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ジェスチャを使用して任意のシステムを操作

著者 ヨーロッパ人編集者
Digi-Keyのヨーロッパ人編集者 の提供
2017-07-05
マルツ掲載日:2018-07-18

ジェスチャを使用して電子機器を操作するというアイデアの普及を後押ししてきたのが、タブレットとスマートフォンです。現代では、指を挟む動きと言えば画面上の物を小さくすることを連想し、複数の指を使用してスワイプ動作を行えば画面やアプリを切り換えることができます。これらの単純な動きは、現在では完全におなじみのものになっているようです。

毎日利用されているおかげで、このジェスチャインターフェースは別のテクノロジ分野にも進出を始めています。運転者が道路から目を離さずに機能を操作できることが必要な車載用アプリケーションにとっても、ジェスチャインターフェースは重要だと考えられています。このようなジェスチャインターフェースの多くは、ダッシュボードの対話式ディスプレイの補助的手段として使用されていますが、ジェスチャインターフェースの大きな利点は、複雑な表示装置が不要なことにあります。音によるメッセージやデバイス上の光の構成の変化でも、ジェスチャが認識され状態が変わったことを知らせることができます。このため、モノのインターネット(IoT)の一部として周囲をインテリジェント化するデバイスでも、ジェスチャインターフェースがきわめて効果的です。

グラフィカルインターフェースのないデバイスの場合のジェスチャは、使用する指の数の変化に応答することも多いスマートフォンの場合に比べると単純です。このような比較的単純なインターフェースでは通常、手全体の動きが利用されます。センサパネルの前で手を上に払うジェスチャにより、室内制御システムに、照明を明るくするように指示することもできますし、横に払うジェスチャで、エアコンに、温度の上げ下げを指示しても良いでしょう。あるいは指を速く動かすフリック動作でさまざまな機能を行わせたり、エンターテイメントシステムに次のトラックに進むように指示することもできます。

また、現在のセンサパネルのモードに応じてジェスチャの意味を変えることもでき、その場合は恐らく簡単なLEDインジケータアイコンまたは音声メッセージで現在アクティブなモードをユーザーに通知することになるでしょう。センサパネルから室内のさまざまなシステムへのネットワーク接続を介して多くの機能を制御できることは、IoTインフラストラクチャのメリットの1つです。センサパネルを、テーブル、壁面操作部、またはスピーカなど他の電子機器に組み込むこともできます。複数のデバイスをIoTシステムと連携させれば、室内のさまざまな場所で操作を行えて便利です。

ジェスチャの動きを検出するには、カメラや近接センサなどさまざまな方法があります。一方、IoTアプリケーションで問題になることの一つがコストです。カメラを使用したソリューションでは、画像処理用の複雑なソフトウェアが必要ですが、柔軟性が高いためさまざまなジェスチャを認識できます。

電界センサは、はるかに低コストで動作も単純です。このセンサでは、ACで駆動した電極を使用して対象物の表面に電界を放射します。電磁界の磁気成分が最小になるような周波数が選択されて準静的近接電界が形成され、手などの導電性物体が検出領域内に入るとこの近接電界に乱れが生じます。

図1:標準型と昇圧型のセンサで得られる検出領域

ユーザーの手が検出領域内にあるとき、一部の電力線はユーザーの身体を通ってグランドに流れ、電界全体が歪みます。この影響で手の近くにある電極の信号レベルが下がり、配列状のセンサにより検出されます。手を動かすと、配列の異なる部分で動きが検出され、電位の変化情報がMicrochip TechnologyのMGC3x30 GestICなどのコントローラICに送られます。

図2:GestIC MGC3030のブロック図

GestICのインターフェースでは、最大で5つまでの受信電極と1つの送信電極を使用できます。受信電極と送信電極は、銅のメッシュまたは酸化インジウムスズ(ITO)など任意の導電性材料で作ることができます。電極間の絶縁体には、PCB FR4、ガラス、プラスチックなど任意の非導電性材料を使用できます。電極の上のオプションのカバー層も、同様に非導電性でなければなりません。送信電極は、受信回路の配列の下に設けられます。

設計時には、標準型センサにするか昇圧型センサにするかを選択できます。標準型は、多くの場合は電池駆駆動式の、グランドとの間の導電性が小さい小型機器に適します。送信電圧が大きい昇圧型センサは、広い認識領域が要求される機器など、グランドに接続された大型機器に適します。標準型センサを使用する場合でも、電池駆動でグランドに接続されていない機器の場合は認識領域が50mmですが、グランドに接続することで最大100mmまで広げることができます。センサの形状は、ほぼ四角形または円形にすることができますが、縦横比は1:3を超えてはなりません。

GestICハードウェアは人間の手の電気的重心を認識し、センサの検出領域内で重心が移動すると追跡できます。ユーザーの手のXY位置は、センサ電極のうちの4つを使用して読み込まれます。第5の接続は、単純な「ボタンタッチ」ジェスチャを認識するためのボタンまたは中央電極として使用できます。

システムに容易に組み込めるよう、GestICデバイス自身の内蔵フラッシュメモリにジェスチャ処理ファームウェアが用意されています。このファームウェアは、接近検出、位置追跡、ジェスチャ認識などの機能を実行する複数の隠れマルコフモデルを使用したデジタル信号処理(DSP)アルゴリズムのColibri Suite(コリブリスイート)が含まれています。メッセージ式インターフェースを使用してステータス更新情報をホストマイクロコントローラ(MCU)に転送する機能やファームウェアの更新処理機能も用意されています。

MCUとMGC3X30の間の通信には、I2C互換の2線式シリアルインタフェースが使用されています。このため、MCUはセンサデータを読み込んで制御メッセージをチップに送信できます。同じバス上にある2つまでのMGC3X30デバイスを選択して切り換えることができるアドレスピンも用意されています。GestICファームウェアはデフォルトでは5msごとにセンサの測定値を更新し、そのたびにシリアルポートのメッセージバッファを更新し、転送ステータス(TS)ラインをローにプルダウンして次の読み込みが行えることを知らせます。

ホスト側では、GestICデバイスでの検出が想定されているジェスチャのタイプなどさまざまな実行パラメータを設定できます。Set_Runtime_Parameter用のコマンド0xA2は、ビットマスクを使用して不要なジェスチャタイプをフィルタ処理し除外します。場合によっては、いくつかのジェスチャを無効化すると他のジェスチャの認識率が改善され、単純な操作インターフェースが使いやすくなります。GestICは、デカルト軸に沿ったフリックジェスチャ、および時計方向または反時計方向に円を描くジェスチャを認識できます。

図3:GestICソリューションで認識されるジェスチャのタイプと、考えられる使用方法。

また、GestICファームウェアは、センサの検出領域内で手を動かしたときに手の位置を更新し、ジェスチャの更新情報と共に出力します。その他の情報としては、第5の電極を含めることでサポートされるタッチイベントとAirWheelデータがあります。AirWheelの機能は旧式のポータブル音楽プレーヤのスクロールホイールと似ていますが、AirWheelではデバイス表面の上方でジェスチャを行います。

技術者がホストMCU用のソフトウェアを容易に開発できるよう、Microchipが開発したC言語ベースのAPIが用意されており、使用例がリファレンスコードに示されています。このAPIは、メッセージバッファの操作、メッセージのビットマスクのデコード、イベント処理などの機能を実行します。これらの機能があるため、ホストMCUは下位レベルのプロトコルやタイミングの制約から解放されます。設計をサポートするための第2のソフトウェアパッケージAureaは、Windows PC上で動作します。このソフトウェアは、GestICから送られたメッセージを解釈してジェスチャと位置データを視覚的に表現します。開発者は、Aureaを使用することで、対象のアプリケーションを最適にサポートできるように、センシングパラメータとレイアウトを最適化できます。開発キットには、センサとソフトウェア開発のための試作に役立つI2C USBブリッジが含まれています。

結論

MGC3x30 GestICは、電界センシングによる低コストなハードウェアと、ソフトウェアツールやファームウェアをサポートするインフラストラクチャの組み合わせにより、広範囲のIoT対応デバイス向けの直観的なインターフェースを実現できる、効率的なソリューションです。

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