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新しいIEC/UL IEC62368消費者製品の安全要求を満たすには適切な電源が重要
著者 Bill Schweber 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2019-12-10
マルツ掲載日:2020-03-02
消費者製品の設計者は、さまざまな機能目標と性能目標に加えて、安全関連の広範な要件や、効率性と電磁妨害(EMI)の要求事項を満たす必要があります。これらの規制上の要求は複雑ですが、情報通信技術(ICT)とオーディオ/ビデオ(A/V)機器向けの新規格であるIEC 62368-1安全規格では、設計者がその目的と要件を理解している場合に限り、これを役立てることができます。
この記事を作成している時点では、これらの分野に対応して広く使用されている規格は2つあります。情報技術機器向けの安全規格であるIEC 60950‑1と、オーディオ/ビデオおよび類似の電子機器向けの安全規格であるIEC 60065です。これらの規格は2020年12月20日をもって廃止され、単一のIEC 62368-1規格に置き換わります。
この新規格には、旧規格の2つの製品クラス間で生じていた違いと重複をなくす以上の意味があります。新規格では、安全の観点を「インシデントベース」から「ハザードベース」の評価に移行し、既存の技術に合わせて要件で対応するシフトを行いますが、新しい発展は制限されません。
この記事では、IEC 62368-1の役割と重要な点や、設計に与える影響について説明します。次に、新規格を満たす上で重要な役割を担う機能とサブシステムのうち、特に電源について確認していきます。最後に、その要求事項を満たし、エンジニアがより簡単に製品の承認を得て製品化を短縮できるようにする、CUI Inc.の電源ソリューションについて説明します。
IEC 62368-1:必要な理由と対象製品
わずか数十年前まで、A/V製品とコンピュータなどの情報技術(IT)は明確に区別されていました。そのため、従来の製品クラスにはそれぞれの安全規格が個別に関連付けられていました。しかし、技術の進歩と変更により、これら2つのグループ間の境界があいまいになり、重複が著しく増加しました。その結果、結合された新しい安全規格で、個別の規格を置き換える必要性が生じました。
IEC 62368-1の元のバージョンは、世界で最も古い規格作成団体の1つである国際電気標準会議(IEC)によって策定されました。このため、IECは個々の規格を単に改訂して更新するだけでなく、IEC 60065とIEC 60950-1に置き換わる新規格の策定を目的とした専門家、学識者、政府当局者で構成される技術委員会(TC)108を設立しました(図1)。これを受け、TC 108で策定された規格が正式にIECに採用され、米国を含む多くの国や地域でこの規格が「整合」されました。


図1:IEC 62368-1は広範な消費者製品とオフィス製品に対応する新しいアプローチを取り入れたまったく新しい安全規格ですが、一部の履歴とコンテキストは漸進的です。(画像提供:Power Systems Design)
IEC 62368-1の対象となる多くの製品クラスには以下のものが含まれますが、これらに限定されません。
・コンピューティングおよびネットワーク製品(サーバ、PC、ルータ、ノートブック/ラップトップコンピュータ、タブレット、各製品の電源)
・民生用電子機器(アンプ、ホームシアターシステム、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤ)
・ディスプレイおよびディスプレイユニット(モニタ、TV、デジタルプロジェクタ)
・テレコミュニケーション製品(ネットワークインフラストラクチャ機器、コードレス/携帯電話、バッテリ駆動型通信デバイスなど同等の類似通信デバイス)
・オフィス機器(コピー機、文書シュレッダ)
・家庭や学校、同等の施設や環境で使用されるその他各種オーディオ/ビデオ、情報通信技術機器
・民生用電子機器(アンプ、ホームシアターシステム、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤ)
・ディスプレイおよびディスプレイユニット(モニタ、TV、デジタルプロジェクタ)
・テレコミュニケーション製品(ネットワークインフラストラクチャ機器、コードレス/携帯電話、バッテリ駆動型通信デバイスなど同等の類似通信デバイス)
・オフィス機器(コピー機、文書シュレッダ)
・家庭や学校、同等の施設や環境で使用されるその他各種オーディオ/ビデオ、情報通信技術機器
IEC 62368-1は、2つの先行規格を単に更新して統合した単純な改訂ではありません。この規格は、Hazard-Based Safety Engineering(HBSE)という正式名のハザードベースのアプローチを使用し、電子機器とIT/通信技術の両方に関連する安全上の問題に対応します。
新しいアプローチでは、安全要件の詳細な記述を検討して定義するのではなく、起こりうるリスクを重視すると同時に、これらのリスクに対する保護手段の設計方法を決定する裁量権をメーカーに与えます。このため、このアプローチでは設計段階の安全性に対する製品の評価をより重視します。
HBSE原則を使用するIEC 62368-1には、次の3つの特徴があります。
・より性能指向でありながら、以前に安全であることが(IEC 60065やIEC 60950-1などで)証明されている場合は、(現時点では)承認された構造も容認される
・(定義された境界内で)独立した技術であり、より自由な設計が容認される
・幅広い既存のエレクトロニクス製品に適用されるが、世界市場への新しい技術の導入もサポートする
・(定義された境界内で)独立した技術であり、より自由な設計が容認される
・幅広い既存のエレクトロニクス製品に適用されるが、世界市場への新しい技術の導入もサポートする
2020年12月20日に、IEC/UL/CSA 60950-1とIEC/UL/CSA 60065は正式に廃止されます。この日付以降、メーカーが市場に製品を投入するには、IEC/UL 62368を満たしてコンプライアンスを確実にする必要があります。
企業が62368-1認証済みの製品で60950-1や60065パーツの在庫を引き続き使用できるようにするための重要ですが一時的な条項があり、事実上、特定の状況と地域でその在庫が「対象外にされる」ことに注意してください。特に、下位条項4.1.1は、「IEC 60950-1またはIEC 60065に準拠するコンポーネントおよびサブアセンブリは、最終製品におけるコンポーネントまたはサブアセンブリの適切な使用を考慮すること以外の追加評価なしに、この規格の対象となる機器の一部として許容される」と規定しています。
たとえば、認証済み電源の場合、この「考慮」は、従来の電気定格内のみで製品が使用されていることを確認するというような簡単な内容です。
HBSE:目的
HBSEでは、既知の危険が考慮され、予測される環境で安全に使用できるように製品が設計されていることを製品メーカーは明示する必要があります。つまり、「暴露されうる既知の高電圧点など特定の状況からユーザーを保護する必要がある」という単純な記述ではなく、「さまざまな危険を評価し、それぞれの危険タイプとレベルに基づいて適切に対応する必要がある」と記述されています。
これを受けて、規定された仕様が満たされていることをメーカーが単に示すことから重点がシフトされます。他の規格では引き続き要求されるリスク分析は必要とされません(IEC 60601-1 - 医療用電気機器 - 第1-2部:基礎安全および基本性能に関する一般要求事項 - 付随規格:電磁妨害 - 要求事項および試験など)。
HBSEでは、潜在的に危険なエネルギー源と、そのエネルギーがユーザーに伝達されうるメカニズムの特定をメーカーに求めることにより、機器ユーザーを保護する目標を定めています。
次に、メーカーは、通常の動作とフォールト状態の両方で伝達の発生を防ぐ適切な方法を提案し、実施する必要があります。電気エネルギー(電気ショック)によって直接引き起こされる痛みや傷害または火傷による傷害から保護するセーフガードが導入され、痛み、傷害、死、または物的損害につながる可能性のある電気的に発生する火災を防止します。最後に、HBSEではこのセーフガードの有効性も評価されます。
HBSEモデルは、エネルギー源、伝達メカニズム、人体側の3つのブロックで構成されます(図2)。エネルギー源がもたらすリスクに対する「ソリューション」は類似する3つのブロックモデルで表されますが、エネルギー伝達メカニズムとしてセーフガードが導入されます。


図2:IEC 62368-1の戦略では、危険なエネルギー源と、ユーザーに対して発生する可能性のある経路を特定してから、そのエネルギー経路と流れに対するセーフガードを提供します。(画像提供:InComplianceMag.com)
IEC 62368-1では、さまざまなタイプのユーザーとエネルギー源に必要なセーフガードレベルをそれぞれ3つのカテゴリ別に考慮することもメーカーに求めています。ユーザーの場合、この3つは「スキルユーザー」、「指導されたユーザー」、「一般ユーザー」に該当します。エネルギー源は表に従って分類されますが、簡略バージョンを図3に示します。


図3:IEC 62368-1はエネルギー源を3つの等級で識別し、その度合いを定義します。必要に応じて、それぞれにセーフガードを提供する必要があります。(画像提供:CUI)
ユーザーレベルとエネルギー源の2つの分類がマトリクスで統合されます(図4)。


図4:各エネルギー源に必要なセーフガードのレベルとタイプを確立するために、IEC 62368-1規格ではエネルギー源リスクとユーザースキルレベル/専門性を統合します。(画像提供:SGS SA)
一般ユーザーからスキルユーザーに列が下がるほどユーザーのリスクは減少しますが、左から右に列が進むほどエネルギークラスが高くなり、エネルギー源の危険性は大きくなります。したがって、この規格では、クラス3製品(エネルギー源3またはES3)を使用する一般ユーザーに追加または強化されたセーフガード(ダブル絶縁や特殊シールドなど)が必要ですが、ES3製品を使用するスキルユーザーに同じレベルの保護は必要ありません。
IEC 62368-1では4ステップのプロセスを使用します。
・最初に、エネルギー源を特定する
・次に、クラス1、2、3のいずれかに分類する
・3番目に、適切なセーフガードを特定する
・最後に、選択したセーフガードの有効性を測定する
・次に、クラス1、2、3のいずれかに分類する
・3番目に、適切なセーフガードを特定する
・最後に、選択したセーフガードの有効性を測定する
セーフガードは、アプローチとレベルの2つのグループに分けられます。「アプローチ」はセーフガードが機能する方法を指定し、「レベル」はセーフガードの強度を特性化します(図5)。


図5:IEC 62368-1は必要なセーフガードに適したレベルを特定してから、それを実装するアプローチを分析します。(画像提供:SGS SA)
最初にエネルギーを確認
エネルギーレベルは、電圧と電流とともにコンプライアンスに重要です。エネルギーレベル(ES1)が低い場合、問題はほとんどありません。ES1、ES2、ES3に対応する特定の電流制限と電圧制限は変動し、周波数によって決まる場合もあることに注意してください。
たとえば、1kHz未満の場合、ES1制限は30VRMS、42.4Vpeak、60VDCですが、ES2制限の場合は50VRMS、70.7Vpeak、120VDCです。
機器は適用されるエネルギークラスで指定された電圧制限または電流制限のいずれかに準拠する必要がありますが、その両方に準拠する必要はないため、状況を複雑にしています。さらに、規格で定義されるこの制限は通常時または異常時の動作、または単一のフォールト状態によって異なるだけでなく、パルス波形とそのオフ状態における制限を詳細に示すサブセクションも存在します(図6、図7)。


図6:電気火災は電源と時間の組み合わせで発生するため、IEC 62368-1規格ではこれら2つの主要パラメータの関係を確認します。(画像提供:CUI)


図7:この規格では、電気火災を引き起こす可能性のあるエネルギーレベルも特性化します。(画像提供:CUI)
設計技術者がすべきこと
新規格を理解したので簡単に準拠できると考えている設計者は、次の2つのグループのいずれかに該当します。
・規格関連のコースを受講し、トレーニングを受け、既存のIEC規格ですでに作業したことがあり、個人的に承認プロセスを経ている設計者。
・考えが甘く、無謀な設計者。これは、複雑で、場合によっては混乱しやすい一連の要件が規格に含まれているためです。また、セーフガードのオプションを特定するために、長いリストから選択する必要もあります。どこで何をどのように使用するのかを把握するのは、明白でも自明でもありません。
・考えが甘く、無謀な設計者。これは、複雑で、場合によっては混乱しやすい一連の要件が規格に含まれているためです。また、セーフガードのオプションを特定するために、長いリストから選択する必要もあります。どこで何をどのように使用するのかを把握するのは、明白でも自明でもありません。
検討対象として可能性のあるセーフガードには、保護接地(真のアース「接地」)、電気エンクロージャ、耐火性エンクロージャ、絶縁が含まれますが、これらに限定されません。また、外部アースとの結合や、安全マーキングを含めた説明用セーフガードなどの設置されるセーフガードもあります。
最後に、一般ユーザーがスキルユーザーから指導される場合や、スキルを持つ実践者の能力に依存できる、いわゆる「スキルベース」のセーフガードで、クラス2とクラス3のエネルギー源によりもたらされる危険からユーザーを保護するために設計される予防的セーフガードがあります。
最初に重視するのは、電源
設計者が最初にすべき質問は、この設計がリスク領域に該当する原因となる主要エネルギー源は何かということです。この規格の対象となる多くの製品について、この回答は明らかに、AC電源です。このため、規格に準拠した電源を選択して適切に実装すれば、ほとんどのコンプライアンス上の問題はなくなり、設計上の課題は大幅に削減されます。
幸い、CUIなどの電源ベンダは2020年12月の期日に備えて新規格を研究・分析しており、すでに要件を上回る広範なAC電源を提供しています。これらの電源は、比較的低い電源装置(10W以下)から中規模の装置や、3桁ワット数の大規模な電源まで多岐にわたります。これらの電源範囲と能力について、3つの例で説明します。
CUI SWI6-9-N-P5は、出力が3.3~15Vのアダプタファミリの一部である、9V、6WのAC/DCウォールマウントアダプタです(図8)。このアダプタは90~264VACで動作し、無負荷消費電力が0.1W未満のエネルギー省(DoE)によるレベルVIの効率基準を満たします。これには、78gで寸法56mm×28mm×42mmの小型ケースによる過電流保護、過電圧保護、短絡保護が含まれます。


図8:CUI Inc.からのSWI6-9-N-P5は、外部使用に対するIEC 62368-1に完全に準拠した9V、6WのAC/DCウォールマウントアダプタです。(画像提供:CUI)
より高い電圧と電流定格の場合、CUI SMI18-24-V-P5は、5~24V装置のファミリの一部で、マルチプラグアダプタを使用する24V、18Wのウォールマウントアダプタです(図9)。
この170g、75mm×35.8mm×65.6mmの装置は、無負荷時の消費電力が0.075WのDoEレベルVI、CoCティア2の効率等級と、6Wの抵抗器に類似する保護を満たします。このユニバーサル入力電源に固有の機能には、世界(北米、ヨーロッパ、UK、オーストラリア、中国)での使用に必要な交換可能なACプラグが備わっています。


図9:SMI18-24-V-P5はIEC 62368-1に準拠する24V、18Wウォールマウントアダプタであり、一連のマルチプラグアダプタを備えているため、同じ装置を世界中で使用できます。(画像提供:CUI)
もちろん、多くのアプリケーションには、CUI SDI120-12-U-P51 AC/DCデスクトップアダプタで提供されるような、より高い電力定格が必要です。これは、定格12V、120Wであり、この電力定格を使用する12~48Vファミリの一部です(図10)。
IEC 62368-1の定格電源は580gで、寸法が168.1mm×65.9mm×39mmです。DoEレベルVIの効率(230V ACでの無負荷時は0.21W)を満たしており、力率は0.9を超えます。ACコードは付属しませんが、オプションでプラグ付きコードと現地のACコンセントに適合するコードをオーダーできます。


図10:ウォールマウントアダプタが不適切または望ましくない、高い電源の条件下では、外部のSDI120-12-U-P51 AC/DCデスクトップアダプタを使用でき、適切なAC電源コードを個別に選択できます。(画像提供:CUI)
まとめ
消費者製品や関連製品向けのIEC/UL IEC 62368-1規格は、2020年12月の確定した日付に発効されます。これは、潜在的な安全上の問題やそれらに対するセーフガードを評価するハザードベースのアプローチを採用した複雑な規格であり、以前の規格とは非常に異なります。この規格の要求事項を超えるAC/DC電源を選択することから始めると、設計エンジニアリングチームのタスクが大幅に簡略化され、最終製品の承認リスクが最小限に抑えられます。
CUI参照資料
(1)IEC 62368-1:ICTおよびAV機器の新しい安全規格の紹介
(2)IEC 62368-1の最新情報:準拠に時間はかかるが締め切りが困難
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(2)IEC 62368-1の最新情報:準拠に時間はかかるが締め切りが困難
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