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パワーステアリング、モータ、ロボティクス用角度センサの選択と使用法
著者 Majeed Ahmad 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2020-02-05
マルツ掲載日:2020-05-11
工場や自動車が自動化されるにつれて、プロセス制御、システムの信頼性、そして安全のために、モータシャフトの速度と位置の正確かつ低レイテンシのセンシングが重要になっています。設計者がこれらのニーズに対応するには、高速かつ正確であるほか、磁場変動と軸ミスアライメントに対処するための柔軟性を備えた角度回転センサが必要です。
この課題を複雑にしているのは、コストと時間の制約に加えて、産業用および車載用アプリケーションの動作環境の特性であり、化学物質、オイル、温度、電磁干渉(EMI)の観点から見た場合、その解決が難しい場合があります。その他の考慮事項には、摩滅や絶えず変化する構成が含まれ、センシングデバイス内にある程度の柔軟性が要求されます。
この記事では、角度センサの役割について説明するとともに、磁気入力とセンサ素子の特定の組み合わせを使用して、速度や低レイテンシなどの位置センシング機能をカスタマイズする方法を示しています。次に、AKM Semiconductor、Infineon Technologies、Monolithic Power Systemsのセンサソリューションの例を紹介し、その実装について解説します。
角度センサの役割
角度センサは、自動車のステアリング角度のセンシングやロボティクスシステムの高精度制御のためにモータシャフトの位置や速度の変化を感知するために使用されます。これらのセンサは、印加磁場の方向を検知し、そのサインとコサイン要素を測定することにより、回転しているシャフトの直径方向に磁化されたシリンダの絶対角度位置を判定します。シャフトは高速で回転している場合があるため、センサからのデータを最小限のレイテンシですばやく取得および処理することが重要です。
通常、ホール効果、異方性磁気抵抗(AMR)、巨大磁気抵抗(GMR)、トンネル磁気抵抗(TMR)の4つの磁気技術のいずれかが使用されます(図1)。設計者は、これらのいずれかの技術を使用する場合、磁気特性、センサ仕様、アセンブリ許容誤差などの特定のパラメータに基づいて、磁気面からセンサまでの適切な距離を最初に決定する必要があります。
図1:TMRセンサ上で磁石が回転している場合、センシング素子の抵抗は、回転角度に応じて変化します。(画像提供:Digi-Key Electronics)
このエアギャップは、磁石のサイズや残留磁気(残留磁化とも呼ばれる)などのパラメータと整合している必要があります。また、設計者は、エアギャップの変動により磁場が低くなりすぎたり、高くなりすぎたりしないようにする必要があります。そうするには、アプリケーションのエアギャップに対して適切な磁石を慎重に検討する必要があります(図2)。

図2:設計者は、外部攪乱に対する耐性やエアギャップ許容誤差に要求されるレベルなど、設計上の考慮事項に基づいて、磁石に対するセンサの位置を選択できます。(画像提供:Monolithic Power Systems)
とはいえ角度センサは、軸貫通(off-axis)やサイドシャフト(side-shaft)の配置、軸端(end-of-shaft)構成など、幅広い空間構成と磁場強度をサポートできます。変動に対応するには、オンチップ不揮発性メモリを使用して、ゼロ参照角度位置、ABZエンコーダ設定、モータの巻線の位相情報などの構成パラメータを保存します。
次に、デバイスはさまざまな磁場強度を検知できるため、開発者は、診断や軸方向運動センシングなどの特定の機能用の角度センサをカスタマイズできます。プログラム可能な磁場強度のしきい値を利用できるため、2つの論理信号として出力されるプッシュボタンやプルボタン機能を簡単に実装できます。
ただし、速度、低レイテンシ、分解能などの機能はアプリケーションの要件によって決まりますが、角度センサ設計の要となるのはその安全性です。機能の安全規格に準拠することにより、精度や信頼性を重視した車載用および産業用の設計環境に対する取り組みをさらに促進できます。
機能面の安全性要件への適合
車載用アプリケーションで使用される角度センサには、要求の厳しい動作環境でISO 26262機能安全規格に準拠できるようにするために、0.1˚に至るまでの高い精度が求められます。これらのセンサのアプリケーションには、ポンプ、ワイパー、ブレーキ、バルブ、フラップ、ペダル、ステアリング角度用のブラシレスDC(BLDC)モータの位置測定が含まれます。
0.1˚の精度は、温度範囲や製品ライフサイクル全体に適用されます。さらに、角度誤差が大幅に増大する10ミリテスラ(mT)~20mT間の低磁気フラックス密度で、車載用と産業用設計向けに使用される角度センサは、0.2°を上回らない角度誤差を維持する必要があります。
また、角度センサは、自動駐車やレーンキーピングなどの自律機能に不可欠な電動パワーステアリング(EPS)システムなどのセーフティクリティカルな設計に簡単に統合できる必要があります。
InfineonのXENSIV TLE5109とTLE5014角度センサは使いやすさを実現するために、シングルダイとデュアルダイの両方のバージョンで利用でき、シングルチップ上にセンシング素子とロジック素子の両方を統合しています(図3)。ASIL-D安全アプリケーションにはデュアルダイバージョンの方が適切です。

図3:セーフティクリティカルなアプリケーション用のデュアルダイ角度センサ(右)の側面図(左)。この角度センサでは、スペースを縮小するために上下に配置し、安価なフェライト磁石を使用してコストを削減しています。(画像提供:Infineon Technologies)
TLE5109A16E2210XUMA1は、誤差角度が0.1°のAMR高精度高速アナログ角度センサで構成される製品ラインに含まれます。AMRベースの角度センサは180°の角度測定のために設計されていますが、実際には、AMRセンシング素子は倍角、サイン角、コサイン角を測定するため、偶数の極ペアを備えたモータの360°測定にも適用されます(図4)。また、これらの角度センサは角度誤差が小さいため、フラックス密度が10mT~500mT以上の幅広い磁場に好適です。

図4:AMRベースの角度センサは180°角度測定のために設計されていますが、サイン角とコサイン角の両方を測定するため、完全な360°測定に使用できます。(画像提供:Infineon Technologies)
TLE5109角度センサは、3.3Vまたは5V電源で動作します。その他の機能には、レイテンシを最小限にする40µs~70µsの短い起動時間や30,000rpmを超える速度のサポートが含まれます。
TLE5014C16XUMA1はGMRセンサの製品ラインの1つであり、オンボードEEPROMに必要な構成を保存することにより、広範なアプリケーションに対応するようにプログラムできます(図5)。これらのセンサでは、PWM、SENT、SPC、SPIなどのインターフェースも選択できるため、柔軟性と使いやすさが向上しています。


図5:事前に構成および較正されたTLE5014角度センサは、オンボードEEPROMを使用して、あらゆるアプリケーションに対応するようにプログラムできる柔軟性を備えています。(画像提供:Infineon Technologies)
通常、TLE5014角度センサは、最大26V(絶対最大)の電源電圧から25mA消費し、シングルダイバージョンの場合はISO 26262 ASIL-Cに、デュアルダイバージョンの場合はISO 26262 ASIL-Dに準拠しています。
主要な性能パラメータ
角度センサの機能を完全に発揮して、可聴雑音を低減し、モータの滑らかさとトルクを最適化するには、精度、速度、レイテンシ、軸ミスアライメント、磁気ドリフトといった主要なパラメータを慎重に検討する必要があります。
たとえば、高精度の計測値は、過酷な環境条件であっても、車載用および産業用環境に不可欠です。つまり、システム設計のコストや複雑さを増大させることなく目標精度を満たす角度センサの機能においては、熱安定性やエアギャップ許容誤差などの要素が非常に重要になります。
そのような要件を最小限のコストで満たすために、Monolithic Power SystemsのMagAlpha磁気位置センサであるMA302GQ-P、MA702GQ-P/Z、MA730GQ-Zは、軸端(end-of-shaft)構成とサイドシャフト(side-shaft)(軸貫通(off-axis))構成の両方でボードのエッジに取り付けることができます。
速度については、非接触センシングおよび12ビット分解能の絶対角度エンコーダを使用すると、MA302センサは、0rpm~60,000rpmで正確な角度測定を提供することができます。MagAlpha MA730GQ-Zは14ビット分解能を備えており、SPIリンクを介してデジタル計測値を提供します(図6)。


図6:非接触型MagAlpha MA730GQ-Zは14ビット分解能を備えており、SPIリンクを介してデジタル計測値を提供します。(画像提供:Monolithic Power Systems)
ただし、回転速度が200rpm未満に留まるヒューマンマシンインターフェース(HMI)や手動制御などの低速動作向けに、アナログポテンショメータまたはロータリスイッチを置き換えるために設計されたデジタル磁気センサであるMagAlpha MA800が提供されています。この磁気センサは直径方向に磁化された2mm~8mmのシリンダで使用され、その磁気構成と形状には柔軟性があります。
MA800は低分解能(8ビット)ですが、オンチップ不揮発性メモリとプログラム可能な磁場強度しきい値を備えています。そのため、レジスタビットや出力信号を介した押ボタン読み出しの実装が必要なアプリケーションに好適です。
ゼロレイテンシの角度センサ
AK7451は、磁場の強度を測定することで、回転速度と回転角度を検知する12ビット角度センサです。この角度センサはIC表面と平行に動作する複数の磁石の組み合わせを備えており、最大20,000rpmのトラッキング速度を提供します。また、IC表面と平行の磁場ベクトルを検出した後、磁石の絶対角度位置を出力し、次に、相対角度位置を出力します。
AK7451では、トラッキングサーボシステムを使用して、ゼロレイテンシの回転角度センシングを実現しています。ゼロレイテンシの角度センサは、最大8極のUVW巻線位相(図7)を出力できるため、汎用性が大幅に向上し、さまざまなモータドライブやエンコーダアプリケーション向けに使用できます。


図7:設計者はAK7451を使用して、16 ABZ出力分解能設定とEEPROMを介した8つのUVW出力パルス数設定をプログラムできます。(画像提供:AKM Semiconductor)
また、ABZ位相出力分解能設定を4タイプから16タイプに増やし、モータ制御の利便性を向上させています。そのため、AK7451角度センサでは、ホールICを取り付けずに、DCブラシレスモータ駆動動作でローター位置を簡単に検知できます。
ここで、一部の位置センシングアプリケーションでは、レイテンシが重要な問題ではないことに注意する必要があります。たとえば、電動パワーステアリング(EPS)のステアリングホイール角度センシングでは、ミリ秒ごとに新しい角度値が要求されます。また、センサICと磁気入力によって引き起こされた誤差を区別し、角度センサICを使用して、磁気入力に関連する誤差を補正できるようにすることが重要です。
まとめ
車載用や産業用アプリケーションでは、主に高い精度と小さなフォームファクタによって機能セットが駆動されますが、機能の安全規格への準拠が、これらの高精度デバイスの全体的な価値提案を最終的に決定付けます。ただし、これらのデバイス機能を完全に活用するには、具体的なアプリケーション要件を慎重に検討して、適切なエアギャップ、磁場強度、回転速度、角度誤差などの性能パラメータを明確に把握する必要があります。
この記事で説明したように、これらの要件が確定したら、必要な精度、速度、プログラム可能な柔軟性を提供して要件を満たすさまざまな非接触センサが選択できます。
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