メルマガ

【問6】信号A,B,C…の各帰還電流には専用層を割り当てる

信号A,B,C…の各帰還電流には専用層を割り当てる
~電流帰還(グラウンド層)の分割や共有はノイズ問題を引き起こす~

●問6 [レベル:基本]
プリント基板の電流帰還層(グラウンド層)を分割する対策は,1MHz以上の周波数帯において,何を低減するために有効でしょうか?

(a) 電界カップリング
(b) 磁界カップリング
(c) 共通インピーダンス・カップリング
(d) 上記のすべて
(e) 上記のいずれでもない
 
 
 
 

●即答
 正しい解答は「(e)上記のいずれでもない」です.
 プリント基板設計において「ソリッドな電流帰還層を分割する(1)という考えは良いとはいえません(図1).電流帰還層を分割すると,各電子回路の基準電圧に差異が発生します.その結果,高周波数域において放射ノイズやイミュニティの問題が発生する可能性があります.
 また,1MHz以上の電流は,信号配線の直下を通って戻るため,共通インピーダンスによる結合は,帰還層の対応する部分の上部に信号配線を通せば避けられます(2).1MHz以上では,共通インピーダンスはカップリング現象の主因ではないことも理解しておくべきです.同じ電流帰還層上で並んでいる2本の信号配線のために,帰還層(グラウンド層)を分割すると,電界と磁界のカップリングが増大します.
 どうしても低周波の帰還電流を分離しなければならない場合は,別の層を使って電流を帰還させる方法がより良いプリント基板設計と言えるでしょう(3)
 この方法によって,配線間の電界結合が問題になりやすい高周波域において,配線とグラウンドの結合を維持しつつ,低周波を分離することによる効果が得られます.<訳 藤尾 昇平>

 
 
図1 グラウンドの基準電位が違うとノイズが放射される
 
  ●訳注
(1) 図1に示すプリント基板は,スリット(グレー色の線)が12V/5V/3.3Vのグラウンド(電流帰還経路)を分割している.「ソリッドな電流帰還層」とは分割されていないグラウンド層のこと
(2) 帰還電流経路を共有することで懸念される共通インピーダンス結合は,1MHz以上については帰還経路の直上に信号を配線することで回避できる
(3) 2本の信号配線の帰還電流の低周波成分を分離する必要がある場合はグラウンド層を分割するのではなく,別の層に帰還経路を設けることが好ましい.そうすることで,直下の帰還経路を分割せずに配線と帰還経路の結合を維持でき,グラウンド層を分離した場合に発生する配線間の電界結合による問題を回避できる
 
 
 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

 お問合わせフォーム | お問合わせダイヤル: 03-6803-0209 (9:00~12:00,13:00~17:00 日曜定休)

マルツエレック株式会社
Copyright(C) Marutsuelec Co.,Ltd. All Rights Reserved.

ページトップへ