端子ブロック配線の自動化には高度なコネクタが必要
著者 Pete Bartolik(ピート・バートリック) 氏
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2024-04-18
マルツ掲載日：2024-09-09
自動化や電化、デジタル化への投資は、信頼できる電力に依存します。しかし、制御キャビネットを手作業で配線することの複雑さとヒューマンエラーの可能性により、非常に非効率的で時間のかかるプロセスになる場合があります。配線接続の自動化、あるいは少なくとも簡素化は、信頼性とキャビネットメーカーの収益性を高めるために不可欠です。
キャビネットメーカーや製品設計者は、電気接点の長期的な挙動や信頼性要件とともに、電気的相互接続の複雑さや関連する製造プロセスを考慮する必要があります。制御キャビネットの中核をなすのは、電気システムの配線を接続して制御する端子ブロックです。それらは配線やコンポーネントの整理とテストに不可欠で、多くの場合、業界標準のDINレールを利用します。
制御キャビネットは、産業用や商用のさまざまな建築物用途にとって非常に重要です。多様な電力要件に対応し、発熱やノイズ、振動の発生しやすいコンポーネントを隔離する必要があります。キャビネットの中には、プログラム可能なロジックコントローラやセンサが収納されているものもあり、データ通信ラインと電気配線がしばしば混在しています。
製品設計者は、過酷な環境条件に耐えなければならないことが多く、厳格なフットプリント制限のあるキャビネットに対し、信号装置から電源まで、より多くの部品を押し込むことを求められています。制御キャビネットを構築するための設置作業は、生産性と収益性を高めるために、より迅速に実施し、できれば自動化すべきですが、端子ブロックの接続は恒久的に信頼でき、安全で、メンテナンスが容易である必要があります。
将来のニーズに対応するため、これらのキャビネットは現場でのアップグレードが可能で、新しい配線や技術の採用に適応できる必要があります。効率的で簡単な配線は、キャビネットの設計、組立、設置、ひいてはロボット組立の効率を高めるための重要な要素です。
端子ブロックの改善
配線接続は信頼性が高く、安全で、メンテナンスが容易でなければなりませんが、キャビネットの配線は複雑で時間がかかる場合があります。工作機械および製造設備の制御工学研究所(ISW)の調査によると、平均的な制御キャビネットには500本の配線があり、配線には平均54時間を要し、そのうち56％は切断、コネクタの追加、圧着に費やされていると推定されます。
端子ブロックは、配線プロセスを簡素化し、キャビネット内のモジュールの配置や再配置を容易にします。しかし、多くの生産者や顧客は、以下の3つのタイプの接続のいずれかを使用して導体を固定し、端子ブロック接続を完了するために、主に肉体労働に頼っています。
・クランプヨークやボルトのいずれかによるネジ接続。これらは、導体断面積が大きい接続に特に適しています。信頼性は高いのですが、定期的な締め付けが必要な場合もあります。締め過ぎると、配線を損傷する可能性があります。
・裸のソリッド導体を、セルフロックでスプリング作動式のテンションクランプポイントに挿入するだけのスプリング接続。この場合は、クランプポイントを開くために工具を挿入する必要があります。
・プッシュイン接続は、スプリング作動式のテンションクランプ接続を強化したもので、利便性と接触信頼性が向上します。組立工や設置工は、圧着フェルールを備えた裸の細撚り導体やソリッド導体を、工具を使用せずにクランプポイントに挿入することができます。フェルールを頻繁に使用することに加え、導体を取り外すためにクランプを開くには、やはり工具を使用する必要があります。
SNAP IN接続オプション
Weidmüllerは、プッシュイン接続にとどまらない、もう1つの選択肢を提供しています。同社のKlippon Connect SNAP IN端子ブロックは、より簡単、迅速、安全、効率的な電気接続を約束します。この技術により、端子ブロックの接続時間を最大50％短縮でき、完全自動化された配線プロセスにも対応できます。
フレキシブル導線でも、フェルールや工具なしで接続できます。SNAP IN Sシリーズのフィードスルー端子ブロックと保護アース(PE)/グランド端子ブロックには、あらかじめスプリングが組み込まれており、裸電線を準備することなく素早く安全にクランプポイントに挿入できます。
クランプポイントへの接触は「カチッ」という明確な音で合図され、緑色のプッシャーが上がって視覚的に確認できます。導体の確実な接触により、ワイヤ接続が振動から保護され、気密性と安定性も確保されます。
SNAP IN端子ブロックでは、プッシャーを押すことで導線を素早く解放でき、その後の挿入のためにクランプポイントに予荷重をかけることもできます。生産者は、ワイヤの準備を減らすことで配線時間を短縮し、より効率的な設置プロセスを構築することができます。
SNAP IN端子ブロックの導体接続レバーはすでに開いており、裸コネクタを挿入すると、特許取得済みのクランプ機構が自動的に閉じます。これにより、導体からバスバーへの高い接触力による安全で永久的なセルフロッキング接続が保証されます。
裸導体の端部を保護する必要がある場合、メーカーや設置業者は超音波溶接や圧着フェルールを使用できます。標準化されたテストポイントにより、テストとチェックの自動プロセスが可能になります。
IEC61373/10.2011によると、適切に挿入されたSNAP IN接続は、長期にわたって安定し、振動や衝撃を受ける場所に適しています。その後のチェックや再調整も不要です。さらに、SNAP IN接続は、－40℃から約＋120℃までの極端な温度範囲でもトラブルフリーです。
SNAP IN端子ブロックは、ロボットシステムに直接終端できるように最適化された設計のため、すぐにロボットに接続できます。自動化された端子ブロック接続により、生産ミスを防ぎ、ワークフローを迅速化し、コストを削減することができます。
SNAP IN Sシリーズの端子ブロックは、自動レーザーマーキング用に最適化されており、生産時間をさらに短縮できます。
SNAP IN Sシリーズのオプション
貫通型端子ブロックは、1つまたは複数の導体の接合や接続に適しています。それらは、同じ電位にある、あるいは互いに絶縁された1つ以上の接続レベルを持つ場合があります。
WeidmüllerのSNAP IN Sシリーズの貫通型端子ブロックは、2、3、4接続の1段バージョンで利用できます。図1は、2接続の2674530000と4接続の2753960000を示しています。3接続の2753950000も利用可能です。各ブロックは、最大2.5mm2の断面積と14～20のアメリカンワイヤゲージ(AWG)標準範囲を備えた導体に対応します。
図1：左は2接続1段の2674530000 貫通型端子ブロックコネクタ、右は4接続1段の2753960000。(提供：Weidmüller)
Weidmüllerは、4接続の2902380000など、コンパクトなスペースでより多くの導体を収容できる多段スタックコネクタも提供しています(図2)。
図2：4接続2段の2902380000 貫通型端子ブロックコネクタ。(提供：Weidmüller)
保護アース(PE)/グランド端子ブロックは、取り付けポイントに信頼性の高いアースグランド接続を提供する貫通型端子ブロックの一種です。保護アース導体との接続や保護アース導体の分岐のために、1つ以上の接点があります。
WeidmüllerのSNAP IN SシリーズのPEバージョンには、1段2接続の2674560000と、多段4接続の2902460000があります(図3)。
図3：4接続2段の2902460000 PE端子ブロックコネクタ。(提供：Weidmüller)
端子ブロックの配線には、Weidmüllerの2751080000のようなエンドプレートも必要です。エンドプレートは、モジュラー端子の機能と規定の定格電圧を確保し、活線部品との接触を防ぐため、エンドブラケットの前にある最後のモジュラー端子の開放側に取り付けます。
まとめ
効率的で簡単な配線は、電化と自動化のペースが増すにつれて、電気制御キャビネットの需要を満たす鍵となります。WeidmüllerのSNAP IN技術の自己作動型接続機構は、より簡単に再構成でき、ロボット支援アセンブリをサポートするために最適に設計された、組み立てとメンテナンスが簡単な端子ブロックコネクタにより、生産性向上の機会を提供します。
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