マルツTOP > APPLICATION LAB TOPページ おすすめ技術記事アーカイブス > 最適なデバイスの選択に役立つエンコーダ出力信号の理解

最適なデバイスの選択に役立つエンコーダ出力信号の理解

著者 Jason Kelly 氏
Electromechanical Design Engineer, CUI Devices
2019-08-21
マルツ掲載日:2019-11-18


 電子モータコントローラには、通常、ローターの位置/速度を検出するエンコーダが必要です。適切なデバイスを選択する際、エンジニアはいくつかの側面を評価する必要があり、まずアプリケーションにインクリメンタルエンコーダや絶対エンコーダ、転流エンコーダが必要かどうかから始めます。それを決めたら、分解能、実装パターン、モータシャフトサイズなど、他のパラメータについて考慮します。

 最適な出力信号タイプの選択は必ずしも分かりやすくはなく、見過ごされがちです。最も一般的な3つのタイプは、オープンコレクタ、プッシュプル、差動ラインドライバです。この記事では、エンジニアがアプリケーションのニーズに応じて適切なデバイスを選択できるように、各タイプについて説明します。

第1の原則

 各タイプのエンコーダ出力信号はデジタルで、インクリメンタルエンコーダの直交出力や、転流エンコーダのモータ極出力、特定プロトコルに準じたシリアル出力かを問いません。このように、信号は常に5Vエンコーダの0V付近と5V付近との間で切り替わり、論理0または1に対応します。このため、インクリメンタルエンコーダの出力は基本の矩形波です(図1)。

図1:デジタルエンコーダの一般的な矩形波出力。(画像提供:CUI Devices)

オープンコレクタ出力

 オープンコレクタ出力(図2)は、ロータリエンコーダで最も一般的です。つまり、入力信号がハイの場合、トランジスタのコレクタピンが開いたままになるか、接続が解除されることを意味します。出力がローになる必要がある場合、グランドに駆動されます。

図2:オープンコレクタ出力回路図。(画像提供:CUI Devices)

 信号がハイのとき出力が接続解除されるので、コレクタでの電圧が目的のレベルに達しロジック1を示すようにするために、外部「プルアップ」抵抗器が必要になります。これにより、異なる電圧で動作するシステムを相互接続する柔軟性が生まれます。コレクタは、エンコーダの動作電圧よりも高い/低い電圧にプルアップできます(図3)。

図3:コレクタ出力を適切な電圧にプルアップして外部システムにインターフェース接続できます。(画像提供:CUI Devices)

 一方、このインターフェースには欠点がいくつかあります。すぐに入手可能なコントローラの多くで組み込み済みのプルアップ抵抗は有限の電流を消費するので、電力を消散します。さらに、寄生回路静電容量と組み合わせた動作なので、抵抗により高電圧と低電圧間の出力の移行が遅くなる可能性があります。この遷移の勾配(図4)はスルーレートと呼ばれます。

図4:状態間で出力が切り替わるのにともない、プルアップ抵抗は出力電圧の遷移を実質的に遅らせます。(画像提供:CUI Devices)

 スルーレートを下げると、プルアップ抵抗がエンコーダの動作速度を実質的に制限し、インクリメンタルエンコーダの分解能を低下させます。抵抗値を小さくすることで、スイッチング速度が上昇しますが、信号が低いとさらに多くの電流が消費するので消費電力も増えます。

プッシュプル出力

 トランジスタ1個ではなく2個を含むプッシュプル出力(図5)は、上述のようなオープンコレクタインターフェースの欠点を解消できます。上側のトランジスタがプルアップ抵抗に置き換わり、オンになると、効果的な最小抵抗値で電圧をレールまでプルし、これにより高速スルーレートが確保されます。

 出力信号がローになるとトランジスタがオフになるので、このアクティブなプルアップでは電力消散がオープンコレクタ回路より低下します。これにより、電池駆動のデバイスで実行時間が大幅に向上します。

図5:プッシュプル出力(画像提供:CUI Devices)

 CUIのAMTファミリ シングルエンドエンコーダの全製品にはプッシュプル出力が含まれているので、外部回路とのインターフェース接続にプルアップ抵抗は必要ありません。速度の向上と消費電力の削減に加えて、これらのプッシュプル出力では試験や試作も簡素になります。AMTエンコーダにはCMOS出力もあります。電圧のハイ/ローの値はデバイスに応じて異なるので、出力における電圧をどのように解釈するかについてはデータシートをご覧ください。

差動ラインドライバ出力

 プッシュプル出力をともなうエンコーダはオープンコレクタタイプの欠点を解消しますが、両方ともシングルエンド出力であり、長距離のケーブルで使用したり大量の電気ノイズや干渉をともなう環境で使用したりする場合には制約があります。

 長距離のケーブルでは、信号振幅が減少し、容量性効果によりスイッチング移行が遅くなります。シングルエンド信号では送信信号がグランドを基準にすると、この劣化がエラーの原因となり、システム性能の低下につながります。

 さらに、電気的ノイズの多い環境では、さまざまな大きさの不必要な電圧がケーブルに乗り、シングルエンドシステムの受信機が信号電圧を誤ってデコードする原因にもなります。

 ケーブル長が1mを超える場合、CUIでは差動シグナリングを推奨しています。

 差動ラインドライバを備えたエンコーダは2つの出力信号を生成します。1つは元の信号と一致し、もう1つは正反対の信号やコンプリメンタリ信号です。2つの差の大きさは元のシングルエンド信号の2倍となり、電圧降下と静電容量による劣化を克服できるようになります(図6)。

図6:差動ラインドライバは信号劣化を克服します。(画像提供:CUI Devices)

 さらに、両方の信号に存在するコモンモードノイズは減算により除去できるので、受信システムによって無視されます(図7)。差動ラインドライバインターフェースは、その優れたノイズ除去能力により、産業/車載用アプリケーションで広く使用されています。多くのCUIエンコーダモデルでは、要求の厳しいアプリケーションでの使用に適した差動ラインドライバ出力のオプションが提供されます。

図7:差動レシーバは両方の信号に見られるノイズを無視します。(画像提供:CUI Devices)

 ここではエンコーダ出力タイプとその相対的な長所について概説してきましたが、エンジニアが最適な消費電力と適切な接続距離における確実な通信および適切なノイズ耐性を組み合わせることで、各自のアプリケーションに最適なデバイスを選択できるよう、本記事が役立つことを願っています。



免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、Digi-Key Electronicsの意見、信念および視点またはDigi-Key Electronicsの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。

 

このページのコンテンツはDigi-Key社より提供されています。
英文でのオリジナルのコンテンツはDigi-Keyサイトでご確認いただけます。
   


Digi-Key社の全製品は 1個からマルツオンラインで購入できます

※製品カテゴリー総一覧はこちら



ODM、OEM、EMSで定期購入や量産をご検討のお客様へ【価格交渉OK】

毎月一定額をご購入予定のお客様や量産部品としてご検討されているお客様には、マルツ特別価格にてDigi-Key社製品を供給いたします。
条件に応じて、マルツオンライン表示価格よりもお安い価格をご提示できる場合がございます。
是非一度、マルツエレックにお見積もりをご用命ください。


ページトップへ