高ゲインRFアンプを導入しドローンの通信を確保し高高度飛行を実現
著者 Jessica Shapiro 氏
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2026-05-26
マルツ掲載日:2026-10-13
インフラの点検やスポーツ報道から、物資の輸送、的を絞った農作物散布に至るまで、ドローンの用途は拡大し続けています。こうした用途をはじめ、ドローンオペレータは、飛行を正確に制御し、大量のデータを送信するために、ドローンと基地局間の堅牢な通信に依存しています。
同時に、ドローンは信号強度とバッテリ性能のバランスをとりながら、混雑した無線周波数(RF)帯域で運用する必要があります。これらの課題に対処し、安全で効率的かつ有用なドローンの運用を確保するためには、機械的ハードウェア、ソリッドステート電子機器、および処理能力の組み合わせが必要です。
信頼性の高いRF通信
ドローンは6GHz未満の周波数帯で通信を行っており、その信号のほとんどは超高周波(UHF)帯域(0.3GHz~3GHz)に属しています。そのため、ドローンとの間で堅牢なRF通信を実現するには、速度が鍵となります。高効率RFフロントエンドを構成する部品(アンテナ、アンプ、フィルタ、スイッチなど)は、高周波での送受信信号に対して迅速に応答できなければなりません。
RFフロントエンドに必要な高速スイッチング集積回路(IC)は、ガリウムヒ素(GaAs)および窒化ガリウム(GaN)半導体で作られています。これらのワイドバンドギャップ半導体は、シリコン系半導体よりもキャリア移動度が高く、GaAsおよびGaNトランジスタは、はるかに高いスイッチング周波数をもたらします。
高速スイッチングトランジスタは、単一の周波数で送信と受信を高速に切り替える時分割複信(TDD)システムをサポートします。ドローンにおいてTDDは、従来の周波数分割複信(FDD)システムで必要だったデュプレクサや厳格なシールド要件をなくすことで、必要なスペース、重量、および消費電力を低減します。
TDDはタイミングや同期に対して一層の注意が必要ですが、アップリンクとダウンリンクの期間を動的に調整できるため、データ送信が最適化されます。また、TDDシステムでは、受信動作を行っていないハードウェアを、バッテリ効率の高いスリープモードに移行させることができます。
堅牢なRFフロントエンドソリューションには、SDRやTDD向けの高速スイッチングトランジスタを備えた高速応答の電子回路に加え、低いS/N比と良好な直線性を維持しつつ、より高周波での送信をサポートすることが必要です。QorvoのRFフロントエンドソリューションは、低ノイズアンプとパワーアンプにGaAs ICを採用しており、堅牢な長距離通信を通じてドローンの信頼性の高い運用を実現します。
低ノイズアンプによる入力信号の増幅
ドローンの運用において、受信する無線信号には、時間的制約のある飛行指示やその他のミッション情報が含まれています。しかし、これらの信号は比較的弱く、バックグラウンドノイズから分離するのが難しい場合があります。QPL9547TR7(図1)のような低ノイズアンプ(LNA)は、信号経路において受信アンテナの直後に配置され、対象周波数帯域の微弱なRF信号を増幅します。

図1:QPL9547TR7 LNAは幅広い周波数範囲で動作し、2mm角パッケージの低い寄生成分が、その直線性に優れた低ノイズな性能に寄与しています。(画像提供:Qorvo)
QorvoのpHEMT(Pseudomorphic High Electron Mobility Transistor)プロセスにより、GaAs半導体チップ上にゲート長0.15μm、0.25μm、または0.5μmのソリッドステートトランジスタを形成しています。ゲート長が短いほど電子の移動距離が短くなるため、トランジスタのスイッチング速度が速くなります。これにより、ノイズが低減され、ゲインが増加し、より広い帯域幅が実現されます。
QPL9547TR7 LNAでは、0.1GHz~6GHzの周波数帯域に対応しており、UHFドローンのテレメトリ、超高周波(VHF)の無線信号、LTEおよび5Gセルラー信号、あるいはWi-Fiの受信に最適化されたRFフロントエンドをサポートします。これらの信号がアンテナで受信された後、QPL9547TR7のLNAは1.9GHzで19.5dBの標準利得を提供し、比較的弱い受信信号にくらべて最大89倍強い増幅信号が得られます。
QPL9547TR7 LNAは、0.3dBという雑音指数が示す通り、優れたノイズ低減特性も備えています。出力3次インターセプトポイント(OIP3)が+39dBmであるため、これらのLNAは優れた出力直線性も備えており、混雑した周波数帯域であっても、近接周波数の3次高調波を無視しつつ、対象信号を増幅することが可能です。
QPL9547TR7 LNAの物理設計は、これらの性能指標を維持するのに役立っています。8ピン、2mm×2mm、デュアルフラット、ノーリード(DFN)面実装技術(SMT)パッケージは、良好な接地と小さなフットプリントを備えた短い電気的経路を採用しており、微弱な信号にノイズを加える可能性のある静電容量、インダクタンス、およびRF反射を最小限に抑えます。これらのICは自己完結型であり、必要な外部部品が最小限に押さえられているため、PCBスペースを節約し、静電容量マッチングの必要性を減らすことができます。
QPL9547TR7 LNAは65mAのバイアス設定で動作し、ドローンのバッテリからの消費電流が比較的少ないため、充電間の動作寿命が延びます。これらの製品は、3.3~5VDCの単一の正電源を使用するため、単一のDC電源レールから給電可能です。特定の周波数帯域において送信と受信の時間を分割するTDDアプリケーションでは、送信フェーズ中にQPL9547TR7 LNAの電源をオフにすることで、バッテリ寿命をさらに延ばすことができます。
高効率パワーアンプが広帯域データ通信をサポート
ドローンには、飛行やミッションの指示を常に受信するためにLNAが必要ですが、同時に基地局へデータを送信する必要もあります。そこで、QorvoのQPA9510TR7(図2)のようなパワーアンプ(PA)が活躍します。

図2:QPA9510TR7 PAは、GaAs半導体の高速スイッチング機能を利用し、UHF帯で高出力、高ゲインの増幅を実現します。(画像提供:Qorvo)
QPA9510TR7 Paは、送信アンテナの直前の信号経路に配置され、100MHz~1GHzの周波数帯域の信号を増幅して、長距離送信を実現します。この周波数帯で送信を行うドローンは、多くの場合、900MHz前後の周波数帯でGSM(Global System for Mobile Communications)規格を使用する携帯機器と接続しています。しかし、QPA9510TR7 PAで利用可能な周波数帯域により、VHF帯の高域およびUHF帯の中域の信号の送信も可能となります。
最大34dBのゲインを持つQPA9510TR7 PAは、55%のエネルギー効率で信号強度を最大2,500倍まで増幅します。ピーク直線出力(P1dB)は+35dBm(約3.2W)であり、堅牢な長距離RF通信を実現します。ゲインは、内蔵のアナログ出力制御回路により70dBの範囲で調整可能です。
また、この出力制御回路は、QPA9510TR7 PAがドローン搭載のバッテリを消費する量を管理するのにも役立ちます。「ロー」ロジック信号を送ることで、アンプの電源をオフにしたり、スリープモードやスタンバイモードに切り替えたりすることができます。これらの機能により、QPA9510TR7 PAは、2.8V~3.6Vまたは3.6V~5Vの電源から最大208mAを消費しながらも、ドローンのバッテリ寿命を延ばすことができます。
QPA9510TR7 PAを通過する電気エネルギーの45%は熱として放散されるため、パッケージが重要です。その小型の3mm×3mmのクワッドフラットノーリード(QFN)SMTパッケージは、QPL9547TR7 LNAに使用されているDFNパッケージと同様に、短い電気リードと、良好な接地性を備えています。これにより、ノイズを最小限に抑え、直線性を確保しながら、基板スペースを最大限に活用することができます。
QFNパッケージには通常、PCBに埋め込まれた金属を介して余分な熱を放散させるためのパッドが備わっています。受動的な放熱は、ファンやその他の冷却システムの重量や電気的要件をなくすことで、バッテリ寿命の延長にも寄与します。
まとめ
ドローンに搭載されるパワーアンプや低ノイズアンプは、バッテリ電力、スペース、重量を効率的に活用しながら、高直線性と高ゲインでUHF RF信号を処理します。GaAsなどのワイドバンドギャップ半導体に関するQorvoの専門知識を活用して製造されたICは、これらの一見相反する優先事項を満たしています。その結果、農業、産業、メディア、商業の各分野において、長距離にわたる信頼性の高いRF接続を実現し、タスクを実行し、データを提供できるドローンが実現します。
免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。
このページのコンテンツはDigiKey社より提供されています。
英文でのオリジナルのコンテンツはDigiKeyサイトでご確認いただけます。
DigiKey社の全製品は 1個からマルツオンラインで購入できます

ODM、OEM、EMSで定期購入や量産をご検討のお客様へ【価格交渉OK】
毎月一定額をご購入予定のお客様や量産部品としてご検討されているお客様には、マルツ特別価格にてDigiKey社製品を供給いたします。
条件に応じて、マルツオンライン表示価格よりもお安い価格をご提示できる場合がございます。
是非一度、マルツエレックにお見積もりをご用命ください。





