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はじめに
電子工作の記事を見ていると、マイコンを用いた製作例が良く登場します。
以前はマイコンを扱うとなると、それなりの動作原理の理解と製作が必要でしたが、
最近は「ワンチップ・マイコン」のおかげで気軽に製作できる時代になりました。

そこで、ワンチップ・マイコンの1つである「PIC」を例として、PICを用いての開発手順、
ソフト導入など、一連の流れについて解説します。

これをきっかけとしてPICに親しんでいただければ幸いです。

目次
そもそもPICとは? PIC開発に必要なもの
開発手順 開発環境ソフトのインストール
PICライターキット一覧表はこちら
第2回 実践編!「プロジェクトの作成」から「ビルド」まで
第3回 プログラムをマイコンに書き込む
第4回 マイコンの動作を徹底解説
PICマイコン活用の第一歩【概要】
★必要な開発用ソフトMPLAB IDEをダウンロードする。(無料)
★必要な機材、部品
PICライタ
ブレッドボード、ジャンプワイヤ、PICなど
★開発手順

以下、それぞれの項目について、詳しく解説します。


そもそもPICとは?

★パソコンとマイコン

PICは「ピック」と発音し、マイコンの一種です。

マイコンはmicro computerの略で「超小型コンピュータ」を意味するものですが、
近年はさまざまな機器の制御用としての
マイクロコントローラ(micro controller)の意味合いが強く、
家電品のエアコン、炊飯器、電気ポットなどにも使われています。

例えばパソコンはワープロ、TVチューナー、各種アプリケーションソフトなどで、
汎用的に便利に使うことが出来ますが、「LEDを点滅させる」ことを
簡単に行うことはむずかしいものです。これに対しマイコンを用いると
簡単に安くLEDを点滅させることが出来ます。


また、部屋の温度を測定し表示させることなどはパソコンでも可能です。
しかし、温度測定のためにわざわざパソコンを用いると価格が高くなり、
このような用途には不向きです。
そこで、「LEDを点滅させる」、「温度を測る」などの特定用途の制御に用いるのが
マイコンの仕事(役目)です。



★PICはワンチップ・マイコン

PICもマイコンの一種でマイクロチップテクノロジー社の製品です。
PICはPeripheral Interface Controller の略で「ピック」と発音します。

直訳すると、Peripheralは「周辺機器」、Interfaceは「接続部分」ですから、
「周辺機器の接続部分を制御する」ものです。

外観は写真1のようにさまざまでそれぞれ機能、性能が異なり、用途によって選択します。

※PICマイコンの各種ラインナップ
半導体:マイコン:PICマイコン各種


図2はPICの内部構造(概略)です。

(CPU)
Central Processing Unit の略で「中央処理装置」と訳されます。
この部分がマイコンの中心部で、プログラムを実行します。

(プログラムメモリ)
このメモリにプログラムを入れ、この事を「書き込む」と言います。
プログラムは何度も書き換えることが出来、電源をOFFしても
プログラム内容は保持されます。
プログラムの書き換えは後述する「PICライタ」で行います。

なお、新品のPICにはプログラムは書き込まれていません。
必要な機能(動作)となるようにプログラムを作成し、PICライタ
で書き込みます。

(データメモリ)
プログラム中に計算結果などを一時的に保存したい場合に
自由に利用できるメモリと、各機能の設定を決めるメモリが
この部分に入っています。

(入出力制御、タイマ、その他機能)
PICに入力されたパルス数をカウントしたり、
一定時間の生成(タイマ)を行うなどの機能があり、 
型番によってはADコンバータなどの機能が入っています。

以前は図2のような各ブロック(CPU、プログラムメモリ、・・・)がそれぞれ1個の
ICになったものを基板上で接続したものをマイコンボードと言っていました。

現在はこれらの各ブロックを1つのICに収めたものを「ワンチップ・マイコン」と呼び、
PICはワンチップ・マイコンの1つです。(図3)

★PICの用途
写真1のようにPICは色々なピン数がありますが、
ピン数が多いほど相手側と接続できる数が多くなります。
ただし、図4のようにLEDを1個(または複数)接続するような場合、
8ピンのPICで間に合いますし、小型に仕上がります。


また、図5はソーラーパネルの電気を鉛蓄電池に溜めて、
夜間にソーラーパネルが使えない時に非常用電源として用いた例で、
これも8ピンPICで制御可能です。
8ピン以外にもピン数の多いもの、高機能のものもありますので、
用途に応じて使い分けます。

PIC開発に必要なもの

図6にプログラム開発に必要なものを示します。

★MPLAB IDE

統合開発環境(IDE:Integrated Development Envirronment)と呼ばれるソフトウェアで 
マイクロチップ社からダウンロードします。(無料)

統合開発環境という少しむずかしい言葉ですが、簡単に表現すると以下の機能を
このソフトウェアで行います。

①プログラムを書く
②PICに書き込むためのデータに変換する
③PICライタにプログラム(データ)を書き込む
④パソコン上(MPLAB IDE)で動作確認などのシミュレーションが出来る

④以外にもさまざまな機能があります。
上記①~③が開発に必要な最小限の機能で、慣れないうちはこの機能操作で十分です。

★PICライタ

PICはプログラムを格納するための「プログラムメモリ」を内蔵しています。
新品のPICはプログラムメモリにはプログラムが書き込まれていませんので、
PICライタを用いて書き込みます。
また、プログラムを変更、修正したい場合にもその都度PICライタにより書き換えます。

マイクロチップ社から何種類か販売されていて、これは購入します。

他社からも完成品またはキットが販売されていますが、マイクロチップ社のPICライタであれば
MPLAB IDEでのプログラム書き込みメニューからPICライタ型番を簡単に選択して
書き込むことが出来ます。

写真2に製品例を示します。 


マルツ取扱PICライターキット一覧
型番 品名 メーカー 値段
PICライターキット キットで遊ぼう電子回路 PICライターキット アドウィン \6,600
(税抜)
アドウィン社の学習キットである「キットで遊ぼう電子回路 PIC入門」で使用しているPICライタです。ゼロプレッシャーソケット採用なので、DIPパッケージのPICを簡単に抜き差しできます。ただし、対応品種が少なく、ICSP非対応です。
PIC-WT-AP PICプログラマー A+ アドウィン \7,600
(税抜)
上記のPICライターキットに、ICSP機能を追加したモデルです。
PG164130 pickit3単体 Microchip \4,200
(税抜)
PICマイコンの製造元であるMicrochip社の純正ツールです。基板にPICマイコンを搭載したままで書き込みを行うICSP(In Circuit Serial Programming)に対応しています。ブレッドボードなどを使えば、簡易的なDIP版PIC用ライタとしても使用できます。簡単なデバッグ作業にも対応しています。純正ツールなので対応デバイスも豊富で、新しいデバイスへの対応も早く、価格も手ごろなので入門用としては最適です。
上記のPICkit3に、PIC18F45K20を搭載したデモボード付きのキットです。PICマイコンの開発を初めて行う方などは、あらかじめボードが用意されたパッケージ品を使うと良いでしょう。
DV164035 インサーキットデバッガ Microchip \23,625
(税抜)
ICSPによる書き込みのほか、本格的なデバッグにも対応するインサーキットデバッガ(ICD)です。プログラムを任意の場所で停止したり、内部メモリの状態を動作中に読み込んだり、マイコンの挙動すべてを把握することができます。

★ブレッドボード

電子工作は「はんだ付け」が基本です。ただし、PICのような小規模のマイコンでの動作確認には
「ブレッドボード」を用いると便利です。ブレッドボードは「はんだ付け」する必要が無く、
簡単に回路を作ることが出来ます。


写真3のように「ジャンプワイヤ」という線を用いて接続します。

開発手順の概要

図7に開発手順の概要を示します。


★プログラムを書く

マイコンで、ある仕事(例えば、LEDを点滅させる)をさせたい時、
その作業手順を細かく指示する必要があります。


1つ1つの作業の最小単位を「命令」と言い、「LEDを点滅する」という命令はありません。

このようなLEDを点滅させるなどの仕事の作業手順を「プログラム」と言い、
一連の作業を「プログラミング」と言います。

図8のようにマイコンは1と0の世界です。
命令も1/0の組み合わせで、
これを機械語(マシン語)と言います。

機械語では人間には分かりにくいので
「プログラミング言語」というものを用いて
プログラムを行います。


プログラミング言語としては
「アセンブリ言語(アセンブラ)」、
「C言語」などがあります。(図9)

注意:C言語のCはアルファベットのC

(アセンブリ言語)

機械語は「00111000・・・」などの1/0のデータですが、
これに文字を対応させて人間が覚え易くしたものです。


例えば
CLRF XXX
というアセンブラ命令は「XXX番地のメモリの値をゼロにする」という
意味でCLRは「クリヤー」の意味があり、分かり易くなっています。

PICの命令は35個です。
アセンブリ言語は機械語と対応していますので、人間の意図した
プログラムがそのまま反映されます。
ただし、命令が少ないので少し複雑な仕事をさせるには
色々な命令を組み合わせてプログラムする必要があります。

(C言語)

C言語ではPICの命令を直接的に用いないでプログラムし、
図9 b ) のようにさらに人間が楽になるようにした言語の1つです。

例えば図9 b ) の意味は
もし(if)、aaの値が5より小さければbbの値を1にする。
そうでなければbbの値を0にする。


また複雑な数値計算などはC言語の中で用意されているものがあり、
このような用途(プログラム)では特に開発時間を
短縮することができるのも特徴の1つです。

以上、アセンブリ言語およびC言語はそれぞれ特徴がありますが、趣味の電子工作であれば
自分に合ったプログラミング言語を用いれば良く、MPLAB IDEのメニューの中から選択します。

プログラムはMPLAB IDEに付属の「エディタ」と呼ばれるソフトを用いて行います。
エディタとはワープロのようなもので、プログラムの作成、修正、保存などを行い、
保存されたプログラムファイルを「ソース・ファイル」と言います。


★アセンブル

人間には分かりやすいアセンブリ言語でプログラムしても、マイコンは機械語で動作します。
そこでマイコンが理解する機械語に変換する必要があり、機械語に変換することを
「アセンブル」と言います。
 
C言語でプログラムしても機械語に変換する必要があり、この場合「コンパイル」と言い、
機械語に変換するプログラムを「コンパイラ」と言います。
MPLAB IDEではこのコンパイル作業も「ビルド」と言います。 
アセンブリ言語またはC言語で書いたソースファイルをビルドし、文法にエラーが無ければ
PICライタで書き込むためのデータ(プログラム)が自動的に出来上がり、
このデータを「HEX(ヘキサ)ファイル」と言います。

これで書き込むための準備が出来たわけですが、プログラムの文法に間違いがあると
「エラーメッセージ」が出て、メッセージをダブルクリックするとエラーした行に矢印が表示されます。


このように、プログラムを書いている時点では文法エラーには気がつかないことが
ビルドを行うことで分かります。
エラー時はもう一度ソースファイルを修正し再度ビルドを行いエラーが無くなるまで繰り返します。

注意:エラーは、いわゆる「バグ」を指摘してくれるものではありません。  

★PICライタで書き込み

マイクロチップ社のライタであれば一連の書き込み操作はMPLAB IDEでの
書き込みメニューにより行うことが出来ます。

ソフト開発ツールMPLAB IDEインストール編

次に、ソフト開発に必要なMPLAB IDEのインストールについて解説します。

MPLAB IDEのインストール手順は画面指示に従うだけですが、C言語の場合、
C言語で開発したものをマイコンが理解できる機械語に変換する必要があります。

C言語から機械語に変換するソフト「Cコンパイラ」と言います。

アセンブリ言語の場合も機械語に変換する必要があり、この場合の変換ソフトを
「アセンブラ」と言います。
このアセンブラはMPLAB IDEの場合、「MPASM」と呼ばれ、図14のようにMPLAB IDEを
インストールすると自動的(意識しないで)にインストールされます。


Cコンパイラは有料、無料のものがあり、有料のCコンパイラは別途インストールを行い、
MPLAB IDEと統合して用いることになります。
この記事では開発言語にC言語を用い、コンパイラに無料のHI-TECH PRO Liteを用いることを
前提として解説します。
HI-TECH PRO LiteのインストールはMPLAB IDEのインストール途中に選択画面があり、 
そこでインストールを選択することになります。


これにより、アセンブリ言語およびC言語で開発が出来ることになります。

ソフト開発ツールMPLAB IDEインストール編

★検索エンジンで探す

MPLAB IDEはマイクロチップ社のサイトからダウンロードしますが、
MPLAB IDEの場所が分かりにくいと思います。
そこで、検索エンジンでMPLAB IDEをダウンロードする方法、  インストールの手順を解説します。

1.パソコンのwebブラウザを起動し、各種検索サイトで「MPLAB IDE」と入力して検索。

2.MPLAB IDEに関する検索結果が色々出てきますが「MPLAB IDE Archives」(英語)


3.過去のバージョン一覧が表示されますので、その中にある「MPLAB IDE V8.84」をクリックする。


★インストール

4.クリックすると「このファイルを開くか、または保存しますか?」といったメッセージが出てくるので

5.フォルダの中にある「setup」をダブルクリック。

6.セキュリティ警告が出るかもしれませんが「実行」を選択し、インストールが開始される。

7.以下、画面イメージにて手順を解説します。
     
以上の手順でインストールを行ってみてください。成功すると、下記の画面が表示されます。

MPLAB IDEの起動を確認

インストールが完了するとデスクトップにMPLAB IDEのショートカットができ、
ダブルクリックするとMPLAB IDEが起動します。


今回はここまでとし、「×」ボタンでMPLAB IDEを終了します。

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そもそもPICとは? PIC開発に必要なもの
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