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IoTとM2Mの通信および設計の違い

著者 Majeed Ahmad 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2019-12-05
マルツ掲載日:2020-02-25


 マシンtoマシン(M2M)通信とIoTは似て非なるものながら、同義語のように扱われることがよくあります。このため、それぞれの独自の特性や機能、設計要件と実装要件などについて誤解や混乱を招くことになります。

 この記事では両者の違いを説明し、それぞれのアプローチの例を紹介した後、Multi-Tech Systems、FreeWave Technologies、Hirschmann、B+B SmartWorxの設計ソリューションを使用したM2Mの独自性をIoTシステムと比較しながら詳しく説明します。

 また、最新のオーバーザエア(無線/ワイヤレス)や、ネットワーク機能を強化して参入障壁を下げる多層セキュリティなどの新しいM2M機能についても説明します。そして最後に、データ通信コストを削減するのに適したM2Mデータプランの選択方法を設計者にアドバイスします。

M2MとIoTの違い

 M2MもIoTも、技術的にはデータ転送を駆動するデータ共有とデータリンクに関するものですが、両者は異なるものです。IoTはインターネットに接続されたデバイスのネットワークですが、M2Mは2台以上の電子的に対応可能なシステム(またはマシンないしデバイス)間で自動方式で通信するプロセスです。

 M2Mのポイントtoポイント接続ないしポイントtoマルチポイント接続のマシンやデバイスは、センサ、アクチュエータ、組み込みシステム、またはその他の接続要素です。

 ここで重要なのは、M2MはIoTという用語が生まれる前、そして1990年代半ばに商用インターネットが登場する前にすでに存在していたことです。M2Mの起源は、20世紀初頭の双方向無線が出現した後に登場したテレメトリアプリケーションにまで遡ることができます。ただし、最初のデジタルセルラーネットワークであるGSMの発売により、M2M通信は1990年代に新しい発展段階に入りました。

 それから10年ほどして、オープンIPベースのネットワーク経由で接続するための主要な手段としてIoTが登場し、その後、この2つの独自の通信技術は、境界線がぼやけ始めました。この境界線の曖昧さを理解するには、サンプルアプリケーション(たとえば、心拍センサ)を使用して、M2MモデルとIoTモデルの両方にどのように適合するかを確認するとよいでしょう。

 患者の心拍数を監視するセンサを外部デバイスや医療グレードのサーバに接続して、医師に患者の健康状態をモニタリングさせようとするなら、M2Mアプリケーションで実現できます。一方、心拍数センサが患者の近くにあるインタラクティブデバイスに内蔵され、スマートフォンで患者の医師や家族にアラートを送信するものなら、これはIoTのカテゴリに入ります。

 有線や無線、セルラーの接続メカニズムを使用するM2Mアプリケーションには、ユーティリティ(電気・水道・ガス)メータの自動読み取り、交通信号機とのインテリジェント接続、監視カメラをベースにしたホームセキュリティや生活支援などがあります。このネットワーキングテクノロジが交差することで、M2M通信がそれによく似たIoT設計と合流するようになります。

IoTはM2Mをどのように補完するか

 広い意味で、M2M通信はIoT時代の新しい段階に入りました。IoTの従兄弟であるM2Mは、特にワイヤレスに関して、同様に急速に進歩を遂げるIoT関連のコネクティビティ技術とソリューションを使用できます。

 M2MアプリケーションとIoTアプリケーションの両方をサポートするMulti-Tech SystemsのMTC-H5-B01-US-EU-GB MultiConnect Cell 100シリーズ セルラーモデムは、その典型的な例です(図1)。

図1:M2Mアプリケーション用に設計されたMulti-Tech SystemsのMTC-H5-B01-US-EU-GBセルラーモデム(左)は、IoTサービスにも使用できます。(画像提供:Telit)

 このセルラーモデムは、GSMからCat 4やCat-M1 4Gネットワークまでをサポートし、プロセスの自動化、緊急サービス、リモート患者監視、再生可能エネルギーシステム、エンドオブトレイン(EOT)システム管理などのM2Mアプリケーションに有用です。

 Cell 100シリーズのモデムは、RS-232やUSBシリアルインターフェースなどの何種類かのインターフェースオプションを持ち、幅広いアプリケーション要件に対応します。ハードウェアは、MultiTechのソフトウェアパッケージConnection Managerによってサポートされます。

 このソフトウェアは、USBやシリアルデバイスを自動的に検出したり、必要なドライバをダウンロードしたりするほか、M2M接続を確立するために通信ポートが正しくマッピングされることを保証します。

 少なからぬ供給元が高度に統合されたコネクティビティを使用して低電力IoTソリューションに取り組んでいるので、さまざまな電圧入力とネットワーク構成で使用可能なコンパクトなM2M無線を容易にするのにも役立ちます。

 FreeWave TechnologiesのMM2シリーズ 900MHz RFモジュールは、良いお手本になります。これは、ポイントtoポイントやポイントtoマルチポイントの両方のネットワークトポロジでエンドポイントとして動作します。

 RFフロントエンドモジュールには、高感度と過負荷耐性を兼備させるために、GaAs FETと多段表面弾性波(SAW)フィルタ機能が組み込まれています。データ転送速度は選択可能で、115.2kbpsまたは153.6kbpsを選べます。

 MM2シリーズの標準仕様は、出力電力が1W、入力感度が1mW(dBm)を基準として-108dB、そして範囲が最大20マイルです。この範囲は明瞭な見通し線を想定しています。

M2Mのセキュリティと信頼性

 M2M設計やIoT設計の共通点であるセキュリティと信頼性は、M2Mアプリケーションでは通常、人間とのやり取りを伴わないため、より重要です。実際、M2Mネットワークを広範に展開する場合、セキュリティと信頼性が重要なハードルになります。

 そこで、有線空間では、エンジニア達はHirschmannのRS20/RS30産業用DINレールEthernetスイッチを使用して、信頼性のニーズに対応したM2Mネットワークを構成します。このRS20スイッチは、非常に高い耐障害性を確保するために4〜25のファストEthernetポートを備えています(図2)。

 同様に、RS30スイッチは、8〜24のポート密度を特長としています(2つのギガビットEthernetポートと8、16、24のファストEthernetポート)。

図2:HirschmannのRS20 Ethernetスイッチは、障害の発生を最小限に抑えるために4〜25のファストEthernetポートを実装しています。(画像提供:Hirschmann)

 ファストEthernetとギガビットポートは、個別に定義できます。これにより、M2M設計者は、特定の設計要件に従って冗長プロトコルとセキュリティメカニズムを選択できます。

 Media Redundancy Protocol(MRP)やMultiple Spanning Tree Protocol(MSTP)などのプロトコル標準のサポートにより、信頼性を重視したM2Mアプリケーションの高いネットワーク可用性が保証されます。同様に、IPおよびMACポートセキュリティ、SNMP V3、SSHv2、802.1xマルチクライアント認証など、これらの産業用Ethernetスイッチがサポートする多様なセキュリティメカニズムがあります。

 ワイヤレスに関しては、B+B SmartWorxのAirborneM2MEthernetルータとブリッジは、M2Mアプリケーションの信頼性を強化するシングルおよびデュアルシリアルポートモデルを提供しています(図3)。

 B+B SmartWorxのデュアルポートデバイスは、2.4GHzと5GHzの両方の帯域でWi-Fi接続を確立できます。したがって、2.4GHz帯域が競合する他の無線通信アクティビティで混雑している場合、M2Mルータとブリッジは5GHz帯域に切り替えることでデータフローを維持できます。

図3:高度にセキュアなWi-Fiブリッジとルータを使用して、EthernetまたはシリアルリンクでM2Mデバイスをリンクする方法の概略図。(画像提供:B+B SmartWorx)

 AirborneM2Mネットワーキングデバイスには、802.11i/WPA2エンタープライズ認証形式のワイヤレスセキュリティと、EAP(拡張認証プロトコル)認証サポートによるネットワークセキュリティを含む多層セキュリティアプローチも組み込まれています。

 これらのM2Mデバイスは、Secure Shell(SSH)公開キー認証と完全に暗号化されたデータトンネルを備えることにより、ネットワークセキュリティを強化します。さらに、デバイスレベルでは、これらのM2Mルータとブリッジは、構成データを保護するためのマルチレベル暗号化機能を提供します。

 セルラー接続を使用するM2Mサービスに関しては、通常、セキュリティと認証はLTE標準に組み込まれています。物理的なセキュリティに関しては、eSIMを基板に直接はんだ付けすると、SIMを不正に変更したり、取り外したりするなどの不正使用はほとんど不可能になります。

 M2Mアプリケーションで使用されるSIMは、後述のM2Mデータプランと、その選択と使用に関する問題に関わってきます。

M2Mデータプラン

 主要な移動体通信事業者はすべて、M2Mサービスのデータプランと価格パッケージを提供しているので、M2M設計者とユーザーはM2Mデータプランに関して多くのオプションから選択できます。ただし、アプリケーションのカスタマイズの程度など、どのような条件下でオプションを評価するかといった別の重要な基準があります。

 また、一部のサブキャリアはM2Mサービスに特化しており、仮想移動体通信事業者(MVNO)と呼ばれることがよくあります。このような移動体通信事業者は、オーバーザエア(無線/ワイヤレス)サービスを介したM2M接続のリモートプロビジョニングと管理を提供します。

 携帯電話で使用される従来のSIMと違い、専門の通信事業者が提供するM2M SIMは、データ使用のほかに、アクティビティ監視やSIMロックなどの他の機能をユーザーが制御できるようにします。これらのSIMは、トンネリングネットワーク機能を使用して特定のアプリケーションサーバにプロビジョニングしたり、リンクすることもできます。

 また、一部のM2Mスペシャリストは、データプランをモデムやゲートウェイなどの他のM2M機器とともにパッケージ化し、M2Mアプリケーションを完全なタスクとしてセットアップしていることも特筆すべきことでしょう。このようなM2M通信事業者は通常、キャリアに関係なく、M2Mアプリケーションのニーズに応じてカバレッジを構築します。

 たとえば、ヘルスケア監視サービスは単一のセルラーネットワークカバレッジで十分ですが、トラック輸送車両には複数の移動体通信フットプリントが必要になる場合があります。また、M2Mユーザーは、サービスプロバイダがトラブルシューティング機能を実際に使用し、トラブルシューティングをリモートでリアルタイムに実行できるかを確認する必要があります。

データプランの階層

 最後に、M2Mデータ伝送のコスト、そしてその後のデータプランの経済性に関しては、アプリケーションの性質が非常に重要な要因になります。たとえば、ワイヤレスPoS(ポイントオブセール)やパーキングメータなどのM2Mアプリケーションは、小さなデータパケットを散発的に使用します。このような場合、従量制のデータプランは、デバイス単位のデータプランや固定データプランよりも有利です。

 また、月に50Kバイト~3Mバイトの低使用量の月額プランは、自動検針、アセットと車両の追跡、セキュリティアラームシステムなどのM2Mアプリケーションをカバーするのに十分です。一方、中使用量のM2Mプランでは、1か月あたり5Mバイト~150Mバイトの範囲で、自動販売器や小売およびヘルスケア向けアプリケーションに効率的にサービスを提供できます(図4)。

図4:M2Mデータプランに絶対のパッケージはありません。(画像提供:Data2Go Wireless)

 ハイエンドには、デジタルサイネージ(電子看板)、産業用の監視や制御用PLC、スマートビル管理などの使用量の高いプランがあります。これらは300Mバイト~4Gバイトの範囲にあり、通常、大きなファイルやコンテンツストリーミングを伝送するために遠隔ロケーションへのリアルタイムアクセスを要求するM2Mデバイス用に利用されます。

 8Gバイト~100GバイトまでのM2Mデータプランもありますが、これは通常、大量データをストリーミングするために24時間年中無休でM2M接続を必要とするデバイス向けです。このようなM2Mアプリケーションの典型的なものとしては、アセット管理用のバックアップ、および冗長リンクとビデオ監視システムなどがあります。

 このほかに、複数のSIMのデータ使用量を集計できるM2Mデータプランがあります。これは、過度にデータを使用している1つのM2Mデバイスを、データ使用量の低い別の接続デバイスによって補償する場合に向いています。また、アプリケーションと通信事業者にもよりますが、これらのデータプランには、接続技術にGPRS、2G、3G、LTE 4Gデータパイプなどの選択肢があります。

まとめ

 M2MとIoT通信の絡み合った世界をよく見ると、ネットワークアーキテクチャや実装要件の点では異なるものの、RFモジュール、モデム、スイッチ、ルータ、ゲートウェイなどの共通の構成ブロックを共有していることがわかります。セルラー接続とその関連データプランは、これら2つのネットワーク技術の間にもう1つの共通基盤を提供します。

 ただし、これらの共通点により、M2MシステムとIoTシステムの境界線を理解することがより重要になってきます。なぜなら、セキュリティ、接続の可用性と信頼性、インターフェースオプション、RFの堅牢性などの産業用オートメーションの設計ニーズを調整する際には、この境界線の理解が不可欠だからです。




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