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【問26】グラウンド・ストラップはより短く ~インダクタンスは電流ループの特性であることの再確認~

グラウンド・ストラップはより短く
~インダクタンスは電流ループの特性であることの再確認~
[原著] EMC Question of the Week 2017-2020
[著] Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授)
[訳] 櫻井 秋久
[企画・制作] ZEPエンジニアリング
 
 
 
問26 [レベル:中級]
長さ5cmのグラウンド・ストラップやボンディング・ジャンパ(bonding jumper)の30MHzにおけるインピーダンスは何によって決まるでしょうか?

 (a) 抵抗
 (b) インダクタンス
 (c) キャパシタンス
 (d) 絶縁
 
 
 
  ●即答
 正解は(b)です.

 この問いでは,ストラップの材質や接続形態の設定がありませんが,30MHzという条件から,インピーダンスを支配するのはインダクタンスが濃厚です.

 銅など,良質の導体で作られた5cmのストラップの抵抗値は,1mΩをはるかに下回るでしょう.そしておそらく,ストラップ両端の接続部の抵抗によって数mΩが追加されます.

 インダクタンスは電流のループがもつ性質であり,ストラップ単体のインダクタンスは計算することはできません.しかし,5cmのストラップに適当な電線を接続し、周長が約10cmのループを形成すると,そのインダクタンスは10nH以上と求めることができます.

 10nHのインダクタンスのインピーダンスは,30MHzで約2Ωになりますから、このストラップを使った接続のインピーダンス(1)は,「数MHzにおいてインダクタンスが支配する」ということを示しています.

   図1ストラップ状のグラウンドのインピーダンスを規定するのはインダクタンス  

訳注
(1)グラウンドにこのストラップを通して接続されるものとグラウンド間に生じるインピーダンスのこと.グラウンド接続のインピーダンスを規定しているのはインダクタンスである.したがってインダクタンスを最小化しないといけない.周波数特性も生まれる.


 
 本稿は,2017年3月17日~2020年末の約3年間にわたり,米クレムソン大学名誉教授Todd Hubing氏が「今週のEMC問題」と題して,自社Webサイトに掲載した記事の翻訳です.本質的かつ実用的な問題が多く,世界中の回路基板設計者に愛読されています.
 高速化するディジタル・システムの電磁両立性(EMC,Electro-Magnetic Compatibility)をいかに実現するかは,技術者の本質的なテーマであり,多くの現場でカット・アンド・トライによる対策が行われ続けています.
 本メルマガでは,基本的ものから高度なものまで,マクスウェルの理論に基づいて,EMCの正しい対策を確信的に示します.なお本連載は,書籍化を予定しています.

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