適切なアダプタとキットで最新のコンポーネントを用いた柔軟で効率的なブレッドボーディングを実現
著者 Bill Schweber 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 の提供
2021-08-05
マルツ掲載日:2021-12-13
小型の受動部品や能動部品が普及し、回路の動作周波数がギガヘルツ(GHz)帯に達しているため、プリント基板に実装する前に回路設計を作成・評価し、最終に近いプロトタイプにまで進めることがますます困難になってきており、しばしばフラストレーションを感じる課題となっています。
リード付きデバイスやデュアルインラインパッケージ(DIP)のICに有効だったブレッドボードキットや技術は、今日の高密度ICパッケージ、パッケージ下のリードパッド、ほとんど見えない面実装技術(SMT)デバイス、さらには完全なRFモジュールやプロセッサモジュールには対応していません。
しかし、基本的なブレッドボードを作成しながら個別のサブサーキットモジュールと組み合わせることができる、ベンチベースの開発ツールという良い手段があります。ホビイスト、メイカー、DIY愛好家、エンジニアリングのプロフェッショナルは、これらのブレッドボードシステムを使用して製品全体のサブセクションを構築、テスト、統合し、完全で機能的なユニットにすることができます。
この記事では、現代の電子部品のブレッドボーディングに伴う基本的な問題を検討します。さらに、Aries Electronics、Schmartboard, Inc.、Adafruit Industries LLC、Global Specialties、Phase Dock, Inc.などのアダプタやブレッドボードキットを使用して、最終製品により近いプロトタイプを作る方法を紹介します。
最後に、回路のトポロジやインターフェースを検証し、必要に応じて独立したモジュールや評価ボードに接続し、意味のあるプロトタイプを作ることを可能にする、便利で信頼性の高いブレッドボードの構築を容易にする方法を紹介します。
エレクトロニクスブレッドボードの由来
「ブレッドボード」という言葉は、一見すると粗削りな回路に使われているようで不思議に思われるかもしれませんが、その由来は明確で、よく知られています。エレクトロニクスの黎明期、自己給電型の鉱石ラジオや基本的な真空管ラジオがあった頃、DIY実験者やメイカー(今日の意味でこの言葉が使われるようになる前)は、実際にブレッドボード(パンを切るために使う木の板)を使用して回路を作っていました。びょうや釘を接続点にして、そこにワイヤを巻き付け、時には接続部のはんだ付けもしていました(図1)。
図1:「ブレッドボード」という用語は、この3管式ラジオのように、木製のまな板をベースにしてDIY電子回路を作ったことに由来します。(画像提供:ウォーレン・ヤング氏/ Tangentsoft.net)
もちろん、木製のブレッドボードは、現代の部品を使用した回路のプラットフォームとしては時代遅れです。しかし、「ブレッドボード」や「ブレッドボーディング」という言葉は、大雑把に作られたデモンストレーション用の回路やサブ回路を指す標準的な用語となっています。
しかし、真空管からディスクリートのリードトランジスタや受動部品、DIP IC、そして現在ではほとんど目に見えない面実装デバイスに至るエレクトロニクスの技術進歩は、ブレッドボーディングの技術やプラットフォームに大きな影響を与えています。
ブレッドボードとプロトタイプの違いは?
ブレッドボードとプロトタイプの違いは、当然生じる疑問です。両者の間には正式な区分けがなく、同じ意味で使われることもあります。しかし、多くのエンジニアはブレッドボードという用語を、以下のような予備設計段階をサポートするために使用する大まかなレイアウトの回路やサブサーキットを意味するものとして使っています。
・基本的な回路のアイデア、機能、設計手法の実行可能性の確認
・ソフトウェアドライバの開発と検証
・サブサーキット間、または回路とトランスデューサや負荷との間のインターフェースの互換性確保
・データリンクのプロトコルやフォーマットの検討
・推定されるモデルの開発と検証
・回路や機能的性能の評価
上記のリストから、ブレッドボードは完全なシステムではなく、パッケージや最終製品の「付属機能」の多くを欠いているにもかかわらず、製品設計において多くの重要な役割を果たしていることがわかります。
たとえば、ブレッドボードは多くの場合、出荷される製品のような内部電源ではなく、外部電源に依存します。ブレッドボードは、レイアウトが広く開放的であるため、プロービングや調整、さらには部品の交換などが容易に行えます。
しかし、このような広がりのあるレイアウトは、物理的な現実として、レイアウトや部品の寄生や相互作用のために、特に高周波動作に関する性能の一部が利用できないことを意味します。
一方、プロトタイプは最終製品に近いものであり、同じコンポーネント、パッケージ、フォームファクタ、ユーザーI/Oを使用します。プロトタイプは、機能的に完成していることに加え、物理的なクリアランスやアセンブリの問題、熱経路、ユーザーとのインタラクション、視覚的な魅力や外観など、製造上の懸念事項を確認するために使用されることが多くあります。
まずは基本的なアダプタから
今日のブレッドボーディングでは、最近の設計で主流となっている小型ICを接続して使用できることが求められます。たとえば、6ピンのSOT-23 ICをより大きなプリント基板にはんだ付けすることは可能ですが、サイズが小さくリードピッチが狭いため、デバイスの接続、特に接続変更は困難です。ICにボディ下のバンプパッドしか付いていない場合は、より難しい状況になります。
1つの解決策は、Aries ElectronicsのLCQT-SOT23-6ソケットアダプタのようなデバイスを使用することです。これにより、SOT-23を6ピンのDIPハウジングに変換します(図2)。SOT-23デバイスがリード間隔0.1インチのDIPのようになったら、大型DIPデバイス用に設計されたブレッドボードソリューションの1つを使用することができます。
図2:LCQT-SOT23-6ソケットアダプタは、小さくて扱いにくい6ピンのSOT-23パッケージを、標準的なDIPのリード間隔で扱いやすいDIPデバイスに変換します。(画像提供: Aries Electronics)
多くの設計では、パッケージサイズやピン構成の異なるSMT部品が使用されます。そのような状況でシングルのICソケットアダプタを複数使用すると、取り扱いや相互接続が困難になる場合があります。Schmartboardの202-0042-01 QFNアダプタボードは、混乱の可能性を最小限に抑えることができます(図3)。
2×2インチのこのボードには、0.5mmピッチの16ピンと28ピン、0.65mmピッチの20ピン、0.8mmピッチの12ピンと16ピン(QFNデバイスの場合)のICを5種類まで搭載することができます。
図3:202-0042-01-QFNのようなアダプタボードは、複数のSMT ICパッケージのはんだ付けと接続のブレイクアウトをオンボードで行うことができます。(画像提供:Schmartboard)
202-0042-01-QFNは特許技術を使用しており、これらの微小な面実装部品を、素早く、簡単に、問題なく手動ではんだ付けすることができます。また、各ICピンにはメッキ処理された複数のスルーホールが設けられているため、必要に応じて常駐する部品同士、あるいは他のデバイスや基板との接続が容易になります。
ブレッドボーディングでは、ICへの接続ではなく、ケーブルや周辺機器のコネクタピンへのアクセスや監視が課題となることがあります。たとえば、通信インターフェースとして25ピンのRS-232コネクタが主流だった時代には、ほとんどのピンにオン/オフスイッチやジャンパ端子を備えた「ブレイクアウトボックス」がマルチメータと同じように普及していました(図4)。
図4:このRS-232ブレイクアウトボックスは、かつて非常に広く使われていたコネクタや規格の25ピンケーブルの配線を監視したり、再配置したりするのに必要です。(画像提供:Wikipedia)
このRS-232ボックスは今ではほとんど必要ありませんが、マイクロSDカードなどの周辺機器のブレイクアウト機能には類似のニーズがあります。この機能に便利なアダプタは、Adafruit Industriesの254マイクロSDカードブレイクアウトボードで、広く使われているメモリカードのハードウェアインターフェース接続とドライバソフトウェアの両方に接続し、テストと検証を行うことができます(図5)。
図5:Adafruitの254マイクロSDカードブレイクアウトボードを使用すると、システムプロセッサとこの周辺メモリデバイス間の信号のインターフェース、アクセス、および監視を簡単に行うことができます。(画像提供:Adafruit)
このボードには、3.3Vから6Vの間の電圧をマイクロSDカード用の3.3Vに変換する超低ドロップアウトレギュレータと、インターフェースロジック(3.3Vから5V)を3.3Vに変換するレベルシフタが搭載されており、3.3Vや5Vのマイクロコントローラと接続することができます。また、別売りのヘッダをアダプタにはんだ付けすると、0.1インチピッチのピンに接続することができます。
アダプタの先の手段
アダプタは、個々のコンポーネントに接続する際の問題を解決しますが、これらは最終的な設計の構成要素に過ぎません。今やアクセス可能なコンポーネントは、他の能動部品や受動部品との接続、入出力(I/O)インターフェースのサポート、部品の交換を可能にし、正式なテストポイントや予期せぬプロービングにも備える必要があります。
1960年代に開発され、現在も広く使用されている無はんだブレッドボードは、ディスクリートのリード付き部品だけでなく、DIP(デュアルインラインパッケージ)のデバイスを簡単に直接取り付けることができる最初のブレッドボードの1つです。便利で、入手しやすく、使いやすく、合理的な部品密度に対応します。
たとえば、Global Specialtiesの外部電源式無はんだブレッドボードアセンブリPB-104Mは、低周波回路の試作に適しています(図6)。21cm×24cmのフレーム(9.45インチ×8.27インチ)に搭載されており、3220個のタイポイントと4つの電源接続用バインディングポストを備え、28個の16ピンICをサポートします。
ジャンパは、直径0.4mm~0.7mmのワイヤを先端で切って使用しています。このブレッドボードの汎用性のポイントは、穴が0.1インチ間隔で開いていることであり、標準的なDIP部品に加えて、ワイヤリードおよびアダプタやヘッダのピンにも対応します。
図6:Global SpecialtiesのPB-104M無はんだブレッドボードアセンブリは、複数のDIP IC、DIPフットプリントアダプタ、ワイヤリード付きのディスクリート部品、個別のワイヤジャンパに対応します。(画像提供:Global Specialties)
無はんだブレッドボードは、穴に挿入された短いソリッドワイヤを使ってDIP ICやその他の部品を接続し、部品のリードにも接続することができる接続可能なプラットフォームです。両サイドの外側2本のレールは通常、電源とグランド用に確保されており、短いフィーダワイヤを介して能動部品に電力供給します(図7)。
図7:無はんだブレッドボードでは通常、両サイドの外側2本のレールが電源とグランド用に確保されます。短いフィーダワイヤでレールと能動部品を接続しています。(画像提供:Analog Devices)
無はんだブレッドボードを使用する際は、いくつかの規律を守ることが重要です。たとえば、赤は正レール、黒は負レール、緑はグランドというように、色分けしてワイヤを識別するとよいでしょう。
また、ジャンパワイヤを基板上にフラットに配置して乱雑さをなくしたり、相互接続ジャンパをICの上ではなくICの周りに配置することで、ICを探ったり変更したりする際の障害を最小限に抑えることができます。そうしないと、無はんだブレッドボードは、他の多くの「一時的」な実装と同様に「迷路のよう」になり、デバッグやトレースが非常に困難になります(図8)。
図8:無はんだブレッドボードでは、小さなプロジェクト以外でジャンパを取り付ける際には注意と規律が必要です。さもないと、解読不能なワイヤの迷路が出来上がります。(画像提供:Wikipedia)
今日の設計に適したブレッドボードの組み合わせ
無はんだブレッドボードは、その利便性、柔軟性、汎用性から現在も広く使用されていますが、高クロックレートや高周波数で動作する現代の設計では、あらかじめ組み立てられたコンピュータボード、RF回路、モジュール、電源モジュールを組み合わせることが多く、厳しい制限があります。
これらに対応するには、複数のブレッドボード、プロトタイププラットフォーム、サブアセンブリを統合して、完成したシステムの機能をサポートする大きなユニットにするシステムが必要となります。
そのようなブレッドボードの1つが、Phase Dockの10104マウント型試作システムです(図9)。コアシステムは、54平方インチの作業面を持つ10×7インチのベースマトリクスと、エレクトロニクスを実装するために使用する2種類のサイズの「クリック」5個および、ArduinoやRaspberry Piなどのモジュールを実装するための「スライド」で構成されています。
また、ネジなどの小さなハードウェアアイテムも含まれているため、クリックとスライドの組み合わせを構築し、スライドにエレクトロニクスを実装したり、スライドを使わずにエレクトロニクスをクリックに直接実装したり、高さのある「タワー」エレクトロニクスを追加したり、ワイヤやケーブルを管理したりすることができます。また、保護や外観の向上をもたらし、持ち運びに便利な透明プラスチックカバーも、オプションで用意されています。
図9:Phase Dockが提供する基本的な10104マウント型試作システムには、ベースマトリクス(上段)、エレクトロニクスを実装するためのクリック(中段)、Arduinoなどのプラットフォームを使用するためのスライド(下段)、そして重要な取り付けハードウェア(下段左)が含まれます。(画像提供:Phase Dock, Inc.)
この製品開発システムでは、無はんだブレッドボード、ネジ端子やコネクタを備えた特殊なボード、SparkFunのRedBoardのようなプロセッサプラットフォーム、さらにはディスクリートのスイッチやポテンショメータを固定するブラケットなど、様々なブレッドボードやモジュールの技術を1つのプラットフォーム上で組み合わせることができます(図10)。
これらはすべてPhase Dockのベースにしっかりと取り付けられ、必要に応じて接続され、システムコンセプトのテストや、主要な信号やテストポイントへのアクセスが必要なデバッグを行うことができます。
図10:Phase Dockのシステムは、この自動制御システムのために、無はんだブレッドボード(白)、特殊プリント基板(緑)、SparkFunのRedBoardなどのプロセッサプラットフォーム(赤)を含むシステム要素の「種々の組み合わせ」による実装と相互接続をサポートします。(画像提供:Phase Dock, Inc.)
ベンダの評価ボードに対するブレッドボードの関与
特に低レベル信号、精密増幅、RF信号処理などに使用される高性能ICには、必ずと言ってよいほど評価ボードや評価キットが用意されています。それは、このような高度な部品をセットアップしてターゲットアプリケーションでの性能を確認し、システムの他の部分と統合するには、適切なサポート部品(主に受動部品)を使用し、レイアウトや接続を慎重に行う必要があるためです。
設計者にとっての課題は、最終的なシステム設計に対する評価ボードの有用性が、非常に有用なものから邪魔になるものまで様々であるため、これらの評価ボードをどのように活用するのが最適かということです。
ある部品を完全に動作させるための評価ボードを考えてみましょう。その評価ボードには、メモリやローカルDC/DCレギュレータ、さらにはマイクロコントローラなどのサポート部品が追加されています。これらの部品は、単体での評価に必要かもしれませんが、実際にエンジニアが製品設計で対象のICを使用する際には邪魔になることもあります。
一方、これらの評価ボードの多くは、必要な特殊コネクタなどのコンポーネントを備えています。評価ボードを使用することで、その回路設計をやり直す(車輪を再発明する)必要がなくなります。適切に作成され、適切に文書化された評価ボードの設計は通常、そのICを熟知しているベンダの誰かが作成した回路と同等以上のものになります。
したがって、設計者の課題は、ブレッドボーディングのアレンジにおいて、ベンダから提供された評価ボードの利点を認識し、それを活用することです。そこで、Analog Devicesが提供するADL6012のような「小さな」ICを考えてみましょう。
これは、2GHzから67GHz、500MHzの帯域幅を持つ広帯域エンベロープ検出器です。この10ピンLFCSPの基本的な相互接続は、回路図上では非常にシンプルに見えますが、実際に使用するとなると、入念なレイアウトやバイパス処理、ハイエンドのRFコネクタなどが必要となり、難易度が高くなります(図11)。
図11:Analog Devicesが提供するADL6012広帯域エンベロープ検出器の接続と使用は、「机上」では簡単に見えますが、設計とレイアウトには多くの精密さが必要です。(画像提供:Analog Devices)
このRF ICを設計に取り入れようとしている設計者は、最終的な回路図の作成やレイアウト、パッケージングの作業に入る前に、ブレッドボードの段階でADL6012-EVALZ評価ボードを活用し、まずその特性を理解して、インターフェースをテストし、プロジェクト全体の中での適合性を「微調整」するのが賢明です(図12)。
図12:ADL6012-EVALZ評価ボードは、シンプルな外観でありながら洗練されたこのICを設計する際の多くの微妙な問題に対処する必要性を排除し、これをブレッドボードに組み込むことで、製品開発の時間とフラストレーションを最小限に抑えることが可能になります。(画像提供:Analog Devices)
ブレッドボードの課題は、評価ボードの使用を物理的に可能にし、電源を追加し、RF入力アンプと特定の差動出力負荷を提供し、さらにプロセッサとインターフェースを用意して、プロトタイプの製品構成に至る前段階の作業を行うことです。そのためには、ブレッドボーディングの技術、プラットフォーム、アプローチの組み合わせが必要となります。
まとめ
アダプタやブレイクアウトボードを使用することで、ほぼすべての現代製品に標準装備されている、多くの場合リードレスである小型部品を統合、相互接続、使用、評価することができます。最近では、いまだに広く使われている無はんだブレッドボードを超え、部品やモジュールなどのアセンブリを組み合わせて使うことができるようになりました。
これらは、物理的な耐久性を向上させながら、見苦しく、エラーが発生しやすく、信頼性の低い実装や配線を最小限に抑えます。これらのアダプタやブレッドボードを使用することで、テストとデバッグの段階が加速され、実行可能なプロトタイプをより短い時間で作ることが可能になります。
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