さまざまなアプリケーション(異なる周波数帯で動作することが多い)向けにWi-FiとBluetoothをサポートするデバイスの豊富なエコシステムがすでに存在しています。

 上述のように、Wi-FiとBluetoothを導入済みの産業用オートメーション施設のサブGHz動作にLoRaWANセンサコネクティビティを追加することにより、特に鉄筋壁で建てられた古い施設で信頼性を向上させることができます。これらすべてのプロトコルをサポートする1台のゲートウェイを使用することで、時間と構成コストを節約しつつ、互換性と信頼性を向上させます。



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