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【問24】フェライト・ビーズは周波数により変化する抵抗素子 ~飽和電流を超えると抵抗成分はなくなる~

フェライト・ビーズは周波数により変化する抵抗素子
~飽和電流を超えると抵抗成分はなくなる~
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 櫻井 秋久
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問24 [レベル:基本]
 フェライト・ビーズの高周波でのインピーダンスは,直流飽和電流を超えたときどのように変化するでしょうか?
 (a) 大幅に減少する
 (b) 大幅に増加する
 (c) ほとんど影響を受けない
 (d) 大きさには影響しないが,位相がずれる
 
 
 
  ●即答
 正解は(a)です.

  フェライト・ビーズは,周波数に依存した抵抗値を示します.この性質は,時間変化するビーズを流れる電流によって,フェライトの磁区(magnetic domain)が配列するときに生じる損失が主な原因です.

 ビーズを飽和させるのに十分な大きさの直流電流を流すと,すべての磁区が完全に配列します.この状態では,フェライト材は空気に似た磁気特性を示し,フェライト・ビーズは単なるジャンパ線になります.

 プリント基板や回路図では,フェライト・ビーズを“L”と示すことが多いのですが,設計で用いられる周波数では主に抵抗性(誘導性ではない)になります.

   図1 フェライト・ビーズは周波数によりインピーダンスが変化する  


 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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