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Torex HiSAT-COT™制御アーキテクチャチュートリアル
著者 Harmik Singh 氏
Business Development Manager, Torex 提供
2020-02-27
マルツ掲載日:2020-06-08
この記事では、スイッチモード電源の一般的な帰還制御アーキテクチャについて解説します。このアーキテクチャによる利点と欠点について説明し、TorexのHiSAT-COT™制御アーキテクチャについて詳しく取り上げます。
HiSAT-COTは、固定周波数における超高速過渡応答を必要とするアプリケーション向けに設計されています。そのようなアプリケーションには、たとえばネットワーク/通信機器、電源モジュール、その他組み込み製品などがあります。
スイッチモードパワーコンバータは、一般にポータブルシステムで電池寿命を最大限に延ばすために使用されています。この種のコンバータは、電池の電圧を効率的に降圧(バック)したり、より高いレベルに昇圧(ブースト)するために使用できます。スイッチモード電源は、電圧モード、電流モード、コンスタントオンタイム帰還制御アーキテクチャによって利用できます(図1)。
出力電圧を制御する動作モードには、パルス幅変調(PWM)とパルス周波数変調(PFM)があります。PWMは、一定のスイッチング周波数でオン/オフ時間比を調整することで安定化を実現するのに対し、PFMは固定オン/オフ時間比と可変周波数を使用します。

図1:PWM DC電源は電圧モードデバイスか電流モードデバイスのいずれかになり、PFM DC電源はコンスタントオンタイムデバイスになります。(画像提供:Torex)
PWMとPFMの違いとは?
PWMコンバータはDC/DCパワーコンバータアーキテクチャで、このアーキテクチャは固定周波数発振器を使用して電源スイッチを駆動し、入力から出力にエネルギーを転送します。使用される駆動信号の周波数は一定ですが、デューティサイクル(電源FETオンタイムとスイッチング期間全体の比率)が異なります。クロック周波数は固定で、デューティサイクルは動作条件に基づいて調整されます。
可変周波数を使用してDC/DCパワーコンバータの電源スイッチを駆動するアーキテクチャは、PFMまたは「パルス周波数変調」と呼ばれます。駆動信号の周波数を直接制御することで、出力電圧を安定化させます。コンスタントオンタイムやコンスタントオフタイム制御を備えたDC/DCコンバータは、PFMアーキテクチャの典型的な例です。
電圧モード制御
図2は、電圧モード制御を備えた降圧パワーコンバータを示しています。このアーキテクチャは、単一の電圧帰還パスを使用しています。制御ブロックを駆動しPWM信号を生成してハイサイドスイッチを制御するPWMコンパレータによって、誤差電圧をランプと比較します。

図2:電圧モード制御を備えた降圧パワーコンバータ。(画像提供:Torex)
電圧モード制御には、次のような利点があります。
・同等の電流モード制御よりもノイズの影響を受けにくい
・単一の帰還ループにより分析が容易
・広範な入力電圧やデューティサイクルでの動作が可能
・単一の帰還ループにより分析が容易
・広範な入力電圧やデューティサイクルでの動作が可能
電圧モード制御には、次のような欠点があります。
・ループゲインはVINに比例
・複雑な補正が必要
・遅い応答-入力電圧の変化が出力で検知される
・電流制限は個別に行う必要がある
・複雑な補正が必要
・遅い応答-入力電圧の変化が出力で検知される
・電流制限は個別に行う必要がある
図3は、電流モード制御を備えた降圧パワーコンバータを示しています。このアーキテクチャは、2つの帰還パスを使用して、出力電圧とインダクタ電流を検出します。

図3:電流モード制御を備えた降圧パワーコンバータ。(画像提供:Torex)
電流モード制御には、次のような利点があります。
・ラインや負荷の変化に対する高速応答
・補正が容易
・電流制限
・簡素化された負荷分割
・補正が容易
・電流制限
・簡素化された負荷分割
電流モード制御には、次のような欠点があります。
・2つのループがあるので、回路解析がより困難
・パワー段の共振により、内部制御ループへのノイズ混入の原因となる(1)
・スロープ補正の必要性
・パワー段の共振により、内部制御ループへのノイズ混入の原因となる(1)
・スロープ補正の必要性
図4は、コンスタントオンタイム(COT)制御を備えた降圧パワーコンバータを示しています。COT制御アーキテクチャでは、クロックがなく周波数は変動することがあります。

図4:コンスタントオンタイム制御を備えた降圧パワーコンバータ。(画像提供:Torex)
COTモード制御には、次のような利点があります。
・外部部品の必要数が最小限で済む
・高速過渡応答
・補正が不要
・幅広い負荷条件で優れた効率
・高速過渡応答
・補正が不要
・幅広い負荷条件で優れた効率
電流モード制御には、次のような欠点があります。
・周波数の変動
・出力リップル抑制が必要
・出力ノイズに影響されやすい
・過電流保護が必要
・出力リップル抑制が必要
・出力ノイズに影響されやすい
・過電流保護が必要
COTアーキテクチャの最大の欠点として、周波数の変動が挙げられます。これはレギュレータに隣接している影響されやすい回路に電磁妨害(EMI)を引き起こす原因になります。Torexはこの弱点に対して、独自のHiSAT-COT制御アーキテクチャで対処しています。
HiSAT-COTは、High Speed Circuit Architecture for Constant On Time(コンスタントオンタイム対応の高速回路アーキテクチャ)の略称です。図5は、COTとTorexのHiSAT-COT制御アーキテクチャの比較を示しています。

図5:TorexのHiSAT COTデバイスと通常のCOTコンバータとの比較。(画像提供:Torex)
Torexの第2世代HiSAT-COT制御アーキテクチャは、固定周波数動作を実現し、さらに出力精度を高めています。 図6は、典型的なHiSAT-COT周波数変動と負荷電流曲線との対比を示しています。

図6:Torexの第1世代と第2世代のHi-SAT COTデバイスの周波数変動と負荷電流のグラフ。(画像提供:Torex)
市販されている従来のDC/DC製品と比較して、HiSAT-COT制御では超高速過渡応答を生成し、外部の補正を必要としません(図7)。負荷をかけた状態で約6倍の改善があり、負荷状態が除かれると約9倍の改善になります。

図7:Torexの第2世代HiSAT-COTと標準的なPWM制御コンバータとの負荷過渡応答の比較。(画像提供:Torex)
第2世代のHiSAT-COT制御アーキテクチャは、DC出力電圧の精度も高めています。 この改善は優れた温度補正つき基準電源回路によって達成されており、この回路は温度全般に渡り±1%のFB(周波数帯域幅)電圧精度を達成できます(図8)。低電圧側で高精度な電圧を維持する必要がありますが、それは多くのMPU(マイクロプロセッサユニット)負荷ではタイトな入力電圧許容差が必要になるからです。

図8:Torexの第1世代と第2世代のHiSAT-COTデバイスでの周波数全域に渡る一般的な出力電圧精度。(画像提供:Torex)
Torexは、HiSAT-COT制御の新シリーズXC9281/XC9282を発表しました。これらは超小型の600mA降圧DC/DCコンバータです。これらのデバイスは、2.5V~5.5Vの入力電圧で動作し、出力電圧は0.7V~3.6Vの間で調整可能です。デバイスが消費する電流はわずか11μAです。
6MHzのスイッチング周波数で動作する0.47µHのインダクタ(寸法1.0×0.5mm)を使用できます。入力静電容量(CIN)と出力静電容量(CL)には、0.6×0.3mmのセラミックコンデンサを使用できます。これらの部品を使用することで、周辺モジュールの部品を含めた実装面積がわずか6.6mm2に収まります(図9)。

図9:周辺モジュールのコンポーネントを含むTorexのXC9281/XC9282デバイスの取り付け領域。(画像提供:Torex)
表1は、Torexの第2世代のHiSAT-COT製品を示しています。

表1:Torexの第2世代HiSAT-COT製品。(画像提供:Torex)
まとめ
ポイントオブロード電源回路の設計を目指す設計者は、Torex製品ファミリからニーズを満たす製品を選択できます。これらのデバイスを使用すると、幅広い動作条件のもとでも効率を高めることができます。高いスイッチング周波数で動作し超高速過渡応答を実現するHiSAT-COTファミリ製品は、インダクタや出力コンデンサのサイズを縮小することによってソリューション全体のサイズを縮小しています。
リファレンス
(1)「スイッチング電源トポロジ電圧モード対電流モード」、Robert Mammano、Unitrode、DN-62、1994年6月。
免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、Digi-Key Electronicsの意見、信念および視点またはDigi-Key Electronicsの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。
(1)「スイッチング電源トポロジ電圧モード対電流モード」、Robert Mammano、Unitrode、DN-62、1994年6月。
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