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【問13】リセット入力端子には1KΩの直列挿入が有効 ~誤動作しにくくなり、ノイズの流出が抑制される~

         
リセット入力端子には1KΩの直列挿入が有効
~誤動作しにくくなり、ノイズの流出が抑制される~
         
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 藤尾 昇平
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問13 [レベル:基本]
 プロセッサのリセット入力端子と直列に1kΩの抵抗を挿入したときの影響や効果として正しいのは次のうちどれでしょうか?

 (a) プロセッサのリセットに必要な電圧に影響はない
 (b) カップリング・ノイズに起因するリセットの誤作動を抑止できる
 (c) プロセッサから流出する伝導ノイズを低減できる
 (d) 上記のすべて
 
 
 
  ●即答
 最適な答えは(d)です.
 プロセッサのリセット入力端子は,5p~10pFの容量と見なすことができます.このため直列抵抗を追加しても,プロセッサのリセット作動電圧に影響はありません.

 さらに直列抵抗を加えることで,リセット信号の遷移時間を伸ばすことができます(典型的には十数psから数nsまで).この対策によって,リセットを誘発する(ESDやEFT過渡現象の結合による)高周波過渡ノイズを抑止できます.

 最後の候補(c)について説明します.リセット信号は,初期状態でHベルになっています.このためチップ内の電源バス・ノイズが端子に伝搬し,プロセッサから流出する可能性があります.直列抵抗があれば,リセット端子に接続された配線に伝搬するノイズ電流が大きく減少します.
図1 プロセッサのリセット端子には1kΩの直接挿入が有効



 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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