適切なスイッチング電圧レギュレータで効率性を向上
著者 Don Horne 氏
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2025-01-07
マルツ掲載日：2025-04-21
適切なスイッチング電圧レギュレータを選択する際には、効率性が最も重要です。 小型化が進む今日のデバイスには、小型で信頼性の高い電源を供給する能力が求められます。
電子設計の基本要件は、大量の電流を供給できる安定した電圧を生成する能力です。スイッチングレギュレータは、安定した電源電圧を生成し、電圧を昇圧または降圧するために不可欠な部品です。
スイッチング電圧レギュレータは、スイッチャ、スイッチ、スイッチモード電源(SMPS)、DC/DCレギュレータまたはコンバータなど、さまざまな名称で呼ばれています。スイッチング電圧レギュレータは、より効率的な高電力変換の要件、単一の入力電圧源から安定した出力が得られる柔軟性、極性が異なる複数の出力電圧に対応できる能力といった利点により、その人気は高まり続けています。
最も一般的なスイッチングコンバータの種類は以下の通りです。
・昇圧型：入力電圧を昇圧し、出力用に調整
・降圧型：入力電圧を降圧し、出力用に調整
・昇降圧型：入力電圧を昇圧または降圧し、負極性オプションを提供
・フライバック型：昇降圧型の1種で、ガルバニック絶縁も提供
固定および可変リニア電圧レギュレータ
長年にわたり、電源設計ではリニア電圧レギュレータが使用されてきました。リニア電圧レギュレータは、連続的な固定電圧出力を供給するのに優れていることが実証されています。LM317のような可変式のリニア電圧レギュレータもあります。
一般的な固定およびリニア出力電圧レギュレータには、78xx正出力および79xx負出力の電圧レギュレータシリーズがあります。これらの電圧レギュレータは、5Vから24Vの範囲で安定した出力を生成します。
リニア電圧レギュレータは、スイッチモード電源ではありません。電圧レギュレータには、シンプルで低コストという利点があります。通常、電力出力は10W以下で、効率が低く発熱しやすく、ノイズやリップル特性も低くなります。リニアレギュレータは降圧電圧調整のみを行います。これに対し、SMPSは、降圧、昇降圧、昇圧コンポーネントを使用して入力電圧の昇圧、降圧、極性反転を行うことができます。
スイッチモード電源システム
最新のテレビやパソコン、DCモータドライブ、パワーアンプのほとんどは、高度で効率的なSMPSを必要とします。このようなSMPSは、出力電圧を供給するために標準的なリニア方式ではなく半導体スイッチング技術を利用しています。基本的なスイッチングコンバータは、電力スイッチング段と制御回路で構成されています。
電力損失が少ないため、SMPSは高効率という利点があります。これは、トランジスタ(またはパワーMOSFET)を飽和「ON」状態と遮断「OFF」状態の間で内部的に切り替えることで実現されます。
降圧スイッチングレギュレータ
ROHM SemiconductorのBD9xシリーズは、高効率DC/DC降圧コンバータを設計者に提供します。この製品は、自動車や産業用設計など、効率的な電力変換を必要とする用途向けのコンパクトなオプションです。
BD9xシリーズは、部品点数を削減したシンプルな設計により、省スペース化と製造プロセスの合理化を実現しています。さらに、スタンバイ電流が低いため、BD9A201FP4-LBZTL降圧スイッチングレギュレータ(図1)のように、安定した出力電圧を維持して信頼性の高い性能を発揮しながら、ポータブルアプリケーションでバッテリ寿命を延ばすことができます。
図1：降圧スイッチングレギュレータ「BD9A201FP4-LBZTL」は、安定した出力電圧を提供します。(画像提供：ROHM Semiconductor)
単一の可変出力を特長とする降圧スイッチングレギュレータBD9E105FP4-ZTL(図2)は、低電圧ニーズ向けに特別に設計された直流レギュレータです。低オン抵抗のパワーMOSFETと単一の同期降圧DC/DCコンバータを搭載したBD9E105FP4-ZTLレギュレータは、軽負荷条件下で最高の効率を発揮します。スタンバイ消費電力を最小限に抑える必要があるデバイスや装置に最適です。
過渡応答特性に優れ、小型パッケージで高電力密度を実現しながら、PCB上のフットプリントを小さく抑えることができるため、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品、通信機器、アダプタ、2次電源装置に最適です。
図2：低電圧のニーズは、BD9E105FP4-ZTL降圧スイッチングレギュレータで対応できます。(画像提供：ROHM Semiconductor)
昇圧スイッチングレギュレータ
MP3414AGJ-Z昇圧スイッチングレギュレータは出力が調整可能で、薄型であるためスペースが限られている面実装用途に適しています。－40℃～＋125℃の温度範囲で容易に動作し、突入電流および出力短絡保護(SCP)を提供しながら、1.8Vという低い入力電圧から動作を開始することができます。
高効率を維持しながら同期電流モードで動作する能力は、出力切断機能付きの昇圧コンバータが求められるときに必要とされます。また、Pチャンネル同期整流器を内蔵することで効率が改善されたため、外付けショットキーダイオードは不要です。 MP3414Aのシャットダウン時の出力切断機能により、シャットダウンモード時に消費電源電流を1μA未満に抑えながら完全な放電が可能です。
小型化が重要
MP3414Aを使用することで、外付け部品の削減を実現できます。1MHzのスイッチング周波数を使用することで、外付け部品を小型化できるほか、ソフトスタート機能により、外付け部品の数を最小限に抑えることができます。幅広い電流負荷範囲に対応できます。さらに、内蔵パワーMOSFETは、5.5Vに達する出力で3Aを超えるピークスイッチング電流をサポートします。
この汎用性と幅広い出力性能をコンパクトなサイズに収めた製品は、2セルや3セルのアルカリ電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの単セルリチウム電池製品に最適です。ワイヤレス周辺機器、ゲーム用アクセサリ、個人用医療機器、ポータブルメディアプレーヤーなど、あらゆる機器にMP3414Aなどの昇圧コンバータが役立ちます。
技術は急速に進歩しており、ますます小型化が進んでいます。 SOP-J8と比較すると、TSOT23パッケージのMP3414AGJ-Zは約72%も小型化されており、フットプリントの大幅な削減が可能です(図3)。
図3：部品の小型化が進むにつれて、TSOT23のようなパッケージの小型化が必要になっています。(画像提供：ROHM Semiconductor)
消費電力を抑えながら効率を最大化
小型化へのニーズは常に高まっており、それと同時に信頼性と電力効率を維持する必要性もあります。BD9E202FP4-ZTL降圧スイッチングレギュレータは、コンパクトな設計で可変出力と信頼性の高い電力を供給します(図4)。
図4：BD9E202FP4-ZTLは、よりコンパクトな設計で信頼性の高い電力を供給する降圧スイッチングレギュレータです。(画像提供：ROHM Semiconductor)
小型化すると負荷能力や信頼性の高い電力供給が低下するという考え方もあるかもしれませんが、実際にはそうではありません。BD9E202FP4-ZTLは、高い変換効率を実現しながら、より低い消費電力要件にも対応しています(図5)。
スタンバイ電流が低いので、バッテリ駆動機器はアイドル時の消費電力を最小限に抑えることができます。また、軽負荷時の効率的な動作は、一定のオン時間制御によって実現されます。
図5：設計者は、高効率と高信頼性を実現するDC/DC降圧コンバータを求めています。(画像提供：ROHM Semiconductor)
AC/DCおよびDC/DC用フライバックコンバータ
フライバックコンバータは、フライバックトランスを内蔵した昇降圧コンバータです。出力と入力の間にガルバニック絶縁があるAC/DCおよびDC/DC変換に使用され、絶縁の利点とともに電圧比の増加を実現します。
絶縁型電源コンバータには、電圧モード制御と電流モード制御という2つの制御方式があります。ほとんどの場合、動作時の安定性を確保するには電流モード制御を使用する必要があります。
昇降圧DC/DCコンバータ
出力電圧が入力電圧より大きいか小さい、一般的なDC/DCコンバータは、昇降圧コンバータです。負電圧の生成も可能です。フライバックコンバータに似ていますが、トランスではなく単一のインダクタを使用します。具体的には、昇降圧コンバータは2つの異なるトポロジで構成されており、両方とも入力より大きい出力電圧からゼロに近い出力電圧まで、幅広い出力電圧を生成します。
「チョッパー」と呼ばれることもあるDC/DC電源には、昇降圧回路が含まれています。この昇降圧回路は、デューティサイクルに応じて昇圧コンバータまたは降圧コンバータとして機能します。
まとめ
今日の自動車および産業用設計における効率的な電力変換には、スイッチング電圧レギュレータが不可欠です。設計が小型化するにつれ、安定した電力レベルを維持する多用途で効率的な部品に対する需要はかつてないほど高まっています。
スイッチング電圧レギュレータは、SMPS、DC/DCスイッチャ、レギュレータ、コンバータなど、さまざまな名称で呼ばれる場合がありますが、ROHMは効率的な電力変換を必要とするさまざまな用途向けに、小型で多様なオプションを提供しています。
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