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【問18】線路間の絶縁体の比誘電率が高いと電界結合が強くなる恐れ ~電界結合は容量結合とも呼ばれる~

線路間の絶縁体の比誘電率が高いと電界結合が強くなる恐れ
~電界結合は容量結合とも呼ばれる~
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 櫻井 秋久
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問18 [レベル:基本]
ある回路において,電界結合発生の大きな要因になるのはどれですか?

 (a) 急激に変化する電圧
 (b) 急激に変化する電流
 (c) 大容量キャパシタ
 (d) 絶縁のないワイア
 
 
 
  ●即答
 正しい答えは(a)です.

 電界は電圧の変化に比例し,その結果,電界結合(静電容量結合とも呼ばれる)は,dV/dt に比例します.電界強度は電流の振幅に無関係です(ただし,電流により電圧が生じる場合は除く).

 キャパシタが実装された場所では大きな電流の変化( dI/dt )が観測されますが,大きな電圧の変化( dV/dt )が観測されることはありません.キャパシタが,電流を供給して端子間の急激な電圧変化を防ぐからです.

 束ねられたワイアでは,2本のワイア間の絶縁体の誘電率が,ワイア間の静電容量に影響します.絶縁体の誘電率が大きいときは,ハーネスを共用する回路間での電界結合が強くなる可能性がありますが,ワイアに絶縁がないことによって電界結合が強くなる,ということはありません

図1 絶縁体の比誘電率が高いとワイア間の静電容量が
大きくなり
電界結合は強くなる



 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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