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【問12】マイクロストリップ線路の特性インピーダンスの目安 ~GND層との距離=幅,表層,FR-4のとき65~70Ω~

         
マイクロストリップ線路の特性インピーダンスの目安
~GND面との距離=配線幅,表層,FR-4のとき65~70Ω~
         
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 藤尾 昇平
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問12 [レベル:中級]
幅が直下のグラウンド面との距離に等しい基板表層の線路の特性インピーダンス はどのくらいでしょうか?

 (a) 50Ω
 (b) 70Ω
 (c) 100Ω
 (d) 150Ω
 
 
 
  ●即答

 正解は(b)です.
 誘電体が FR-4(ε ≈ 4) のプリント基板 (図 1) のグラウンド面までの距離 (表面層の高さ) と配線の幅が等しいマイクロストリップ線路の特性インピーダンスは 65~ 75 Ωです.

 特性インピーダンスが 50 Ωの配線の幅は,グラウンド面からの高さの約 2 倍です.

 特性インピーダンスが 100 Ω以上に設計された伝送線路はあまり見かけません.そのような配線は,幅を狭く,またはグラウンド面との距離を大きくする必要があるからです.

 配線幅がグラウンド面との距離に等しい伝送線路の特性インピーダンスは,伝送線路が表層にある場合より内層にある場合のほうが低くなります.

 プリント基板の様々なパラメータが,伝送線路の特性インピーダンスやその 他の特性にどのように影響するかは,インピーダンス計算ツール (図 2) を利用して試行錯誤することで効果的に調べることができます.


図1 最も一般的なFR-4基板の表層配線の特性インピーダンスはおよそ70Ω
 
図2 配線の形状や銅箔の厚み,誘電率など,基板のパラメータと特性インピーダンスの関係を調べるにはシミュレータ(Circuit Board Trace Impedance Calculator)が効果的.EMC Learnのウェブサイト( https://learnemc.com/)で,[EMC Resources]-[EMC Calculators]-[CircuitBoard Trace Impedance]を選択する


 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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