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スーパージャンクションパワーMOSFETの性能と効率の評価

著者 Pete Bartolik(ピート・バートリック) 氏
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2024-06-12

マルツ掲載日:2024-11-11



 スーパージャンクションパワーMOSFETは長い間、高電圧スイッチングアプリケーションを独占してきたため、もっとよい選択肢があるに違いないと考えたくなります。しかし、性能、効率、費用対効果のバランスを提供し続けるその性能は、多くの新しいアプリケーションのためのエレクトロニクス電源設計を最適化する上で不可欠なものとなっています。

 今世紀に入ってから商業的に利用できるようになったシリコンベースのスーパージャンクションMOSFETは、p型とn型の半導体層を交互に積層してPN接合を形成することにより、従来のプレーナー型MOSFETに比べてオン抵抗(RDS(ON))とゲート電荷(Qg)を低減しました。これらの利点は、性能指数(FOM)を計算(FOM=RDS(ON)×Qg)することで数値化されています。

 FOMは、MOSFETがオンのときにどれだけの抵抗があり、スイッチのオンとオフにどれだけの電荷が必要かを数値化したものです。

 Qgはスイッチング性能の比較に便利ですが、時にそれは強調されすぎることもあります。最新のゲートドライバは、ほとんどのゲート電荷要件を満たすことができるため、さらなる最適化を追い求める設計者は、他の重要なパラメータの改善を犠牲にしてコストを押し上げるリスクがあります。

 スーパージャンクションMOSFETの電荷バランス設計は、より薄く、より高濃度にドープされた領域を可能にします。パワー変換におけるその効率は、MOSFETをより素早くオン、オフさせ、スイッチングの損失をいかに抑えられるかによります。また、効率が向上したことで運転中の発熱が少なくなり、熱管理の問題も簡素化されました。

 いつ使うか、あるいは使うかどうかは、もちろんアプリケーションの具体的な要件によります。AC/DC電源やコンバータ、可変周波数モータドライブ、ソーラーインバータなど、高電圧スイッチング効率とコンパクトな設計が求められる用途に人気があります。

Qrr値の監視

 アプリケーション用にスーパージャンクションMOSFETを選択する際に考慮すべきもう1つの要因は、逆回復電荷(Qrr)です。これはスイッチングサイクル中に電流がMOSFETのボディダイオードを流れる際にPN接合に蓄積される電荷のことです。高電圧になると、電圧スパイクが発生し、さらなる損失が発生する可能性があるため、効率を向上させ、スイッチング損失を最小限に抑えるためには、回復電荷を低くすることが重要です。

 高Qrrによる過渡現象は、電磁妨害(EMI)を発生させ、高感度部品や信号の完全性に悪影響を与える可能性もあります。

 Qrrを低減することは、特にこれらの影響が拡大する高周波アプリケーションにおいて性能を向上させ、最適な動作とEMIパラメータへの準拠を確保するために有益です。製品設計の観点からは、低電荷は以下のような利点をもたらします。

・エネルギー散逸が最小限に抑えられるため、スイッチング損失が減少
・エネルギー利用の改善による効率の向上
・熱性能が向上し、スイッチング時の発熱が減少
・電圧スパイクとリンギングの低減によるEMIの軽減
・スイッチングサイクル中のストレス低減による長期間の信頼性維持

 一般的に、アプリケーションの使用頻度が高いほど、低いQrrを使用する優先順位が高くなります。また、この要因がアプリケーションの発熱にどのように寄与し、その結果冷却が必要になるかを判断することも重要です。

 1つまたは複数のMOSFET候補が決まったら、設計者はシミュレーションツールを使用してMOSFETをモデル化し、Qrrがアプリケーションでどのように動作し、性能に影響を与えるかを調べることができます。オシロスコープと電流プローブを使った実験テストでは、特定のMOSFETのスイッチングイベントを測定することができます。

 これらの値をアプリケーションのニーズに適合させるには、効率や熱性能、トランスコンダクタンス、閾値電圧、ダイオードの順方向電圧などの他のパラメータとの適切なバランスを見つけることに依存します。

適切なパワーMOSFETの選択

 Nexperiaは、スイッチング性能の適切な組み合わせをさまざまなアプリケーション要件に適合させるための幅広い選択肢を製品設計者に提供することを目的として、2つのスーパージャンクションパワーMOSFET製品ファミリを提供しています。

 同社のNextPower 80Vおよび100V MOSFETは、電源、工業設計、電気通信など、高効率スイッチングと高信頼性アプリケーションを重視する設計者に適しています。このデバイスは、Qrrを50nCまで下げ、逆回復電流(Irr)や電圧スパイク(Vpeak)を下げ、リンギングを低減しています。

 LFPAK56、LFPAK56E、LFPAK88銅クリップパッケージで提供されるこのデバイスは、熱性能や信頼性を損なうことなく、省スペースで柔軟性を提供します。LFPAK56/LFPAK56Eパッケージのフットプリントは5mm×6mm、つまり30mm2で、D2PAKの163mm2に比べて81%、DPAKの70mm2に比べて57%の省スペース化を実現しています(図1)。


図1:LFPAK56パッケージ(右)とD2PAK(左)およびDPAKフットプリントの比較。(画像提供:Nexperia)

 LFPAQK56E(図2)はLFPAK56の改良版で、同じコンパクトなフットプリントを維持しながら低抵抗化を実現し、効率の向上を図っています。この強化パッケージの例として、100V、4.3mΩ、NチャンネルMOSFET、連続定格電流120AのPSMN3R9-100YSFXがあります。

 これは175°Cまでの動作が保証されており、AC/DCおよびDC/DCの同期整流器、48V DC/DCの一次側スイッチ、BLDCモータ制御、USB-PDアダプタ、フルブリッジおよびハーフブリッジアプリケーション、フライバックおよび共振トポロジなど、産業用や民生用アプリケーションに適しています。


図2:PSMN3R9-100YSFXとその他のNextPower 80V/100VスーパージャンクションパワーMOSFETのLFPAQK56Eパッケージ。(画像提供:Nexperia)

 NextPower PSMN2R0-100SSFJは、100V、2.07mΩ、267A、NチャンネルMOSFETで、フットプリント8mm×8mmのLFPAK88パッケージに収められています。また、+175°Cまでの動作が保証されており、AC/DCやDC/DCの同期整流器、一次側スイッチ、BLDCモータ制御、フルブリッジおよびハーフブリッジアプリケーション、バッテリ保護などの産業用や民生用アプリケーションに適しています。

 高性能と高信頼性を優先する設計者のために、NextPowerS3 MOSFETは、低RDS(ON)を実現し、最大380Aの連続電流能力を実証したSchottky-Plusボディダイオードを搭載した25V、30V、40Vのバージョンが用意されています。たとえば、PSMN5R4-25YLDXは、標準LFPAK56パッケージのNextPowerS3 Nチャンネルで25V、5.69mΩのロジックレベルMOSFETです。

 Nexperiaの「Schottky-Plus」技術は、通常のショットキーやショットキーと酷似したダイオードを内蔵したMOSFETに関連する高効率、低スパイキング性能を提供しますが、問題となる高リーク電流はなく、+25°Cで1μA未満のリーク電流を提供します。

 NextPowerS3デバイスは、サーバや通信向けのオンボードDC/DCソリューション、電圧レギュレータモジュール(VRM)、ポイントオブロード(POL)モジュール、Vコア、ASIC、DDR、GPU、VGA、システムコンポーネント向けの電力供給、ブラシ付き/ブラシレスモータ制御など、さまざまなアプリケーションに適しています。

 NextPowerS3デバイスは、同期降圧レギュレータ、AC/DCやDC/DCアプリケーションの同期整流器、BLDC(ブラシレス)モータ制御、eFuseやバッテリ保護などのアプリケーションに適した30V PSMN1R8-30MLHXなど、3.3mm×3.3mmのLFPAK33フットプリントの製品もあります(図3)。


図3:NextPowerS3のLKPAK33パッケージ(右)とDPAKパッケージの比較図。(画像提供:Nexperia)

まとめ

 シリコンベースのスーパージャンクションパワーMOSFETは、多くの新しいパワーエレクトロニクスアプリケーションに必要とされる性能、効率、コスト効率のバランスを達成するために不可欠です。

 NexperiaのNextPowerS3とNextPower 80/100V MOSFET製品のラインアップは、製品設計者にこれらの要求を満たすさまざまな特性を提供し、電力密度と信頼性を向上させるために小型で熱的に強化されたLFPAKパッケージで提供されます。





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