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既製キットでセキュアなマルチプロトコルIoTデバイスの構築・展開を迅速化

著者 Stephen Evanczuk 氏
2025-08-07

マルツ掲載日:2025-11-10



 IoTデバイスの開発方法が進化したにもかかわらず、デバイスの接続性については依然として継続的な課題となっています。10年前、最初のIoT採用者が特別な努力をせずに接続できるデバイスを設計することは、大きな課題でした。現在のIoTデバイスは、箱から出してすぐにシームレスに接続できるだけでなく、異種ネットワーク間でセキュアな接続を確保しつつ、バッテリ寿命を延ばす必要があります。

 開発競争に迅速に対応しようとする開発者にとって納期の短縮は、IoTデバイスの設計をさらに複雑にしています。そのため、包括的なエコシステムに支えられた、低電力ワイヤレスシステムオンチップ(SoC)デバイス用の機能が豊富な開発キットを見つけることが不可欠になっています。その点で、Nordic Semiconductorの開発キットは、すべての要件を満たしています。

 NordicのnRF54L15は、nRF54L15-DK評価ボード(図1)をベースとした開発キットで、nRF54L15を含むNordicのnRF54Lシリーズ ワイヤレスSoCを使用したIoT設計の加速を目的としています。 また、nRF54L10およびnRF54L05デバイスをエミュレートすることも可能です。

 このキットには、ハードウェア設計ファイルのフルセットに加え、NordicのnRF54L15ワイヤレスSoC、8Mバイトの外部フラッシュメモリ、電源管理用IC、2.4GHzおよび近距離無線通信(NFC)用のアンテナを搭載した、完全なワイヤレス開発プラットフォームを提供するボードが含まれています。


図1:nRF54L15-DK開発ボードは、nRF54L15ワイヤレスSoC、フラッシュメモリ、電源管理IC、コネクタを組み合わせて、セキュアなマルチプロトコルIoTデバイスの迅速な展開をサポートする包括的なハードウェアプラットフォームを実現しています。(画像提供:Nordic Semiconductor)

 デバッグコネクタとパワープロファイリングヘッダのセットとともに、このボードは、ソフトウェアデバッグや実行中に手動操作を行うための発光ダイオード(LED)やボタンなど、いくつかのユーザーインターフェースコンポーネントを提供しています。3バンクのコネクタがSoCの汎用入出力(GPIO)ポートを提供し、バッテリ駆動のIoTアプリケーション向けに構築されたワイヤレスSoCへの完全なアクセスを可能にします。

低電力IoTアプリケーション向けに構築

 NordicのnRF54LワイヤレスSoCファミリは、Nordicの第4世代Bluetooth Low Energy(BLE)SoCの製品です。Nordicの実績は、マルチプロトコル接続と長寿命バッテリを必要とする設計に必要な、包括的な機能セットの統合に明確に現れています。nRF54Lファミリの製品はすべて同じアーキテクチャを採用しており、不揮発性メモリ(NVM)とランダムアクセスメモリ(RAM)の容量が異なります。nRF54L15は最も大きな容量を誇り、それぞれ1.5Mバイトと256Kバイトとなっています。

 このアーキテクチャは、Arm Cortex-M33メインコアとNordic独自のRISC-Vコプロセッサを含む2つのプロセッサを中心に構築されています(図2)。Arm Cortex-M33プロセッサがアプリケーション処理を行う一方で、RISC-Vコアはタイムクリティカルなタスクをオフロードし、アーキテクチャのI/O、タイマ、ペリフェラルのセットに対して低レイテンシの処理を提供します。


図2:nRF54LワイヤレスSoCは、Arm Cortex-M33とRISC-Vコプロセッサ、マルチプロトコルトランシーバと広範なペリフェラルセットを統合しています。(画像提供:Nordic Semiconductor)

 nRF54Lアーキテクチャは、Arm TrustZone、改ざん防止、暗号アクセラレーション、認証済みデバッグ、セキュアなキーストレージ、信頼の基点を確立するイミュータブルブート領域など、複数の主要なセキュリティ強化機能を備え、よりセキュアなIoTデバイスに対する継続的な懸念に対応しています。これらの機能を組み合わせることで、セキュアな無線アップデート、セキュアなブート、信頼できるアプリケーションのセキュアな実行に必要な基盤を提供します。

 ワイヤレス通信では、Arm Cortex-M33プロセッサがマルチプロトコルワイヤレススタックの実行を処理します。これは、内蔵されている低電力マルチプロトコル2.4GHzトランシーバと組み合わせて動作し、このトランシーバは1mW基準で8dBmの送信電力と-96dBmの受信感度を提供します。

 スタックの可用性とハードウェア機能の組み合わせにより、設計は幅広い主要な接続技術とIoTプロトコルを最大4Mビット/秒でサポートできるという確信を得られます。この接続技術とIoTプロトコルには、Bluetooth 6.0 BLE、Zigbee、Thread、Matter、Amazon Sidewalk、および独自の2.4GHzプロトコルが含まれます。

 IoTデバイスがWi-Fiもサポートする必要がある場合は、Arm Cortex-M33プロセッサは、nRF54LファミリなどのNordic nRFシリーズ SoCに簡単に接続できるように設計されたNordic nRF70シリーズ Wi-Fiコンパニオンチップ用のWi-Fiスタックを実行します。

 nRF54LワイヤレスSoCは、BLEコア6.0に完全に準拠しており、Bluetoothチャンネルサウンディングなどの機能を提供します。チャンネルサウンディングは、次世代のタグ、スマートロック、家電製品、資産追跡に必要な、新しいレベルの高精度かつ確実な距離測定を実現します。

ソフトウェアリソースがIoTソフトウェアの設計を加速

 nRF54L15-DK開発キットが、nRF54Lベースのデバイス開発用に使用できるハードウェアプラットフォームを提供する一方で、Nordic nRF Connect SDK(ソフトウェア開発キット)(図3)は、IoTソフトウェアアプリケーションを迅速に構築するための包括的なソフトウェア基盤を提供します。

 このSDKは、リソースに制約のあるデバイス向けに最適化された専用ルーチンから、複雑なアプリケーション向けに構築されたソフトウェアパッケージまで、ソフトウェアを作成するための拡張可能なフレームワークを提供します。


図3:nRF Connect SDKは、高度なIoTアプリケーションの開発を加速する包括的なソフトウェアスタックを提供します。(画像提供:Nordic Semiconductor)

 nRF Connect SDKコードは、オープンソースのMCUBootセキュアブートローダとオープンソースのZephyrリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を組み合わせています。Zephyrリアルタイムオペレーティングシステムは、メモリ制約のあるシステムから大容量メモリ構成まで拡張可能です。

 これらの組み合わせを基盤として、Nordicのnrfおよびnrfxlibパッケージは、BLE、Bluetooth mesh、Wi-Fi、Matter、Thread/Zigbeeに必要な接続プロトコルスタックを提供します。ミドルウェアライブラリは、ハードウェアドライバ、セキュリティファームウェアを提供し、Constrained Application Protocol(CoAP)やMessage Queuing Telemetry Transport(MQTT)などの接続プロトコルをサポートします。

 Nordicが公開しているnRF Connect SDKリポジトリには、アプリケーションのソースコード構築を迅速に開始するための多様なサンプルアプリケーションが含まれています。nRF Connect SDKでコードベースを構築した後、Nordic環境ではコンフィギュレーションファイル(*.conf)とデバイスツリーファイル(*.dts)を使用するため、さまざまなハードウェア構成で異なるアプリケーション用にソースコードを簡単に再ターゲットできます(図4)。


図4:Nordicのソフトウェア開発フレームワークは、異なるハードウェア構成上で動作する独自のアプリケーションを構築するために、容易に再ターゲット可能なアプリケーションのソースコード作成を簡素化します。(画像提供:Nordic Semiconductor)

まとめ

 セキュアなマルチプロトコル接続に対する需要は、すでに納期短縮に直面しているIoT開発者の課題をさらに困難なものにしています。Nordic SemiconductorのnRF54L15開発キットは、新たな要件に対応できる低電力IoTデバイスを迅速に開発するための包括的なハードウェア/ソフトウェア基盤を提供します。




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