|
|
|
|
[原著] |
EMC Question of the Week 2017-2020 |
[著] |
Todd Hubing (LearnEMC社代表,米クレムソン大学名誉教授) |
[訳] |
櫻井 秋久 |
[企画・制作] |
ZEPエンジニアリング |
|
|
|
|
|
|
問28 [レベル:基本] |
|
|
|
EMC問題への技術対応が最も効果を表すのは次のどのタイミングですか? (a) 最初のハードウェアが作られる前 (b) 最初の試作品が試験される前 (c) 最初の試作品を試験した後 (d) ハードウェアの設計が安定した時点で |
|
|
|
|
|
|
●即答 最良の答えは(a)です. 最初のハードウェアが作られる前であれば,部品の最適配置,トレース経路の最適化,信号遷移時間の制御,十分なデカップリングなどの確保が比較的簡単にできます.しかし,一度試作品を作った後では,EMC問題につながる単純な設計の誤りを修正するにはもう遅すぎるということが起こり得ます. 部品選択,配置,コネクタピン割り当て,信号設計方針,グラウンド,フィルタ,シールドなどに対する重要な決定が,試作品試験の開始以前にすでに終了(変更不可)していることが多いのです. さらに良くないのは,試作品のEMC試験結果が設計上の誤った判断(例えば,グラウンドにつなぐ線にフェライト・コアを付けたり,グラウンドを分離したりすること)の正当化に利用されることがよくあることです.これにより,製品の最終確認段階,あるいは出荷後において,重大かつ高い対策コストを要するEMC問題が発生する可能性があります. 試作品を作り,試験によって見出されたEMC問題を対策することは「設計-試験-対策(design-test-fix)」と呼ばれることがありますが(1),この方法はコストがかかるばかりでなく,また危険でもあります.EMC試験は,設計の正しさを実証し,起こり得る問題にはフラグを立てるように考えられています. 実際の利用状態において起きる可能性のあるすべての干渉状態をシミュレーションすることはできません.特定の試験所で個別の試験にパスさせるために設計を微調整しても,実際に利用される場所において問題が発生しないことを保証するものではないのです.ある試験にパスするために実施した設計変更が,その製品の実際の利用環境において,より電磁干渉を受けやすいものにすることがあります. 優れた設計の製品は,最初の試験でEMCの要件に適合し,どこで試験されたか,ある試験でどのような構成が用いられたのか,などで差が生じたりしないものです.

|
|
|
図1 EMC対策は,自由度が高い回路設計の早期に検討すべきである |
|
|
●訳注 (1)設計ではなく対策中心の対応を行うこと. |
|
|
|
|