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【問5】クロストーク発生量は銅箔厚から一目瞭然

クロストーク発生量は銅箔厚から一目瞭然
~18μm厚のハーフオンス基板の単位面積あたりの抵抗率は1mΩ~

●問5 [レベル:基本]
ハーフ・オンス基板の銅箔のDC抵抗は,以下のいずれの値になるでしょうか?

(a)1mΩ/square (1mΩ/□)
(b)100mΩ/square (100mΩ/□)
(c)1Ω/square (1Ω/□)
(d)100Ω/square (100Ω/□)
 
 
 
 

●即答
 正しい答えは(a)です.
 これはR=1/σtという式を解いたり,オンラインで提供されているさまざまな抵抗計算ツール,例えば,LearnEMCウェブサイト(https://learnemc.com/)から入手できるツールを使えば確かめられます(図1).
 この値は,EMC分野の人であれば即座に答えられるべき数値の1つです.というのも,2つの信号が,プリント基板の同一の銅層を帰還電流経路として共有できるかどうかを判断するときに重要だからです.100kHz以下の周波数においては,プリント基板上の帰還電流は層全体に広がります.
 ハーフ・オンス銅層(1)のDC抵抗が約1mΩ/□であることがわかれば,共通インピーダンス・カップリングによるクロストークの最大値は即座に求まります.すなわち,ハーフ・オンス銅層を通って戻る数Aの電流によって,層の始点と終点の間に数mVの電圧が発生します.この電圧の一部,あるいはすべてが,帰還電流の経路として同じ層を共有するほかのすべての信号に重畳します.このカップリングが非常に大きい場合は,共有している回路のうち少なくとも1つは,分離された帰還経路が必要でしょう.

●補足
 分離された帰還経路が必要な場合は,一般に別の層を使うのが適切でしょう.
 ソリッドな電流帰還層(グラウンド層など)を分割したり,その中にギャップを設けたりする方策は好ましくないでしょう.複数の「グラウンド」を用いると,放射ノイズの管理がより難しくなり,システムが電磁干渉の影響を受けやすくなります.<訳 藤尾 昇平>

 
 
 
 
図1 抵抗計算ツール“Resistance Calculator”が公開されているLearnEMCウェブサイト (https://learnemc.com/)
[EMC Resources] - [EMC Calculators] - [Resistance Calculator]
 
  ●訳注
(1) 一般に,プリント基板の1ft2 (約30cm2) 当たりの銅箔の重さを「オンス」で表す.厚さ35μmの銅箔を使用している場合は「1オンス(約28g)基板」と呼ぶ.厚さ18μmの場合は「ハーフ・オンス(約14g)基板」と呼ぶ
 
 
     
               

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