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狭ピッチ基板間コネクタを使用してシステムパッケージングを最適化

著者 Bill Schweber 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2020-03-31
マルツ掲載日:2020-07-06


 シングルボードソリューションは、低コストである可能性が高い1枚の小さなプリント基板上にシステムのすべての電子部品を配置することにより、スペースを節約します。シングルボードコンピュータ(SBC)の場合、設計者は回路基板上に可能な限り多くの処理能力、機能、I/Oを搭載できるよう努力する必要があります。

 ただし、現実として、シングルボードが産業用、民生用、医療用アプリケーションにとって最適なソリューションとはならず、複数のプリント基板が必要になる場合が多くあります。ここで、基板間コネクタ(基板対基板接続用コネクタ、通称BTBコネクタ)がとても重要になります。

 システムの複数の基板のために払われるあらゆる設計労力にもかかわらず、適切なBTBコネクタを十分に検討しなければ、その設計が台無しになってしまう可能性があります。これは、フォームファクタの問題や信号の完全性の問題によって初期段階で発生したり、後に使用(または乱用)障害によって現場で発生したりする可能性があります。

 この記事では、BTBコネクタのニーズを促進する設計上の問題、BTBコネクタを幅広いオプションの中から選択する際に設計者が考慮すべき要素について説明します。それらには、回路性能、生産要件、使用モデル、修理の容易さ、信号の種類、コネクタサイズとコンタクト数、無線周波干渉(RFI)、電磁妨害(EMI)などが含まれます。

 また、Phoenix ContactのBTBコネクタソリューションの例を紹介することにより、設計者が抱える基板接続の問題を解決する方法を示します。

BTBコネクタを使用する理由

 1枚ではなく2枚以上のプリント基板を相互に接続して使用するのが道理にかなう設計で、生産やマーケティング上の状況は、少なくとも10種類あります。

(1)フォームファクタの制約により大型のシングルボードの全体サイズが制限され、利用可能なパッケージの深さを活用するのに3次元配列が必要になる状況。
(2)ノイズのある高速デジタル回路の近くに低レベルの高感度アナログI/OやRF回路を配置することができない状況。
(3)高電圧が存在し、工学的実践規範や規制規格により分離が義務付けられる状況。
(4)熱に関する懸念事項により、高温になりやすい部品を別々に配置して放熱と熱管理を改善することが求められる状況。
(5)複数バージョンの製品で特定の回路サブセクションが使用されたり再利用される状況。
 これには、基本的なマルチラインユーザーディスプレイと押ボタンやさまざまなモデルのアラーム/センサシステム向けのより洗練されたグラフィックタッチスクリーンと組み合わされたコア処理基板などがあります。
(6)自動化された挿入やはんだ付けを使用できない、特別な製造/組立工程や手動挿入を要する電源デバイスやヒートシンクなどの特殊な部品が生産において必要になる状況。
(7)ベンダーがプロセッサやメモリなど、システム内のある機能をアップグレードすることを期待する一方で、技術的信頼性や費用償却のためにアナログ機能を変更しないままにする状況。
(8)現場での経験により、プロセッサやメモリなどの内部コア機能の平均故障時間(MTTF)が長くなる一方で、外向きI/Oなどシステムの一部を現場交換する必要性が高いことが判明する状況。
(9)電源部品などの一部の部品が、より厚いプリント基板素材やより重い銅被膜を必要とする状況。
(10)EMI/RFIの考慮事項と懸念事項により、機能間の分離が義務付けられる状況。
 これには、回路の一部のRFシールドでさえも含まれる可能性があります。

 複数のプリント基板の使用を選択したり主張したりすることには、設計や生産、サポート上の正当な理由がたくさんあることは明らかです。こうした状況が発生する用途には、産業制御システム、モータ制御、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、アラーム/セキュリティユニット、ポータブルX線/超音波マシンなどの医療システム、さまざまなヒューマンマシンインターフェース(HMI)を備えたデバイスが含まれます(図1)。

図1:多くの製品はBTBコネクタを必要とする1枚以上のプリント基板から恩恵を受けます(または絶対に必要とします)が、それらを注意深く選択する必要があります。(画像提供:Phoenix Contact)

BTBコネクタの選定方法

 2枚以上のプリント基板を接続して使用すると決断したら、設計者は適切なBTBコネクタを選択する必要があります。ほとんどすべての場合において、この決定を推進するのは単に適切な基本的仕様を備えたコネクタの組み合わせを見つけることではありません。むしろ、最初にさまざまなBTBオプションと完全に互換性のあるコネクタのファミリを特定し、設計の選択肢が前もって制約されないようにすることが賢明です。

 たった1社の大規模ベンダーが提供するさまざまなコネクタを概観するだけでも、決定プロセスの数に圧倒されるように思えるかもしれませんが、実際にはそうでもありません。設計者は優先順位、制約事項、「必須条件」に焦点を合わせます。通常、この選択によって使用する特定のコネクタの選択肢はかなり小さくなります。

 さらに、非常に多くのコネクタ形式が使用可能であるということは、設計者が妥協を最小限に抑えつつ、避けられない技術的トレードオフのバランスを最適に保つ組み合わせを見つけられるということを意味します。

 設計者は洗練されたコンピュータ支援設計(CAD)ツールを使用して、メザニン、マザー/ドーター間、同一平面、非拘束リボンケーブルを含む可能性のある物理構成やBTB方向をモデル化できます(図2)。

 ただし、さまざまなボードサイズや配列のボール紙製モックアップを使用することなど、あまり洗練されていない技術でも初期評価には非常に効果的な場合があり、実際に成功裏に採用されてきたため、いきなり「CADまで飛躍する」必要はありません。

図2:基板間接続には、メザニン、マザー~ドーター間、同一平面、非拘束リボンケーブルなどのさまざまな方向や配列があります。(画像提供:Phoenix Contact)

自由度の検証

 基本的な方向の他に非常に多くのコネクタバージョンが利用可能であるため、設計者はレイアウトと配置を自由に選択できます。設計者は多くの極を備えた1個のコネクタの代わりに、極数の少ない小型BTBコネクタを2個使用することを選択できます。これにより、基板レイアウトが簡素化され、一部の信号がプリント基板全体を横断する必要がなくなります。

 たとえば、Phoenix ContactのFINEPITCH 1.27シリーズ(1.27mmピッチ)は、12、16、20、26、32、40、50、68、80極のバージョンで入手できます。注:1.27mmはちょうど0.05インチ、または50ミルの一般的なピッチです。

 このシリーズの2個の垂直メスコネクタ(21.6mmの幅を持つ26コンタクトの1714894と、26コンタクトバージョンの半分強の幅12.71mmを持つ12コンタクトの1714891)について考えてみましょう(図3)。

 これら2個の小型コネクタをプリント基板の別個の場所で使用することにより生じるフットプリントペナルティはごくわずかで、たいていはプリント基板トレースに必要なスペースの削減や信号の完全性の向上によって十分に補われます。

 同様に、Phoenix ContactのFINEPITCH 0.8シリーズ(0.8mmピッチ)は、0.8mmピッチの一連のコネクタから構成され、12極、長さ9.58mmの1043682コネクタレセプタクルから始まり、80極まで拡張できます(図4)。


図3:FINEPITCH 1.27mmシリーズの最小コネクタは、この長軸幅12.71mmの12極1714891バージョンです。(画像提供:Phoenix Contact)

図4:Phoenix ContactのFINEPITCH 0.8シリーズ コネクタは、長さ9.58mmの12極1043682という最小バージョンで、0.8mmピッチが特長です。(画像提供:Phoenix Contact)

 別の問題はコネクタの高さです。これにより設計者は、2枚のアライメントされた平行なボードをそれぞれ最適な位置に配置し、エンクロージャ内で嵌合や適合ができるようになります。プロセッサボードは製品ハウジングの背面に接続でき、ユーザーディスプレイやボタンを備えた第2ボードはフロントパネルと同一平面に配置できます。

 このため、コネクタは同じ極数、長さ、幅で使用可能ですが、重要な違いとして高さだけは異なります。異なる高さを混在させることにより、スタック高さと呼ばれる広範な基板間スペースをサポートできます。

 たとえば、Phoenix ContactのFINEPITCH 1.27ファミリの垂直メスコネクタは、6.25および9.05mmという2種類の高さで入手できます。一方、嵌合垂直オスコネクタは1.75および3.25mmの高さで提供されます。

 さらに重要なこととして、この嵌合ペアには1.5mmの「ワイプ長」があり、信頼性の高い0.9mmの表面コンタクトワイプ長を維持しています。結果として、8.0~13.8mmの連続かつ無段階の範囲で基板間スペースを使用することができます(図5)。

 同様の方式を使用して、FINEPITCH 1.27ファミリとは異なる高さやワイプ長を備えたPhoenix ContactのFINEPITCH 0.8ファミリのコネクタは、6~12mmの連続範囲をサポートします。付加的な利点として、このBTB嵌合距離における固有の柔軟性により、生産時の組立許容差が緩和されます。

図5:FINEPITCH 1.27シリーズで使用可能なオス/メスコネクタのディスクリート高およびその長いワイプ長により、実際のBTBスタック高さは8.0~13.8mmの範囲になります。(画像提供:Phoenix Contact)

EMCおよびRFニーズのサポート

 高密度で複数コンタクトのBTBコネクタは、電源や低周波数信号をはるかに超えた帯域をサポートすることが期待されています。これにより、各ケーブルが単一の信号をサポートする複数のディスクリートケーブルアセンブリの必要性が最小化されます。

 ギガヘルツ範囲のコネクタ性能とこれらの周波数で信号の完全性を維持する機能は、重要なパラメータです。同時に、コネクタ内の高速信号が影響を受けたり、周辺の信号による影響を受けたりしないようにするための電磁両立性(EMC)の考慮事項があります。

 一部のコネクタファミリは、帯域とEMCの考慮事項に適合するように独自に設計されています。たとえば、Phoenix ContactのFINEPITCH 0.8シリーズは、16Gbit/sまでのデータレートをサポートし、嵌合時に複数のコネクタ間シールドパスを含みます(図6)。これにより、優れたEMCプロパティが得られます(図7)。

図6:FINEPITCH 0.8シリーズには、シールド強化のために嵌合する際の、複数のコネクタ間シールドパスが含まれます。(画像提供:Phoenix Contact)

図7:このFINEPITCH 0.8シリーズ コネクタ周辺の電界の画像は、そのシールドの性能を示しています。暗い青色は0~0.1V/mの電界強度を示し、深い赤色は1.0V/mを示しています。(画像提供:Phoenix Contact)

 高忠実度のRF信号経路モデリングや挿入損失上のデータ、受信側で測定される遠端クロストーク(FEXT)、送信側で測定される近端クロストーク(NEXT)をサポートするために、これらのコネクタにSパラメータを使用できます(図8)。

図8:FINEPITCH 0.8シリーズなどの高データレート用コネクタには、10GHzまでの挿入損失のグラフ(左)と近端クロストークのグラフ(右)が含まれます。(画像提供:Phoenix Contact)

明快さを超える

 コネクタ機能の明らかな簡素さにもかかわらず、適切なコネクタファミリの選択には他の考慮事項も必要になります。

考慮事項の例:
・標準的な大量生産プロセス(ローディングやはんだ付け)との互換性。これには、全体にわたる高度な(一般的に0.1mmよりも優れた)コネクタ共平面性も求められます。
・サイクルの繰り返し後にコンタクト表面メッキが摩耗しても性能が保証される挿入サイクル数。500サイクルが最高レベルの性能と見なされます。Phoenix ContactのFINEPITCH 0.8ファミリは、20mΩ未満のコンタクト抵抗を維持します。一方、同社のFINEPITCH 1.27ファミリは500サイクル後も25mΩ未満です(IEC 60512-2-1:2002-02に準拠)。
・2枚の基板とそれぞれのコネクタを嵌合する際のラジアルおよび角度のずれという現実もあります。

 このずれは、設計者が織り込んでおく必要のある現実です。オス/メスコネクタのセンターラインがきっかり中心を通り、相互に対して傾きがないのが理想的です。これらのファインピッチコネクタの小さな寸法を考慮すると、そのようなミスマッチは許容不可能に思われますが、優れたコネクタ設計により両方のパラメータにおいて多少のミスマッチに対応できます。

 FINEPITCH 0.8とFINEPITCH 1.27シリーズのScaleXテクノロジは、ミスマッチ発生時にコンタクトを損傷から保護する以上のハウジングジオメトリを提供することにより、この現実を上手に織り込んでいます。このテクノロジは、±0.7mmのセンターオフセットに対応する許容誤差補償と、斜交軸と縦軸に沿ってそれぞれ±2°/±4°の傾斜許容差ももたらします(図9)。

図9:実際のアライメントは決して完全でないため、FINEPITCH 0.8mmとFINEPITCH 1.27コネクタは、斜めと縦の角度のずれをそれぞれ最大±2°/±4°、中心から外れたラジアルのずれを最大0.7mm許容します。(画像提供:Phoenix Contact)

目に見えないものも重要

 コネクタには集積回路のようなナノメートルのプロセス寸法はありませんが、そのコンタクトは小さな素子、厳密な許容差、超薄型の貴金属と非貴金属メッキを備えた機械的構造物です。

 また、コンタクト本体も精密成形されています。金属コンタクト領域のサイズと、これらのコンタクトがハウジング内に「埋め込まれて」いる方法を考えると、信頼性の高いコンタクトゾーンの作成に何が必要かを知るのは不可能です。

 これらの寸法では、洗練された設計と、それをマイクロ素子の規模で大量製造に実装する機能を組み合わせることが必要になります。それが、ScaleXテクノロジを備えたFINEPITCH 0.8シリーズが独自のダブルコンタクトを特長とする理由です。

 嵌合時に、そのコンタクト(オス素子とメス素子)は非常に限られたスペースで防振接続を可能にします。コンタクトには、自動はんだ付けプロセスに最適なガルウィングのはんだピンもあります。

基板を直接接続できない場合

 直接的なBTBの配置や接続は魅力的な選択肢ですが、2枚以上のプリント基板が適合せず、BTBコネクタで直接嵌合できないという状況もあります。これは、製品パッケージ全体のフォームファクタ、基板の形状、基板を配置する際の電気的/電子的考慮事項、または熱の問題が原因である可能性があります。

 これらの状況に対応するため、Phoenix ContactのFINEPITCH 1.27シリーズは、フラットケーブルで使用可能なメスの圧接コネクタ(IDC)も提供しています。2枚のプリント基板間でこれらの柔軟なフラットリボンケーブル接続を使用することにより、電気的ではなく物理的に分離することができます。

 また、基板を互いに対して平行または垂直にする必要はありません。BTBコネクタの場合と同様に、これらは12~80極の全範囲で提供されます。Phoenix Contactの1714902は、フリーハンギングの12極バージョンです(図10)。パネルマウントバージョンも入手可能です。

   
図10:FINEPITCH 1.27シリーズの12極1714902フリーハンギングコネクタのようなIDCでは、直接的なBTBコンタクトが不可能(または不適切)な構成で柔軟なケーブルを使用できます。(画像提供:Phoenix Contact)

 IDC BTB配列用のフラットケーブルは、AWG 30(0.06mm²)リッツ線導体を備えた高度に設計された製品でもあります。また、基本的なPVC(-10℃~+105℃)、高温(-40℃~+125℃)、およびハロゲンフリーバージョンという3つの絶縁タイプを選択することができます。

 ハロゲンフリーバージョンは、火災を抑制したり、有毒炭素ガスと視認性を低下させる煙や炭素粒子の放出を軽減する「炭化」コーティングを形成したりするために、一部の取り付けにおいて規則で必要とされています。

 5つの異なるケーブル方向とコネクタ配列(図11)、12~80極をサポートする9つのコネクタサイズ、最短5cm(約2インチ)から最長95cm(約37.5インチ)までの柔軟なケーブル長、および3つの利用可能な絶縁タイプがあり、これらのオプションを含む10,000種類以上の配列が可能です。

 これらすべてを在庫として保管することは非実用的であるため、これらのIDCケーブルアセンブリは望ましいコネクタ/ケーブルの組み合わせと構成を使用して、必要に応じて製造されます。

   
図11:この図では、IDCケーブルのコネクタで使用可能な5つの配列と方向のうち3つを表示しています。ケーブルの配線と配置を簡素化することにより、設計者にケーブル配置の柔軟性を最大限に提供するとともに、制限を最小限に抑えます。(画像提供:Phoenix Contact)

まとめ

 コネクタと相互接続は完全な設計における重要な要素であり、前もって十分考慮する必要があります。複数のプリント基板を使用する場合、2枚以上の基板間のさまざまな配列の接続において、BTBコネクタは便利で信頼性の高い高性能技術をもたらします。

 これらのコネクタの微妙な違いや複雑さはしばしば過小評価されますが、この記事で説明したように、Phoenix ContactのFINEPITCH 0.8やFINEPITCH 1.27シリーズのような高精度設計のBTBコネクタは、高い相互接続密度、優れた機械的性能、生産プロセスとフローとの互換性、今日の洗練された製品設計のデータレートおよびEMC要件に適合する電気的性能を提供します。



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