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高度なロードスイッチを使用したDC電源レールの安全な管理と保護

著者 Bill Schweber 
Digi-Keyの北米担当編集者 の提供
2022-02-17

マルツ掲載日:2022-05-30


 すべてのシステム設計において、DC電源レールを管理することと、内部や外部のさまざまな故障モードからDC電源レールを保護することの両方が重要です。レールが複数ある場合は課題が複雑になりますが、小型で低電力のバッテリ駆動設計を含む今日のシステムでは、その傾向がますます強くなっています。

 電源レールの管理は、必要に応じてレールへの電流のオン/オフを指示する電源管理IC(PMIC)から始まります。PMICは、複数のレール間のタイミングやシーケンシングを管理する役割も担っています。しかし、実際に物理レベルで電源レールを制御するのはロードスイッチの役目です。これはMOSFETベースの配列で、電流を通すか遮断するかの指示を受けることができます。

 現在、ロードスイッチには突入電流のスルーレート制御や過温度保護などの基本機能に加えて、制御パワーダウン、クイック出力放電、真の逆電流ブロッキングなど、FETベースのディスクリート設計では実装することが難しいその他の機能がますます必要とされています。

 このような複雑さを回避しつつ、ディスクリートによる実装に必要なコストや基板スペースを削減するために、設計者はスイッチを備えた1つのパッケージに必要な機能を組み込んだロードスイッチICを選択することができます。これらの統合型ロードスイッチは、電源レールの動作に関する多くの問題を解決または回避し、モバイルやバッテリ駆動設計の多くの要件に対処するのに役立ちます。

 この記事では、ロードスイッチの役割、基本的な機能、追加機能および、電源レール用の比較的単純な電子制御式オン/オフスイッチ以上の高度な機能について説明します。この記事では、Toshiba Electronic Devices & Storage Corporation(以下、東芝)が提供するTCK12xBGシリーズの新しい3つのロードスイッチICを使用して上記の点を説明し、最新の製品設計のニーズを満たすための適用方法を紹介します。

ロードスイッチの基礎知識

 基本的なロードスイッチには、入力電圧、出力電圧、イネーブル、グランドという4つのピンしかありません(図1)。ON/OFF制御ピン(アクティブハイまたはアクティブロー)にロジックレベルの制御信号が印加されると、デバイスがイネーブルになり、パスFETがオンになります。これにより、入力ピンVINから出力ピンVOUTに電流が流れ、負荷回路に電力を供給することができます。


図1:ロードスイッチはFETベースのパススルーデバイスで、電子制御信号を介してDC電源からその負荷への電流の流れを許可/遮断することができます。(画像提供:Bill Schweber)

 ロードスイッチは、単なるパッケージ化されたパスFETではありません。少なくとも、ロードスイッチには制御ロジック、FETドライバ、レベルシフタに加え、システムや部品を損傷する可能性がある過電流保護や逆流(逆電流とも呼ばれる)を防止する機能など、各種回路保護機能も含まれています。また、電源レールをオンにする場合のスルーレート制御や過温度保護といった有用な機能も実装できます。

 最も単純なアプリケーションでは、ロードスイッチは1つの負荷の電源と電源レールの間で使用され、必要なときにPMICを介してオンにしたり、静止状態にして電力を節約したりすることができます(図2)。


図2:最も単純なアプリケーションでは、ロードスイッチはPMICによって制御され、負荷への電流の流れを制御します。(画像提供:東芝)

ロードスイッチのパラメータ

 ロードスイッチには、設計者が評価する必要のある重要なパラメータがいくつかあります。上位3つのパラメータは、サポートできる最大入力電圧と出力電流、そして「オン」抵抗です。また、アプリケーションによっては、以下を含むその他のパラメータも重要になる場合があります。

(1) 静止電流(IQ):ロードスイッチの出力に電流が流れていない状態で、ロードスイッチに電力を供給するために必要な電流。
(2) シャットダウン(スタンバイ)電流(ISD):デバイスが無効にされているときに、VINに流れる電流。
(3) ONピン入力リーク電流(ION):ON/OFF制御ピンが有効なときに、そのピンに流れる電流。

 ウェアラブルやスマートフォン、IoTモジュールなどのバッテリ駆動アプリケーションでは、低静止電流やシャットダウン電流の重要性が増しており、バッテリ寿命や駆動時間に大きな影響を与えています。

過電流保護

 ロードスイッチの過電流保護機能は、負荷での一時的または永久的な短絡といった明確な故障に対する保護だけではありません。また、1つのレールから複数の負荷に電力供給され、ある負荷がより早くオンになった場合に発生する、出力電圧の低下を緩和することが必要になる場合もあります(図3)。

 電流需要の急激な増加により、電源の出力が瞬間的に公称値以下までドループします。この遅延(回復期間)は、電源の負荷過渡性能と負荷の仕様によって決まります。


図3:1つのロードスイッチで複数の負荷に電力供給しても、それらの負荷が同時にランプアップしてオンになるとは限りません。(画像提供:東芝)

 また、このドループにより、2つ目の負荷が正常に起動しなかったり、動作が不規則になったりすることもあります。これらの理由から、ロードスイッチの電流制限機能は、1つ目の負荷による電流要求の増加によって引き起こされる出力電圧の低下を緩和するのに役立ちます。

 多くのシステムでは、複数の負荷を特定の順序で、かつ各電源レールがアクティブになるタイミングを決めて通電させる必要があります。このような場合、複数のロードスイッチがPMICの制御下で使用されます。PMICは、それらのシーケンシングと相対的なタイミングを管理します(図4)。


図4:複数のロードスイッチを使用することで、さまざまな負荷をオンにするシーケンシングとタイミングを必要に応じて制御し、システムを適切に動作させることができます。(画像提供:Bill Schweber)

逆電流ブロッキング

 ロードスイッチの逆電流ブロッキングとは、その名の通り、出力側の電圧が入力側よりも高くなったときに、電流が逆流するのを防ぐことです。これは、2つの一般的な状況によって起こります。第1に、自動車用バッテリなどの電源は、切断されたケーブルによるバッテリ端子の偶発的なグレージングの結果として、または再接続の際のミスにより、誤って逆向きに接続されることがあります。これは、一般ユーザーがバッテリを逆に挿入してしまうような、基本的なことである場合もあります。

 第2の状況は、あまり目立たないものです。電圧の異なる2つの電源が負荷に対して多重化されている場合について考えてみましょう(図5)。共有出力側の電圧は、低電圧電源の入力側の電圧よりも高くなることがあります。このシナリオでは、高電圧側から低電圧側に電流が流れ、低電圧の電源を損傷する可能性があります。


図5: 多重化された電源がそれぞれのロードスイッチを介して接続されていても、逆電流の問題が発生する可能性があります。(画像提供:東芝)

 逆電流ブロッキングに対処するには、3つの方法があります。

・最も簡単な方法は、出力と直列にダイオードを追加することです。しかし、ダイオードの電圧降下(標準的なシリコンダイオードで0.6V~0.8V)により、供給されるレール電圧が低下するため、ダイオードには関連する熱を放散するのに十分な電力定格が必要となります。

・2つ目の方法は、レールと直列にMOSFETを使用することですが、そのオン抵抗(RON)も電圧降下を引き起こすため、熱放散を考慮する必要があります。

・3つ目の方法は、必要な逆流防止対策をトレードオフなしで実装する、逆電流ブロッキング機能付きのロードスイッチを使用することです。

放電機能

 通常、パワーマルチプレクサがオフになると、自動放電機能によってVOUTとGNDが接続されます。このクイック出力放電には、以下のような多くの利点があります。

(1) 出力はフローティング状態のままにならず、常に既知の状態となります。
(2) ダウンストリームモジュールは、常に完全にオフとなります。

 しかし、クイック出力放電が望ましくない状況もあります。

・ロードスイッチの出力がバッテリに接続されている場合は、ONピンでロードスイッチを無効にすると、クイック出力放電によってバッテリが消耗してしまいます。

・2入力1出力のマルチプレクサ(出力が束ねられている状態)で2つのロードスイッチを使用している場合は、ONピンでロードスイッチを無効にしても、内部の抵抗器を介して電流がグランドに流れてしまうため、クイック出力放電によって常に電力が浪費されてしまいます。

 そのため、ロードスイッチICでパワーマルチプレクサを構成する場合は、放電機能を備えていないロードスイッチを選択する必要があります。ここで必要となるのが、真の逆電流ブロッキングと呼ばれるロードスイッチ機能です。この機能は、ロードスイッチのON/OFF状態にかかわらず、出力端子から入力端子への逆電流を防止します。この機能を備えたロードスイッチは、IC内の入力電圧VINと出力電圧VOUTを比較し、VOUT>VINのときに逆流防止回路が作動します(図6)。


図6:真の逆電流ブロッキングは、ロードスイッチのON/OFFにかかわらず、出力端子から入力端子への電流の流れを防止します。(画像提供:東芝)

 真の逆電流ブロッキングと自動放電機能にはさらに微妙な点がありますが、それらについては東芝のアプリケーションノート「ロードスイッチICの過電流保護機能と逆流防止機能」で詳しく説明されています。

高成長アプリケーション向けの新しいIC

 ロードスイッチは新しいものではありませんが、特定のアプリケーションの要件に合わせてカスタマイズされることが増えています。これは、TCK126BGTCK127BGTCK128BGという3つのデバイスで構成される、東芝のTCK12xBGファミリ 次世代ロードスイッチで明確に示されています(図7)。


図7:TCK12xBGファミリのデバイスの内部ブロック図は、その機能的なシンプルさを示しています(図はTCK128BG)。(画像提供:東芝)

 1.0~5.5Vでの動作と1Aまでの電流に対応するこれら3つのICはよく似ていますが、特定のアプリケーションの優先順位やニーズに合わせて最適化するために、明確な違いがいくつかあります。それらの仕様の多くは、従来品や入手可能な競合デバイスよりも優れています。

 最も劇的なのは、静止電流(IQ)が110nAからわずか0.8nAに減少したことであり、99.9%の減少となっています。さらに、スタンバイ電流はわずか13nAとなっています。標準的なオン抵抗RONは、5.0Vで46mΩ、3.3Vで58mΩ、1.8Vで106mΩ、1.2Vで210mΩです。

 これらのロードスイッチの特徴は、電気的仕様だけではありません。これらの製品は、同じ電圧/電流クラスで東芝や他のサプライヤから発売されている他のユニットと比べても、はるかに小型です。

 また、サイズ0.645×0.645×0.465mm、ボールピッチ0.35mmの4ピンWCSP4Gパッケージで入手できます。これは、0.4mmピッチの0.79×0.79×0.55mmパッケージによって、従来のロードスイッチよりもフットプリントが34%減少したことを意味します(図8)。


図8:TCK12xBGは従来品に比べて小型化され、必要な回路基板スペースが34%削減されています。(画像提供:東芝、改変:筆者)

 この小型サイズにより、ウェアラブルデバイスなどの超小型アプリケーションに不可欠な、基板スペースの大幅な節約が可能になります。また、パッケージの裏面には25µmのコーティングが施されているため、物理的衝撃や損傷を軽減し、チッピングを防ぐことができます。

 このファミリの3つのロードスイッチには、3.3Vで363µsの立ち上がり時間を備えたスルーレート制御ドライバが内蔵されています。各スイッチの違いは、クイック出力放電機能の有無と、ON/OFFピンのアクティブ状態にあります(表1)。


表1:TCK12xBGファミリの3つのロードスイッチには、クイック出力放電機能のペアリングおよび、制御ラインがアクティブハイかアクティブローかという違いがあります。(画像提供:東芝)

まとめ

 設計者がウェアラブルやスマートフォン、IoTデバイスなどの小型バッテリ駆動デバイスの低消費電力化、省スペース化、低コスト化という要求に応えるためには、高度に統合された機能を備えたロードスイッチが不可欠です。

 この記事で考察したように、東芝が提供するTCK12xBGファミリのロードスイッチは、低静止電流と小型化を実現し、機能要件や保護要件を満たす要素を統合することで、設計を簡素化します。

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