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周囲の作業員に機械状態の変化を通知する見やすい産業用タワー照明の設置

著者 Bill Giovino 氏
Digi-Keyの北米担当編集者 提供
2020-07-09

マルツ掲載日:2020-11-02


 産業の工場現場には、慌ただしく、騒音に囲まれ、交通量の多い環境もあります。手動機械や自動機械の音と車両の音は紛らわしいので、工場の設備は、機械の状態を示す重要な情報を施設のどこからでも明快に見分けられるように設置することが欠かせません。

 産業用オートメーション設備の多くの機械では、機械の今の状態を近くにいる作業員に知らせる必要があります。付近の作業員に機械の状態を知らせることができないと、安全が脅かされ、効率性が低下し、作業員がメンテナンスの必要性に気付かなければ装置が故障する原因にもなります。

 作業員に機械の状態を知らせるには電子装置や無線装置など多くの方法がありますが、シンプルな視覚的アラートがあれば十分な場合もあります。パネル式インジケータ照明は簡単に実装できますが、機械のすぐ隣にいる作業員にしか通知できないという欠点があります。求められるのは、工場現場内の遠方を含むどこからでもはっきり見える、わかりやすい視覚的インジケータです。

 この記事では、近くにいる作業員に装置の状態を知らせる非常に見やすい方法として、スタック型タワー照明を産業用オートメーション設備に実装する方法を紹介します。そして、騒音が多く慌ただしい産業用オートメーション設備でのスタック型タワー照明の利点と、それを産業機械に適用する方法について検討します。

 また、スタック型タワー照明の例として、Mallory Sonalert Products、Banner Engineering、IndustrialeMartの製品を紹介し、それらを既存の産業装置に簡単に適合とリンクさせる方法について説明します。

多忙な産業設備における装置状態の通知

 産業環境の自動機械には定期的な監視が必要であり、機械の状態が示されなければなりません。機械が完全に機能しており正常なパラメータの範囲内で動作しているかどうかを、容易に判断できる必要もあります。

 また、機械のメンテナンスが必要か、必要なのは予防保守か即時のメンテナンスかを判断することも重要です。予防保守は専用のセンサで判断する場合が多く、装置の故障予兆、冷却剤の補充、ベアリングの交換などが含まれます。不具合が差し迫っていなくとも、予防保守は機械の稼働時間を延ばし、効率の改善によるコスト節約にもつながります。

 機械の状態を示す基本的なインジケータの表示には、動作が正常かどうか、装置の修理が必要かどうか、または誤動作や修理で装置が停止中かどうかが含まれます。産業用の自動装置と非自動装置のいずれにも、作業員に機械の状態を知らせるパネル式インジケータがあります。

 このパネルによって、切り替えやメンテナンスなど特定の作業を実施する必要があることを作業員に通知できます。しかし、これらのパネル式インジケータによる通知は、通常はパネルの間近にいる作業員の目にしか留まりません。求められるのは、機械の状態を離れた場所から周囲の作業員にすばやく簡単に知らせ、作業員が機械に近寄ったりコンピュータやモバイルデバイスを探したりする必要のない方法です。

 高輝度ライトを備えたスタック型タワー照明は、近傍の誰もが機械の状態を常に認識できるようにする、非常に視認性の高い方法として利用できます。タワー照明は360度全方位からの視認性を備え、工場現場の全域で数十メートル離れた場所からも見えます。

 機械の修理が必要な状態を周囲の作業員に警告するだけでなく、アラート照明が点灯し続けることで、メンテナンスの不履行を他の人員にも警告できる、きわめて視認性の高い方法にもなるという利点があります。

 スタック型タワー照明は、タワー型信号灯、スタック照明、産業用信号灯、オンライトとも呼ばれます。産業装置の上に簡単に取り付けられるように設計されており、周囲の誰もが見やすい高さまで伸長できます。スタック型タワー照明はさまざまな色に対応し、機械の状態を音声でも通知できます。

 これにより、騒々しく慌ただしい産業環境にいるすべての人員に機械の今の状態を知らせるための、見やすいアラートシステムを実現できます。これは、機械が稼働中であることを他者に知らせる作業員が現場にいない状況で、機械を遠隔制御または遠隔設定している場合にも重要になります。

 産業環境向けに設計されたスタック型タワーライトの一例として、緑、黄、赤色LEDを備えたMallory Sonalert ProductsのJT028-RYG-CSLタワー照明をご紹介します(図1)。これはポール取付式スタック照明で、カラーレンズ内側の高輝度LEDを使用して機械の状態を示します。

 この照明器具は、2kHzの甲高い連続音またはパルストーンも発生し(クリックしてJT028-RYG-CSLの音を聞く)、1メートル離れた場所での音量レベルが80~85デシベル(dB)に達します。


図1:Mallory Sonalert ProductsのJT028-RYG-CSLスタック型タワー照明は、高輝度LEDを使用して緑、黄、赤色のアラートを生成します。2kHzの連続音またはパルストーンも発生します。(画像提供:Mallory Sonalert Products)

 ユニット全体の重量は、わずか1.5ポンド(0.68kg)です。電源はACまたはDC20V~28Vです。各ライトは個別に電源が接続され、電源をプログラマブルロジックコントローラ(PLC)や機械の制御コンピュータに接続して制御できます。

カラー表示灯の意味

 JT028-RYG-CSLの高さは20インチ(50.8cm)で、緑、黄、赤色の照明が点灯/点滅することで機械の状態を示します。通常、これらは完全に自動化されており、オペレータの操作は必要ありません。正規の規格はありませんが、これら3色の照明は業界で次のような使用方法が認められています。

緑色:機械がオンの状態で正常に稼働している場合に、緑が自動で点灯表示されます。機械が起動中ですぐに稼働状態になるときも、緑が自動で点滅表示される場合があります。

黄色:機械が現在オンで稼働状態のとき、機械の修理点検や注意が必要なことを自動で警告します。高温の警告またはメンテナンスの依頼を知らせる場合もあります。また、機械修理の緊急要請、または機械がセルフテストの実行中であることを、黄色の点滅で示す場合もあります。

赤色:機械が停止しているか、緊急シャットダウンにつながる非常事態にあることを示します。赤の点滅は一般的に、機械が動作停止状態にあり、作業員が直ちにメンテナンスを行う必要があることを意味します。機械が自動でシャットダウンしたとき、またはオペレータが手動で機械を停止したときは、赤色が自動で点灯または点滅します。

 各ライトの意味は、装置を設定するシステムエンジニアの意図に応じて決まります。たとえば、黄色の点滅または赤色の点滅は機械ごとに異なる意味に設定できますが、新人作業員でも迷わないように、標準的な意味の定義からかけ離れすぎないことが重要です。

 Banner Engineeringの比較的小型なユニットには、青、緑、黄、赤色を備えたTL30BBGYRXAXC1タワー照明があります(図2)。このユニットは高さ7.9インチで、DC12~30Vの広範な電源で作動します。

 TL30BBGYRXAXC1では、タワー内で消灯している照明がグレーで表示されます。このような特長は、誤表示の可能性をなくし、照明の明るい産業施設でも機械状態の誤解を防ぐので、重要な装置に有用です。

    
図2:Banner EngineeringのTL30BBGYRXAXC1タワー照明には、標準的な赤、黄、緑色の照明インジケータに加えて青色の照明があります。上図のように、消灯している照明がグレーで示され、明るい場所での誤表示を防ぎます。(画像提供:Banner Engineering)

 TL30BBGYRXAXC1は青色の照明も備えています。これは一般的に、緊急でない機械の修理を示します。修理は作業員が手動で要請し、自動表示とは関連付けられません。青色の点滅は機械に固有の意味を示しますが、多くの場合手動で選択され、緊急の修理または作業員から管理者への依頼を示します。青色をスタックに使用する場合、黄色は自動で検出される修理依頼のみを示します。

 青色表示灯の実用的な使用方法として、機械がリモートで設定中であることを作業員に通知できます。リモートの作業員が社内ネットワークを通じて機械にアクセスし、機械の状態を変更している場合は、青色照明を独自のパターンで点滅させ、リモート設定の進行中を示すことができます。

 これを緑色照明の点灯と同時に使用すれば、機械が稼働状態で設定されていることを示し、赤色照明と同時に使用すれば、機械がリモート設定のために停止している状態を示すことができます。これにより作業員は機械の状態を常に把握し、不要なトラブルシューティングを防ぐことができます。

 TL30BBGYRXAXC1は震音のアラームもサポートしており、2.8kHzを中心に±500Hzで発振し、1m離れた場所で最大90dBの音量に達します。産業用オートメーション設備に、震音を発するBanner EngineeringのTL30BBGYRXAXC1と連続音を発するMallory Sonalert ProductsのJT028-RYG-CSLの両方を導入した場合でも、互いの機械アラーム音を混同せずに聞き分けられます。これは、多くの機械が設置されている慌ただしい環境で、音声アラームの発生元をすぐ特定する必要がある場合に重要です。

すべての表示灯の手動制御

 装置によっては、機械の状態を自動で示せない場合があります。その理由は、旧式の装置を使用しているため、または電動でない完全にメカニカルな装置のためである場合があります。このような場合、IndustrialeMartのATEP-RYGBC押ボタン式スタック照明を適用できます(図3)。タワーの照明ごとに押ボタンがあり、電源は一般的な110VのAC(VAC)コンセントにプラグを差し込みます。

    
図3:IndustrialeMartのATEP-RYGBC押ボタン式スタック照明は手動で操作します。スタック型の赤、黄、緑、青色、透明の照明に対応し、電源は110VACコンセントにプラグを差し込みます。(画像提供:IndustrialeMart)

 ATEP-RYGBCは手動で操作し、自動アラートに対応できない機械に使用できます。該当する照明をオンにするには、機械の作業員が対応するボタンを押す必要があります。黄色は自動でオンにならないので、各色の照明が示す意味は、黄色と青色のインジケータが重複しないように、装置を設定するシステムエンジニアが任意に決めます。

 たとえば作業員は、機械のメンテナンスが必要な場合にのみ黄色を押し、管理者を呼び出すときや作業員を一時的に作業から外す必要がある場合にのみ青色を押すことができます。

 またATEP-RYGBCには、タワーのベース部分に透明な照明もあります。透明は機械に固有の意味を持ち、透明の照明が示す意味は工場の作業員が任意に決められます。

 表示灯は、各照明ボタンが表すイベントを示す押ボタンパネルの近くに掲げれば使いやすく、作業員が迷うこともないので便利です。

結論

 タワー照明は、付近の作業員に機械の状態を警告する簡単で実用的な方法です。コンピュータによるアラートやテキストメッセージのようにハイテクではなくとも、慌ただしく交通量の多い産業用オートメーション設備の現場で、非常に視認性の高いアラートシステムとして利用し、周囲にいる作業員に機械の安全性と状態を通知できます。

 記事で述べたように、タワー照明は特定の機械に合わせてすばやくカスタマイズできます。また、色ごとに業界標準の定義に準じることで、照明の意味も容易に理解できます。タワー照明の適切な使用によって機械の稼働時間を向上させて生産性を高め、効率性の向上によってコストも削減できます。



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