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DCファンの動作を最適化するための重要なパラメータ

著者 Bruce Rose 氏
CUI Inc. 提供
2019-12-30
マルツ掲載日:2020-03-16


 DCファンは、効率的な強制空冷によりアプリケーションから熱を除去するように設計された、あらゆるエンジニアにとっての熱管理ソリューションの定番エレメントです。よく知られ、わかりやすいコンポーネントですが、選択したファンをシステムのニーズ向けに最適化するには、DCファンの場合、空気流や他の重要なパラメータの基礎知識が必要です。

 その知識を深めるために、この記事では、適切な空気流と空気圧の計算、各種パラメータをファンの動作曲線に合わせて調整すること、複数ファンによる設計の影響などについて説明します。

空気流パラメータの概要

 ファンを選定する前に、空気流と熱伝達に関する種々のパラメータを理解することが重要です。強制空気(通風)は、物体から熱を吸収し、それを他の場所に移動して放散することで機能します。移動するエネルギーの量は、強制空気の質量、比熱、温度変化に依存します。

   

 強制空気の質量は、移動する空気の体積と密度から計算されます。

   

 2番目の式を最初の式に代入すると、消費されるエネルギーが空気量に関係することがわかります。

   

 両側を時間で除算すると、次式になります。

   

 一般に、過剰電力は既知であり、空気流(体積/時間)は未知です。つまり、この方程式は次のように再定式化できます。

   

 この式をより一般化すると、次のように記述できます。

   

 ここでは、
  Q:空気流
  q:放散される熱
  ρ:空気の密度
  Cp:空気の比熱
  ΔT:放散熱吸収時の空気の上昇温度
  k:他のパラメータで使用される単位に依存する定数値
  
 20℃(68℉)の海面位における乾燥空気の密度は0.075ポンド/ft3(1.20kg/m3)であり、乾燥空気の比熱は0.24Btu/lb℉(1kJ/kg℃)です。これらの値を挿入すると、上の方程式は次のように単純化されます。

   

 ここでは、
  Qf:空気流量(CFM、立方フィート/分)
  Qm:空気流量(CMM、立方メートル/分)
  q:ワット換算の放散熱
  ΔTF:放散熱吸収時の空気の上昇温度(華氏)
  ΔTC:放散熱吸収時の空気の上昇温度(摂氏)
  
空気圧の要件

 十分な冷却に必要な空気流量については上記の方程式で解が出ますが、ファンから供給される空気圧も計算する必要があります。システム内を通り抜ける空気流の経路は、通気抵抗を生み出します。つまり、ファンは、必要な冷却を達成するために、システム全体に指定された空気量を押し込むのに十分な圧力を生成する必要があります。

 しかし、システムごとに固有の圧力要件が生じるため、空気流速度(空気流量)などの方程式に簡約することはできません。ただし、ありがたいことに、設計段階で多くのCAD製品を使用して、空気圧と空気流の特性をモデリング作成できます。設計が完了したら、流風計と圧力計を使用してこれらの特性をさらに測定できます。

図1:空気流と空気圧のモデリング(画像提供:CUI Devices)

空気流と空気圧の要件作成

 前節で概説したように、必要な冷却を実現するには、1つ(または複数)のファンによって特定の空気流量と空気圧を生成する必要があります。メーカーのデータシートには、背圧のない空気流速度、空気流速度のない最大圧力、およびファンの空気流対空気圧の性能曲線が記載されています。

 この例では、製品は、除去する熱や温度の制限に基づいて10CFM以上の空気流量が必要と計算されましたが、製品の機械設計により下図のような空気流対空気圧のグラフが生成されました(図2)。オレンジ色の曲線は空気流と空気圧の関係を示し、破線は最小必要限の空気流を表します。

図2:空気流対空気圧の曲線上にプロットされた必要最小空気流(画像提供:CUI Devices)

 上のグラフを基にして、CUI DevicesのCFM-6025V-131-167 DC軸流ファンが選択されました。そのデータシートでは、背圧なしで16CFMの空気流速度、空気流なしで0.1inH2Oの静圧が指定され、以下のような性能グラフを提供しています(図3)。

図3:CUI DevicesのCFM-6025V-131-167の性能グラフ(画像提供:CUI Devices)

 次に、図3のグラフを図2のグラフに重ねて、図4に示すグラフを作成すると、選択したファンの動作点がわかりやすく強調されます。この例では、11.5CFMの動作点が10CFMの空気流要件を超えていますが、アプリケーションによってはより大きな熱動作マージンが必要になることに十分留意してください。したがって、そのような場合には異なる性能仕様のファンを選択する必要があります。

図4:赤丸が示すファンの動作点(画像提供:CUI Devices)

複数ファンの設計と動作

 一般に、大型のファンや高速のファンは、最大レベルの空気流と空気圧を提供します。ただし、1つのファンで能力不足の場合には、複数のファンを並列または直列で動作させて、特定の性能パラメータを高めることができます。

 例を挙げると、ファンを並列に動作させると最大空気流は増加しますが、最大圧力は増加しません。一方、ファンを直列に動作させると最大圧力は増加しますが、最大空気流は増加しません。

図5:単一ファン動作、並列ファン動作、直列ファン動作。(画像提供:CUI Devices)

 並列結合や直列結合のファンの空気流対空気圧の性能曲線は、単一ファンの場合とまったく同じです。ただし、空気流または空気圧の値は、それぞれ並列または直列で動作するファンの数で乗算されます。空気流の値に並列のファンの数を掛けたものを実際に示すと、図6のようになります。

図6:空気流に並列ファンの数を掛けるか、空気圧に直列ファンの数を掛けます。(画像提供:CUI Devices)

 一般的には、並列動作のファンは高風量と低空圧の用途に理想的で、直列動作のファンは高空圧や低風量の用途に向いています。

図7:高通気抵抗と低通気抵抗でのファンの性能比較(画像提供:CUI Devices)

ファンの速度とファンの親近性法則

 ファンの速度(RPM)は、風量、空気圧、消費電力、ファンが出す音響ノイズに影響します。これらの関係は、「ファンの親近性法則」で概説できます。

・ファンによって移動される風量は、ファンの速度に比例します。
 CFM α RPM
  例:[4 x RPM]は[4 x CFM]を生成
・ファンからの空気圧は、ファン速度の2乗に比例します。
 空気圧 α RPM2
  例:[2 x RPM]は[4 x 空気圧]を生成
・ファンを動作させるのに必要な電力は、ファン速度の3乗分増加します。
 電力 α RPM3
  例:「4 x RPM]には[64 x 電力]が必要
・ファンの速度を2倍にすると、ファンによって生成される音響ノイズが15dB増加します。
  例:音響ノイズの10dBの増加は、通常、人間の聴覚ではノイズレベルが2倍になると認識されます。

図8:ファンの親近性法則(画像提供:CUI Devices)

まとめ

 この記事が概説する空気流と空気圧の要件の基礎知識は、設計者がアプリケーションの強制空冷のニーズを満たす適切なファンを選択する際に役立ちます。単一のファンでは、計算された空気流パラメータや空気圧パラメータを満たせない場合、ファンを並列または直列につなぐことで、エンジニアには別のオプションが生まれます。

 空気流、空気圧、性能の複数評価により、CUI Devicesの多様なDCファンとブロワの製品ポートフォリオで適切なファンソリューションを容易に見つけることができます。



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